ヒューマンサクセスサイエンスユニバーシティについてご案内しています。

　私が初めて犬を飼ったのは1992年でした。

30年近く前のことですからネット情報もなく
『愛犬の友』という雑誌から厳選した
神戸のブリーダーに電話をして空の便でお迎えし、
犬の習性や性格に基づく躾の本を読み漁り、
その通りに接してきました。

当時の犬の躾けは厳しくすることがスタンダードで、
叱るときは鼻先を床にこすりつけるような方法でした。

私はそれを忠実に守って、
かなりスパルタな躾をしてしまったのです。

　やがて16年が経過し、2008年に、
この愛犬は脳腫瘍で亡くなりました。

激しいペットロスに襲われた私は、
この子の供養のために保護犬を譲渡しました。

当時はまだ保護犬についての情報もそれほど多くない時代。

これをきっかけにして
書籍『わんこを撮ろう』（PHP研究所）や新聞記事などでも
保護犬の記事を掲載させていただき紹介しました。　

当時は『いぬのきもち』という雑誌から
多くの躾や飼い方の情報を得ました。

ここでびっくりしたのが、躾のコンセプトが全く異なっていたこと。

16年前に私が学んだ
「厳しく叱って躾ける」方法はNGになり、
「褒めて伸ばす」方法に変わっていました！　

犬の世界にも褒めることの大切さが求められていたのです。

　その10年後2018年に新しい愛犬を迎えたのですが、
ここでまたた大きなコンセプトの変化を知り驚きました。

というのは犬には「最上位に立つものが強い」
という上下関係があり、頂点に立とうとする
性質を持っているため、人間と生活を共にするときは
「犬を頂点に立たせない、
人間の上に立たせないための躾が必要」
という考えがあったものの、
昨今では人間が考えているような
「上下関係」の概念そのものが
犬にはないといわれているようなのです。

かつてより猿の研究書などを読むと
「アルファオス」のことが紹介されていたために、
犬にも当然あると思っていた「アルファシンドローム」の概念。

アルファとは順位社会のなかの頂点のことですから、
アルファシンドロームとは「権勢症候群」のこと。

犬が飼い主の家族を群れと認識し、
自分の思い通りにするため、
群れの頂点に立とうとして起こる
さまざまな問題行動を指していました。

でも現在では専門家の間でこの説は
否定的に考えられているというのです。

「アルファ気質が強い」とされる犬の行動は、
上に立とうとする支配的な欲求のためでなく、
不安を感じやすい神経質な性格や、
些細なことにも敏感に反応する
警戒心の強さなどが理由と考えられるようで、
「アルファシンドローム」とは人間が定義付けた行動に
すぎないといわれているのです。

　興味深いことは、ここで意味する「支配的欲求」とは、
あくまでも人間のもつ権威性から
イメージされたものであり
「そもそも犬には当てはまらない」と
考えられるようになっていること。

むしろ犬との信頼関係を築くことのほうが大切で、
「支配」的な関係ではなく「信頼」関係が重視されているのです。

この説には新鮮な驚きと感動を感じましたし、
人間同士の関係性にも現れているのではないでしょうか？　

支配の時代は終了しつつあり、
信頼関係がより求められるのが、
新しい時代に移行していく兆しともいえそうです。
 
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　　　プロフィール
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宮西ナオ子(みやにしなおこ)

生き方研究家・Ph.D.（博士/総合社会文化）、
総合社会文化ライター・作家、
エッセイスト・インタビュアー、女性能楽研究家、
愛玩動物飼養管理士、
アルケミスト認定ユニバーサルヒーラー、
アルケミスト認定アニマルコミュニケーター。
上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、
広告代理店、旅行代理店を経、
トラベルライターからフリーライターに。
環境問題、美容と健康関連、生き方についての
記事を新聞・雑誌・単行本等に執筆・講演。
経営コンサルタントの船井幸雄氏関連の
仕事と産経新聞の夕刊特集担当、
がん専門誌の記事執筆に携わる。
2001年には日本大学大学院総合社会情報研究科文化情報専攻入学。
2003年修士取得、2006年、女性が演じる能楽について
研究しPh.D.（博士/総合社会文化）取得。
同時に当時注目された書籍
『朝2時間早く起きれば人生が変わる!』や
『男性更年期はリニューアルの時』
『発酵のチカラ』『眠る前の7分間』
『女性と能楽』など関連のテーマで地方自治体、
倫理法人会ほか各地で講演活動などを行う。
また大手企業に「誉める技術とコミュニケーション」
「聞く力」などのセミナーも行う。
2013年、東久邇宮文化褒章受章。
東京新聞でペットと有名人のコーナーを担当し、
アニマルコミュニケーションやエネルギーワークなども学ぶ。



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