第2号「新しい研修会方式に挑戦」

《Ⅰ 新しい研修会方式》

 先日、研修会講師を務めました。そこで「新しい研修会方式」に挑戦しました。特徴は以下です。

1 テーマは以下です。

  〈主体的・対話的で深い学び〉

   授業を通して担任・生徒指導スキル磨く

   ~「授業者スキル」に重点を置いて~

2 時間は約120分間。出席者は主に若手の高校の先生たちです。

3 「新しい研修会方式」の狙いは以下です。

  ⑴一人も寝かせない。(「飽きた」「つまらない」と感じさせない)

  ⑵参加者が「講義を聴くだけ」ではなく積極的に参加でき、

   翌日からの仕事に役立つヒントを得て帰る。

  ⑶研修会の後に、研修会の内容を読み直し、思い出し、

   実践に役立つようにする。

4 上記の目標を達成するために、以下の新しいことに挑戦しました。

  ⑴質疑応答を中心にする。

   120分間のうち「説明」は10分×2回=20分間

   「質疑応答」は50分間×2回=120分間。   途中休憩10分間

  ⑵回答の形式にも気を付けました。

   ➀1回の回答をできるだけ10分以内にする。

   ②「理論的解説」と「具体的な行動」を説明する。

   ➂特に「教師スキル=授業者スキル・担任スキル」を意識して、

    体系的な説明をする。

5 特に大きなチャレンジは以下でした。

  ⑴質疑応答をし、文字起こしをする。[ほぼ自動でできるツールがあります]

  ⑵「文字起こしデータ」を基に質疑応答の内容を整理する。

  ⑶上記の作業中に理論的な補足も追加して、解説書的にする。

 

 その中の最初の質問に対しての私の回答を基に、理論的に書き直したものを1つだけ紹介します。全部の質問に対する回答・解説は1週間くらいかけて作成するつもりです。

いずれMichibQの連載や、本として発表するつもりでいますが、欲しい方はお知らせください。→メールでお知らせください。

《最初の質問》

「担任スキル〈H クラスを支える〉の中の、

 ➄時間がないときは、

  「自己開示する」と「交渉する」。

       とは、どういう意味ですか?

Aさん [H1]➃の〈時間がない時は「自己開示する」と「交渉する」〉

    とはどういう意味ですか?

 

小林   

 授業に向けて廊下歩いていたら「先生、ちょっと相談があるんだけど」って呼び止められることってありませんか?

 でも、「私はあと5分で授業始めなきゃいけないな」ってことありますよね。その時に、「忙しい!」と切り捨てたらかわいそうじゃないですか。

 理論的に言えば、「授業を時間通りに始めなくてはならない授業者としての責任」と「クラスの生徒の一人ひとりを大切にしなくてはならない担任としての責任」という

〈矛盾〉が激化しているという状態です。

 普通なら、「あれかこれかしかとれないのだから、どちらかを優先するために、もう片方を切り捨てるのは仕方ない。だから「今、時間ないから、ダメ」というのは「正しい」とか「やむを得ない」というのが普通ですよね。でも、私はこれを何とかしたい。「あれかこれかの矛盾」を「あれもこれも包含することで解決する考え方と具体的な手法」はないものか、と考え続けていました。

 そこで編み出したのが、〈時間がない時は「自己開示する」と「交渉する」〉という技術(スキル)でした。具体的に述べますね。

 

⑴まず立ち止まって身体の向きを変える

 良く見るのは立ち止まることもなく「あ、俺、今、忙しいから。またね」と通り過ぎてしまう先生。しかたないですよね。でも、もう少し生徒のことを大切にしませんか?と言いたい気持ちが私にはあります。

 とりあえずは、「先生‥」と声を掛けられたら、「立ち止まって、向きを変えて」「はい、何ですか?」と答える、これだけはやりましょう。校長先生・教頭先生・上司・年配の先生‥に対しては「忙しい」と通り過ぎることはないですよね。それと同じように生徒のことも大切にしたいものです。

 ついでに。職員室でPC画面に向かってタイピングしているときに生徒や同僚の先生、または教頭先生などから「あのさ‥」「ちょっと悪いんだけど‥」と声かけられる時もありますよね。そういう時に、キーボードに手を置いたままで、「はあ?」「なんですか?」と首だけその人に向けることも多々ありますよね。こういう時にも、キーボードから手を放し、椅子を回しながら、「はい。なんですか?」と対応したいものです。

 

⑵自己開示する

 さて、立ち止まって生徒の方に向き直してから、さっきの「先生、ちょっと相談があるんだけど」に対応します。この時に「忙しいんだよね」というのは少し「怒り」の感情が含まれてしまいます。これでは相談事がある生徒は、不安な気持ちを抱えているので、相手のピリピリした感情には敏感です。すぐに「すみません」と立ち去ってしまいます。でもでも、先生の反応も理論的には「当然」なのです。

 ある心理学の理論では、人間にはたくさんの感情があるけど、大元の感情は「喜び・期待・恐れ・信頼」であり、このうち「恐れ(不安)」が「怒り」に転化するという説があります。この理論は良くわかる気がします。先生は「授業に遅れたら、予定が狂う」「試験範囲が終わらないと生徒から文句を言われる」「担任や教科の先生たちから責められるかもしれない」‥等々の「恐れ(不安)」があるから、「怒り」の感情に結び付くということらしいのです。よくわかります。

 でも、その二次的に派生してきた「怒り」の感情をこの生徒にぶつけたら、感じさせたら、「かわいそう」ですよね。そこで、最初の提案が「自己開示」なのです。

具体的にはこうやります。「あ、はい。声かけてくれてありがとう。何か困っているのですね。それは何とかしたいですね。でも、私もあと5分後には授業を始めなくてはならないのです。困った。どうするかな‥」

 「5分後には‥」は「自分が置かれた状況の説明」、「困った。どうするかな‥」が「自分の気持ちの表現」=「自己開示をしている」ということになります。

⑶交渉のための状況の確認

 先生にやってほしいのは、この時にアタマの中で自分の予定を確認することです。「今日の放課後は空いているよ」と言った後で、会議があるのを思い出した、では生徒をがっかりさせます。しっかり思い出したうえで以下のように回答します。

 「今日の昼休みは余裕がなくて、明日の放課後なら、16:00-16:30の間のうち20分間くらいは時間取れます。明日の昼休みも用があるけど、明日の放課後は余裕あります。1時間くらい時間を取れます。どこが良いですか?」

 生徒は「選択肢があると選びやすい」のです。「じゃ、明日の放課後お願いします」などと答えます。これで、終わりでも充分上手な対応です。更に以下のように言えるようになったら、上級者です。

「すぐに話を聞けなくてごめんね。でも、あなたが我慢して冷静に考えてくれたおかげで、明日、ゆっくり話を聞かせてもらえそうです。協力してくれてありがとうね。私もほっとしました。では、明日」

 もし、この生徒の名前も所属も知らない場合は、きちんと確認を取っておくことも大事です。「〇年△組の・・・・さんですね。あなたから相談を受けていることは担任の先生に話しても良いですか?それともとりあえずはナイショが良いですか?」‥これも大事なことです。

⑷可能であればやっておくと良いこと

 翌日までに可能なら以下をやっておくとよりよく話を聞くことができます。

➀担任に連絡して状況を聞く。

 「ナイショじゃないのか?」と怒らないでください。私たち教師が目指すのは生徒の利益を最大にすることです。情報収集は大切です。担任にはこういいます。「本人は担任にはナイショにしてほしいと言っていた。私もOKと返事をしたから、この情報交換はナイショにしてね。どういう子なの?相談内容に心当たりある?」と尋ねます。

更に「終わったら、結果を報告するね」と伝えます。これで担任は安心します。

➁「担任に戻す」「親に戻す」

   「ナイショ」でも担任に報告・相談するもう1つの理由はこの相談対応の目的の1つは「担任に戻す」ことだからです。「担任よりも、担任ではない私を頼ってくれてうれしい」と感じるのは心優しいあなたの特性だと思います。

 しかし、当の担任にとっては、「俺より他の教師がいいのか?」「アイツにクラスの

生徒を奪われる」「もう、この生徒のことなんか面倒見ない」などという事にもなりかねません。そうなったら、結局、この生徒の不利益です。この生徒が落ち着いたら、自分のクラス担任のところに戻るようにしてあげるのが、最も大事な仕事です。お気を付けください。

《Ⅱ 今後の予定》

 今後、次のようなことをやろうと思っています。

1 上記の研修会では2時間で十数個の質問に回答しました。全て録音文字起こしが出来

 ています。そこで少しずつ体裁を整えて読んでもらえるようにするつもりです。

  また、上記の研修会の3日前には北海道とオンラインで結んで研修会を行いました。

 この方式も同様でした。この時の質問も10個ほどありました。これも整理するつもり

 でいます。その1つ1つをメルマガでお知らせするのは無理そうなので、何か別の形でお

 知らせしようと思います。

 

2 いずれは本にまとめていくつもりです。現在、ほぼ完成しているKindle本の原稿が1冊

 分あります。その次の本の原稿もある程度ストックがあります。これらを次々に出版し

 ていきたいと思います。ご期待ください。

 

3 このことについてアイデアやご希望がありましたら、お知らせください。大歓迎で 

 す。合わせてこのような研修会をたくさんやってみたいと思っています。現場で私の 

 「教師スキル=授業者スキル+担任スキル」を土台にした授業改善や生徒指導をお考え

 であれば、お手伝いします。オンラインでできますし、記録が残るのは学校にとっても

 大きな財産になるのではないかと思います。

 

4 その他のことも含めてメールでお知らせいただけるとありがたいです。

 メールで時間調整して、Zoom等でお話ししたいと思っています。ご連絡をお待ちして

 います。

  →akifumi.kobayashi@alal-lab.jp  

ご質問・ご意見は以下のグーグル・フォームでお受けしています。匿名でもOKです。

 

https://docs.google.com/forms/d/1JERIAHrafLszZI28vb_k6lldlgLZOMxqBOIfci152K8/e

 

回答はnoteに掲載します。ご質問者のお名前等は伏せます。

https://note.com/akifumikobayashi/n/n77f01a36a777

発行者名:小林昭文

連絡先:akifumi.kobayashi@alal-lab.jp

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