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そもそもパーキンソン病とは?

2020年11月06日

こんにちは。PD Cafeの小川順也です。
2日目のテーマは「そもそもパーキンソン病とは?」についてです。
・原因
・診断
・重症度分類
・症状
・治療法
・予後について
についてお話します。

文章読みたくないなという方はこちらの動画をご覧下さい♫
https://www.youtube.com/watch?v=eIVQ7e1TeRc

原因
パーキンソン病の原因はまだ解明されていません。根治療法が出来るためにはなぜパーキンソン病を発症するのかを突き止める必要があります。いま現在分かっていることは、脳の中に異常たんぱく質が溜まってしまうと言うことです。他には、パーキンソン病は腸が原因なのでは?と言う研究がされています。症状が出る原因としては、異常たんぱく質が脳にたまるためにドーパミンを出している脳の一部が変性してしまい、ドーパミンが出にくくなることです。ドーパミンは体の中の動きの調整に関係があります。なので、動きがゆっくり小さくなってしまいます。また、自律神経にも関係があり、便秘になりやすかったり、血圧の変動が起こったりすることもあります。

診断
診断がつくまでに時間がかかることもあります。パーキンソン病が疑われる場合、これまでにかかった病気や出ている症状、診察や画像検査の結果などを総合的に判断し、診断して行きます。パーキンソン病を100%診断するのは、今のところなかなか難しい現状のようです。経験を積んだ神経内科医でも、初診時パーキンソン病と診断できるのは、患者さんの8〜9割程度と言われているようです。パーキンソン病に似ている症状がある病気もいくつかありますので、そちらの病気との鑑別診断が難しいようです。検査としては、頭のCT・MRI、ダッドスキャン、脳血流シンチグラフィ、心筋シンチグラフィなどがあります。

重症度分類
パーキンソン病の重症度は、運動症状をもとに決められます。最も広く知られているのは「ホーン・ヤールの重症度分類」です。
運動機能の程度に応じて1〜5度までの5段階に分類したものです。症状の現れ方で重症度が分けられます。
1度:片側に症状
体の片側の手足に症状が見られる。日常生活への影響はごく軽い段階。
2度:両側に症状
体の両側の手足に症状が見られる。多少の不便はあっても、日常生活は通常通り行える。
3度:活動がやや制限
歩行障害や姿勢反射障害などが見られる。活動はやや制限されるが、自立した生活が可能。
4度:介助が必要
体の両側の手足に強い症状が見られ、自力での生活が困難。介助を要することが多い。
5度:車イスなどが必要
立つことが出来なくなるため。車椅子での生活や寝たきりになる。全面的な解除が必要。

先生からは重症度は2だよとか3だよとか言われるかもしれませんが、こちらを基準にして考えられています。

症状について
パーキンソン病の代表的な症状は、動作が遅くなったり、手足が震えるなどの体の動きの障害が起こります。その中でも、4つの特徴的な運動症状があります。手足が震える(安静時振戦)、動きがゆっくり小さくなる(動作緩慢)、筋肉がこわばり硬くなる(筋固縮)、姿勢を保てず転びやすい(姿勢反射障害)の4つです。これが、パーキンソン病の4徴候と呼ばれています。人によってはふるえが出ない方もいます。みなさんが全ての症状が出るとは限りません。病気が進行すると、声を出したり、飲み込んだりすることがしにくくなります。喉も筋肉なのでそこの筋肉に運動症状が現れます。

手足が震える(安静時振戦)
テレビを見ている時や体の力を抜いた時など、安静時に手や足に細やかなふるえが起こる。通常、発症初期には体の片側のみに現れる。動いている時にはふるえが止まることが多いことから安静時振戦と呼ばれています。

動きがゆっくり小さくなる(動作緩慢)
動きの一つひとつが非常にゆっくり、小さくなります。「歩くのが遅くなったね」「歩幅が狭くなったね」「腕が振れていないね」など他人に言われて気づくことも多いです。動きにくくなることから、活動する範囲が狭まってしまいそのために筋力低下や体力の低下を感じることもあります。

筋肉がこわばり硬くなる(筋固縮)
腕や足、体幹の筋肉がこわばって固くなり、自分でスムーズに動かすのが難しくなります。筋肉の強張りを自ら力を抜こうとしてもうまく抜くことが出来ません。自覚症状ではなく、診察によってわかる症状です。お医者さんが患者さんの腕や足を動かそうとすると、関節がカクカクするような抵抗が見られる状態です。

バランスが取りにくい(姿勢反射障害)
体のバランスが悪くなり、体が傾くと元の姿勢に戻りにくい。また、日常生活で引き出しや冷蔵庫の扉を開いた時にそのまま倒れてしまうことなどがあります。こちらの症状はある程度病気が進行して来た時に出る症状です。

4徴候以外の運動症状
歩行障害
腕を振らずに、すり足のようにちょこちょこと小刻みに歩くような歩様も有ります。
また、最初の一歩が出なかったり、歩いている時に方向を変えようとしたり目標地点に着く前に足が床にへばりついたようになるすくみ足。歩いて、どんどん前に突進して行って止まることが出来ない突進歩行などが有ります。
腰曲がり症状
知らないうちに腰が曲がって来てしまったり、腰をまっすぐに立てても歩いている時に腰が曲がって来てしまう症状。骨の変形がされる前に対処することが大事

非運動症状
パーキンソン病は自律神経障害が起きている。自律神経は、体のほぼ全ての器官の活動を調整するために、自分の意思とは無関係に働き続けている神経です。パーキンソン病では、その自律神経の働きが悪くなるために、様々な不快症状が現れやすくなります。
トイレが近くなったり、汗を多くかいたり、便秘になってしまったり、中には立ちくらみ(起立性低血圧)や足のむくみなども有ります。これらの非運動症状も全ての方に全ての症状が出てくるわけでは有りません。
パーキンソン病の症状は多岐にわたるため、100人いたら100通りの違う組み合わせで症状が出ています。

治療法について
日本で行われているパーキンソン病の治療は
・薬物療法
・運動療法(リハビリ)
・手術療法
です。

薬物療法
薬物療法では、主に不足したドーパミンを補う薬が処方されます。歴史的にみるとしっかりとした薬が確立されて生きたのは1980年頃になります。薬が出てくる前は、発症したら7年ほどで寝たきりになると言われていました。現在は、ドーパミンを補う薬の他にも様々な作用の薬が出て来ています。人それぞれ飲み合わせは異なります。薬の選択肢が増えたことで、現在ではパーキンソン病の方も天寿を全う出来ると言われるようになりました。パーキンソン病は症状が多岐にわたるため、先生としっかりとお話しして薬を決めることが重要です。中には、困っている症状を3つに絞って紙に書いて先生に見せる方や、診察前の3日間ほど症状の波を日記のように記録して先生に見せる方や、普段の生活の様子をビデオで記録して診察の際に見せる方がいます。診察は、診察室の中でしかも1日の中の一点のみです。ご自身でしっかりと記録をするなり、症状を把握して先生にお伝えすることがとても重要になって来ます。

運動療法
私の勤めていた国立精神・神経医療研究センター病院の元院長である故村田美穂先生はいつも
「薬と運動はタイヤの両輪で、双方がしっかりと噛み合うことが大事」と言っていました。薬だけでもダメだし、運動だけでもダメ。薬と運動の両方が重要だということです。

運動療法はストレッチ、筋力トレーニング、有酸素運動、バランストレーニングなど様々な運動があります。これらをうまく組み合わせてご自身の状態にあった物を取り入れることがとても重要です。運動の効果は、世界中で研究されています。まず、パーキンソン病の方は体が固まりやすいため、ストレッチをすることをオススメします。体をひねる筋肉が固まりやすく、固まってしまうと歩くのが不自由になったり、背中が丸まって来たり、体が横に傾いてしまったりします。その予防のためにストレッチはオススメです。

パーキンソン病の方とお話ししていると、特に男性ですが筋トレを頑張っていると言う話を良く聞きます。筋トレはとても良いですが、パーキンソン病は左右のどちらかから症状が出ることが多いので、左右均等に筋トレをしているとアンバランスになってしまうことがあります。また、筋トレのやりすぎで逆に痛みが出てしまう場合もあります。まずはストレッチをすること、そしてご自身に合った筋トレを選んでいくことが重要です。
また、有酸素運動がとても良いことが言われています。動物実験ですが、有酸素運動を通して神経の可塑性(損傷した部分が回復すること)することも言われています。有酸素運動の強度ですが、ちょっと汗ばむ運動が良いと言われています。緩すぎる運動だけでは、筋力低下や体力の低下を防げません。なので、散歩する際は背筋をしっかりと伸ばして、1分〜2分程度は早歩きや大股歩きを入れてみるだけでもより効果的な運動になります。

PD Cafeには、診断されて15年以上経過しても通っている人、趣味を継続している人、お仕事をしている人がいます。その方の共通点は早い段階から運動を生活に取り込んでいる方です。
そして、自分自身にはどんな運動が合っているのかを日々試行錯誤している方です。
運動を継続していくためには、ある程度の知識も必要になって来ます。PD Cafeにたどり着いていただき、そしてここで同時に学んでいただくと根治療法が確立されるまで動ける体を作れる可能性が出てくると信じています。

手術療法
日本で行われている手術療法については
・DBS(電極を頭に埋め込む)
・凝固術(脳のある部位を焼く)
・デュオドーパ(胃に穴を開けて管を小腸に入れて薬を持続的に入れる)
の3つがあります。
PD Cafeに参加して頂いている方も上記の手術をしている方が何人かいます。
手術は先生から提案されることが多いと思いますが、先生がやりましょうと言うからやるのではなく、ご自身でも色々と調べたり、実際に手術を行った方の話を聞いて見たりしながら決めていくことをオススメします。
私も、病院で理学療法士として働いている時にDBSの手術をした方を多くリハビリして来ました。先生に言われたからやる方としっかり自分で調べて先生とディスカッションしてから決めた方ではその後の経過が違うように思いました。
手術は目的がしっかりあります。全ての症状が良くなるわけではないので、その辺りをしっかりと先生やご家族とお話しした上で望むことをオススメします。

予後について
パーキンソン病はドーパミンのお薬が出てくる前は発症から7年ほどで寝たきりになると言われていました。現在は、薬物療法、運動療法、手術療法を軸に様々な治療法がありますので、天寿を全う出来ると言われています。
多くのパーキンソン病の方と出会って来ましたが、パーキンソン病は治らない病気、どんどん悪くなって言ってしまうんだ、だからもういい。という気持ちだとやはり進行速度も変わってくるのではないかと感じています。インターネットで検索したりすると良くないこと情報が目立ちますが、現在は薬物療法、運動療法、手術療法などで以前に比べると予後は良いので希望を持って過ごすことをオススメします。

本日は、そもそもパーキンソン病とは?についてお伝えさせて頂きました。最後まで読んで頂きありがとうございます。


PD Cafe
小川順也

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