ヒューマンサクセスサイエンスユニバーシティについてご案内しています。

　大学院で女性能楽を研究していた時の恩師、宗片（上田）邦義教授が、この度、ご著書『今こそシェイクスピア―能シェイクスピア13曲』（でくのぼう出版）を出版されました。

　私は2001年から2006年まで日本大学大学院総合社会情報研究科文化情報専攻の修士課程と博士課で学ばせていただきました。

　教授は現在は宗片邦義教授としてご活躍されていらっしゃいますが、当時は上田姓を名乗っていらっしゃいました。
静岡大学名誉教授、モンゴル国際経済商科大学名誉教授、華中科技大学・広東南大専修学院名誉教授、国際融合文化学会会長をされています。

　宗片（上田）教授が初めて『英語能ハムレット』を演じたのは1982年。それ以前の研究も含め、その後、シェイクスピアのさまざまな作品を能にして約半世紀が経過します。
　大学院では、院生が地謡やツレなどの役を演じ、共に『能ハムレット』の舞台を勤めさせていただきました。
山形県の米沢や大阪の堺の能楽堂、大阪の芸術大学、京都の能舞台や彦根のお寺、熱海ＭOA美術館の能舞台などでも研究舞台を行ってきました。

　シェイクスピアの原作と大きく異なるのは、ハムレットが、亡くなったオフィーリアの墓の前で座禅を組み、黙想をしている場面です。
彼女の亡骸は舞台の小袖で表現。
そこに亡霊となったツレのオフィーリアが登場するのですが、五色幕の中で「どうしてあなたの真実の愛を知ることができたの？　だって、あなたは私に尼寺にいきなさいといったじゃない！」というような表現の英語を謡って橋掛かりから登場し、ハムレットの後ろで、しばらく手をかざした後、立ち去ります。

　そこでハムレットは何かを悟り、癒され「生死は、もはや最大の問題ではない」と謡い、「覚悟は全て」と颯爽と舞うのです。

　初演当時は大きな波紋を呼んだといいますが、この「悟り部分」が新しく来たる時代の主張であり、教授がずっとの求め続けてきた世界の「調和と融合」の精神の現れです。

　この英語能『ハムレット』は、実際に能楽者が演じる正式な舞台でも上演されました。

　その時の間狂言では、老墓守役として人間国宝の野村万作師が登場され、
「この世にゃ一つも偶然はなし
全て因果はあるものよ
生きることは選ぶこと
この世もあの世もほんとの命
この世の醍醐味わかったさ」
　という詞章を謡われます。
今回、その万作師がこの書に向けて「ご出版が多くの読者に受け入れられますよう念じております」とメッセージを送っていらっしゃいます。

　これを受けて宗片（上田）教授は、「これで世界人類の協調平和に貢献できる」「世界平和が一気に近づいた」と「あとがき」で述べていらっしゃいます。
「まえがき」にも「平和維持・戦争回避には、核兵器（科学）や法（論理）の抑止力ではなく、シェイクスピア劇（文芸）などに見られる精神性・霊性が一つのヒントになるのではないか。
人類の精神進化に向けて」と書かれています。いよいよ霊性の向上が問われる時代がきたのです。

　ちなみに私は大学院時代、英語能『ハムレット』の研究舞台でツレのオフィーリア役をさせていただき、毎回「尼寺に行けといわれた」と英語で謡っているうちに、本当に尼寺で得度の修業をすることになったという思い出があります（笑）。
今年89歳になられる教授のこれからのご活躍をお祈りすると共に、本書が多くの人に届けられることをお祈りします。
同時期に出版された『英語謡曲のすすめ」（宗片邦義著・能楽書林）も英語能『ハムレット』の謡いの詳細が紹介されています。


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　　　プロフィール
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宮西ナオ子（みやにしなおこ）

博士（総合社会文化）著述家　生き方研究家
女性能楽研究家、ジェム・ストーン・エナジー研究家

最新出版書籍
『菜食は素晴らしい~1週1菜の奇跡~」

『秘技の整体　アスリートから神様と呼ばれた安藤道彦』

『一扇　ICHISEN』

（ともにシンシキ出版）




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