ヒューマンサクセスサイエンスユニバーシティについてご案内しています。

　能には「現行曲」と呼ばれる曲が約二百十番あります。
それを五つのグループ「神男女狂鬼」に分けています。

1番目ものが「脇能物」といって神様の世界。

2番目が「修羅物」といって修羅の世界。
平家物語の武士が登場します。

3番目が「鬘物」といって能を代表する幽玄の世界。
女性が主役。

4番目ものが「狂物／雑物」といって
ほかの４つのグループに入らないものは
こちらに分類されます。

5番目の「切能物」は主に人間以外の
鬼や畜類の霊が登場します。

かつて正式な上演形式は一日五番と定められ、
その上演形式を「五番立」といい、
それぞれのグループから1曲ずつを演じる番組が
採用されていました。

そのため長時間に及ぶこともあったそうです。

現代では五番立をすることはありませんが、
どのカテゴリーの能もそれぞれ魅力的です。

　私は一番目ものの神様系が華やかで好きです。

この脇能物の中に『西王母』という美しい曲があります。

古代中国の「西王母伝説」に基づいた曲です。

三千年に一度の花が開き、実を結ぶという
西王母の庭園の桃の木と祝賀の雰囲気に満ちた曲なのです。

　内容は古代の中国、周の穆（ぼく）王の時代のことです。

宮殿で祝賀に興じていると、一人の若い仙女が現れます。

彼女は桃の花が咲いた枝を持ち、
「この花は、三千年に一度咲く桃で、
帝王の威徳により、時機を得て今咲きました」と伝え、
花を帝王に捧げます。

　帝王は、桃の花を見て、
「伝え聞く西王母の庭園の桃か？」と仙女に問いますが、
それには答えず、帝王の治世を讃えた後、
自分が西王母の化身であると明かし、天に上ります。

　王が管弦の催しを開いて西王母を待っていると、
天女の姿になった西王母が現れます。

孔雀や鳳凰、迦陵頻伽が飛び巡り、まさに阿弥陀天国の世界。

西王母は侍女に持たせていた桃の実を帝王に献上します。

ここで喜びの酒宴が始まり、人も花も酔うなかで、
西王母は軽やかに舞を舞い、御代を寿ぎ、
春風に乗って、消えてきます。

　観世流（梅若）の井上和幸先生は、
ご著書『お能健康法』（徳間書店）の中で、
健康と能楽についての症例をたくさん紹介されていますが、
先生の主宰する緑幸会ではよく
『西王母』を謡われています。

そしてお弟子さんの親御さんが浄土に旅立つときに
最後まで、この謡を謡って大往生を遂げたりしています。

　以前、私の講演会の時に、先生がかけつけてくださり、
会場にいらした能楽関係者が一緒になって
『西王母』を謡ったことがあります。

すると、その場のエネルギーが一気に変わり、
浄化され、きらきらと輝く空間になりました。

多くの方が、それに気づかれて大いに感動したことがありました。

　この『西王母』を謡い、舞われるのが天女のように
美しい謡曲仕舞奉納家の一扇さんです。

次回のアズーリ４では、一扇さんがゲストとしてご出演！　

西王母の素晴らしさに加え、能の醍醐味を伝えてくださいます。

どうぞお楽しみに。

8月10日（火）午後4時から。
https://azzurri-fm.com
 
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　　　プロフィール
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宮西ナオ子(みやにしなおこ)

生き方研究家・Ph.D.（博士/総合社会文化）、
総合社会文化ライター・作家、
エッセイスト・インタビュアー、女性能楽研究家、
愛玩動物飼養管理士、
アルケミスト認定ユニバーサルヒーラー、
アルケミスト認定アニマルコミュニケーター。
上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、
広告代理店、旅行代理店を経、
トラベルライターからフリーライターに。
環境問題、美容と健康関連、生き方についての
記事を新聞・雑誌・単行本等に執筆・講演。
経営コンサルタントの船井幸雄氏関連の
仕事と産経新聞の夕刊特集担当、
がん専門誌の記事執筆に携わる。
2001年には日本大学大学院総合社会情報研究科文化情報専攻入学。
2003年修士取得、2006年、女性が演じる能楽について
研究しPh.D.（博士/総合社会文化）取得。
同時に当時注目された書籍
『朝2時間早く起きれば人生が変わる!』や
『男性更年期はリニューアルの時』
『発酵のチカラ』『眠る前の7分間』
『女性と能楽』など関連のテーマで地方自治体、
倫理法人会ほか各地で講演活動などを行う。
また大手企業に「誉める技術とコミュニケーション」
「聞く力」などのセミナーも行う。
2013年、東久邇宮文化褒章受章。
東京新聞でペットと有名人のコーナーを担当し、
アニマルコミュニケーションやエネルギーワークなども学ぶ。



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