退職金制度の意外な効果とは?
社労士で採用定着士の西野です。
小規模企業のサポートをしていると
「これは大企業では考えられない…」
と驚くことが多々あります。
その中でも特に衝撃を受けたのが、
社員が何の前触れもなく突然退職する
「飛ぶ」現象 です。
私自身、約300人規模の中堅企業に
29年間勤務していましたが、
朝出社して「昨日までいた同僚が突然
いなくなった」なんて経験は一度も
ありませんでした。
ところが、小規模企業では いきなり
退職の申し出があることは珍しくない
のです。
もちろん、「飛ぶ」レベルのケースは
頻繁ではないものの、「今週いっぱい
で辞めます」と突然言われることは
よくあります。
こうした事態に、社長からは嘆きの声が
上がります。
「何か対抗策はないのか?」
■法律的な対応策はあるが…
法的には、就業規則に「退職は1か月前
に申し出ること」 という規定を設けて
おけば、退職日の変更を求めることは
可能です。
しかし、 無理に引き延ばしところで、
職場の雰囲気が悪くなるリスク
があります。
また、場合によっては損害賠償を
請求できるケースもあります。
例えば、長距離ドライバーが突然、
トラック内に退職届を置いて失踪
したケースでは、運送業務ができなく
なり、 実際に発生した損害について
賠償請求が認められた 事例があります。
ただし、「突然の欠勤」は病気などの
理由でも起こりうること なので、
損害賠償のハードルは高いのが実情
です。
■給料未払いで対応はできる?
「じゃあ、いきなり辞めた人には給料を
払いたくない!」
そう思う気持ちはわかりますが、
法律上、働いた分の給料は必ず支払わ
なければならないため、これも対抗策に
はなりません。
せいぜい「退職月の給料は手渡しにする」
くらいの対応しかできず、事前に伝えて
辞める人と差をつけることは難しいのです。
■「退職金」が歯止めになる
しかし、ここで 退職金制度があると、
大きな違いが生まれます。
退職金規程に 「退職の1か月前までに
申し出て、適切な引継ぎを行った場合
に退職金を支給する」というルールを
設定すれば、 無断退職や急な退職に
対する抑止力 になります。
また、「引継ぎを行わずに辞めた場合は
退職金を減額・不支給とする」と
いう規定を設けることで、 辞める側に
も責任を持たせることが可能 です。
当然、就業規則や退職金規程に明確に
記載しておくことが大前提ですが、
これにより 急な退職のリスクを
軽減 できます。
退職金制度の意外な効果——それは
「社員が飛ぶのを防ぐ」こと なのです。
そして、社長のイライラを少しでも
減らすことにつながるでしょう。
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西野社労士事務所・株式会社チーム力アップ
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