大河ドラマ『どうする家康』〜私が選ぶ今週のこだわりシーン＜第38回＞〜
▽大江戸歴史散歩▽ 2023.10.12
大河ドラマ『どうする家康』
〜私が選ぶ今週のこだわりシーン〜
第38回『唐入り』
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こんにちは。歴史ガイドの瓜生です。
大河ドラマ『どうする家康』〜私が選ぶ今週のこだわりシーン〜
第38回は、番組の最後、名護屋城から大坂に戻った茶々（北川景子）が懐妊した（後の秀頼）と知らせを受けた秀吉（ムロツヨシ）でした。今回の茶々の演出も今までにない特徴がありました。家康（松本潤）の屋敷を訪ねた際、家康をたぶらかそうとする茶々、それを見通して嗜める阿茶局（松本若菜）。茶々は何かを企んで秀吉の側室になっていると思わせる悪女的な演出でした。今回は、「秀頼は秀吉の子か」という点について、考察したいと思います。
＜資料に基づき事実と認識されている事柄＞ ＊天正20年12月に文禄と改元
天正20年（1592）4月25日：秀吉、肥前名護屋城（佐賀県唐津市）に着陣。
天正20年（1592）7月22日：母大政所の危篤が知らされ、秀吉はその見舞いのため
名護屋城を出発、大政所はその日、大坂城で息を引きとる。
天正20年（1592）8月2日：京都大徳寺で大政所の葬儀を行う。
天正20年（1592）10月1日：秀吉は大坂を出発して名護屋城に向かう。
天正20年（1592）10月30日：博多に到着。
天正20年（1592）11月5日：名護屋で茶会。
文禄2年（1593）正月：秀吉、名護屋城で茶々が懐妊したと知らされる
文禄2年（1593）8月3日：秀頼の誕生。
秀頼が生まれた日から逆算すると、茶々が秀頼を妊娠したのは前年の天正20年（12月に文禄に改元）（1592）10月中旬から11月上旬の間となります。この間秀吉は、大坂から肥前に向かっているか、肥前国名護屋城にいました。実は、この間、確実に秀吉と茶々が一緒にいたという証拠になるような、茶々の行動記録はありません。一緒にいたかもしれないし、いないかもしれない。番組では、大政所の危篤の知らせが届く前から茶々は名護屋城にいて、秀吉だけが大坂に戻り、大政所の葬儀を終えて、名護屋城に戻ってきた後、大坂に戻らされたという設定になっています。もし、茶々が名護屋城に来ていなかったとしたら、完全に秀頼は、秀吉の子でないことは明らかです。また、番組のように来ていたとしても、その後の秀吉の行動を見ると、疑念が残ります。また、秀吉は、秀頼が生まれた2ヶ月後の10月、大坂城にいた大勢の女房や仏僧を処刑・追放しています。理由は定かになっていません。口封じでしょうか。
＜ここからは私見＞秀頼の誕生にまつわる関係者を静粛したのではないかと考えられます。しかし、茶々は、世継ぎでもある秀頼の生母でもあることから、不問としたのではないでしょうか。同じ10月、秀吉は、生後二ヶ月の秀頼と関白・豊臣秀次の娘を婚約させ、秀頼へという政権継承を模索しました。秀吉は、豊臣家の跡継ぎの事を考えると、秀次よりも、秀頼の方が、血筋が良いと考えたことでしょう。何より茶々が産んだ子を、自分が父親だと認めさえすれば、盤石の豊臣家の跡継ぎになると思ったからではないかと思います。
＜茶々（北川景子）＞
https://www.nhk.or.jp/ieyasu/cast/chacha.html
＜阿茶局（松本若菜）＞
https://www.nhk.or.jp/ieyasu/cast/achanotsubone.html
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季節の変わり目です。ご自愛ください。
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