ハッピーキュレーター阿野友範が心と体とお金がハッピーになる情報をお届けします。

むかしむかし。
桃から生まれた桃太郎は、
鬼退治のため鬼ヶ島へと旅立つ決意をした。


彼のもとには、
犬、猿、キジという心強い仲間が集まり、
彼らは力を合わせて幾多の困難を乗り越えてきた。

猿は、作戦を練り、先陣を切るチームの知恵袋。
誰より陽気で、チームのムードメーカーでもあった。


しかし──
ある日、猿は突然チームを離れた。

朝、目が覚めると
置手紙ひとつ
「ここで旅を終えます。これまでお世話になりました。」
と。



桃太郎は動揺した。


「猿がいなければ、もう鬼とは戦えない・・・」

そんな思いが頭をよぎり、
彼はしばらく心を閉ざしてしまった。




キジが空から行く先を見通しても、
犬が忠誠心を込めて「俺たちがいる」と言っても、
桃太郎の心は晴れなかった。

「最初は一人だったくせに、
いつの間にか、仲間に甘えていたのかもしれない・・・」


そう自問自答を繰り返す日々。


しかしある日、桃太郎はふと気づく。
「猿が去ったことばかりにとらわれて、
今ここにいる仲間を見ようとしていなかった」
と。




桃太郎は立ち上がった。
「まだ終わってない。いや、終わるわけがない。
仲間が２人もいるじゃないか！
最初は俺一人だったんだ」


犬は地を駆け、キジは空から飛び回る。



二人とも、自分のすべきことを知っていた。
桃太郎は、彼らの目に光が戻っていることに気づいた。

「確かに、猿がいた時とは違う。
でも、違うからこそできる戦いがある」

彼は、新しいチームの形を模索しはじめた。

犬には、地上戦だけでなく、猿のように状況を読む訓練を。


キジには、空からの偵察だけでなく、作戦の伝達や戦術共有の役割を。


猿がいなくても、それぞれが進化することで、
チームは新たなバランスを取り戻していった。



それと同時に、
再出発の道中で、さまざまな出会いがあった。

イノシシ
森で出会った、力自慢のイノシシ。
突進力とパワーがチームに加わる。

「俺の力、困ってる人のために使ってくれ！」


カエル
沼で出会った、素早く知恵に長けたカエル。
水中の偵察や、ヌルッとした発想で作戦を広げる。

「猿のようには鋭くはないけど、僕なりの戦略が立てられる」


アリ
途中で助けたアリたちが、情報収集と物資運搬を手伝ってくれる。
小さな力も集まれば、大きな支えになる。



鬼ヶ島に到着したとき――

桃太郎の周りには、
犬、キジ、イノシシ、カエル、アリたち。

最初のチームとは全く違う、
桃太郎が目指していた
【強いチーム】が出来上がっていた。



ついに、桃太郎たちは当初の目的、鬼を退治し、
人々の平和を取り戻した。


帰り道、桃太郎は静かに空を見上げた。

「猿よ、ありがとう。
お前が抜けたから、俺たちは変われた。」


そして仲間たちに向かって言った。

「最初は一人だった。そこからお前たちが加わってくれた。
失ったものはあった。
でも、今ここにあるものの方が、もっと大きい。
ありがとう」


桃太郎チームは、
さらに平和な世づくりに向けて
旅を続けるのであった。


作：あのたろう