GCA magazine  #4   

2025年8月号

 

こんにちは。ガーデンキュレーター協会のメルマガ「GCA magazine」は、設立総会や講座、ワークショップ等にご参加いただいた方や、お仕事の相談があった方等にお送りしております。

 

猛暑、酷暑が続く中、みなさまお元気でしょうか?協会では、以前から予告していた通り、10月の北海道でのガーデンキュレーター即戦力キャンプの申し込みを開始しましたよ!

 

【目次】

・column「一枚の写真から」by 山本紀久

・column「ガーデナーからジビエを流行らせよう!」by 小島理恵

・「追分・矢指市民の森の生きものたち 」 by上原健

・協会からのお知らせ(即戦力キャンプ詳細)

・おすすめの展覧会「植物×匠 めぐるいのち、つなぐ手しごと」

・書籍紹介 「北国の暮らし 今を豊かに生きる家しごと庭しごと」

 

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 ▷ column「一枚の写真から」vol.3 by 山本紀久

 

改めて「コケ植物の」奥深さを知る!

 

2025年7月11日の日帰り社員旅行での午後の工程は、北八ヶ岳の‘苔の森’のガイドツアー!案内は「青苔荘」の3代目、山浦雄大氏。

 

もののけ姫や白雪姫の映画の舞台となった苔むした森や尾瀬沼の水苔の湿原、京都の苔庭や盆栽の根際を覆う苔マットや苔玉に至るまで・・・「苔」には人の心を落ち着かせ、リラックスさせる独特の魅力がある。

 

種類も多く形態も様々なので造園植栽材料として自在に使いたいと思うのは私ばかりではないのだが、苔は種類ごとに土壌、温度、湿度、日照などの組み合わせによる微妙な違いによって棲み分けていることから、特定の苔を健全かつ継続的に維持するのは至難の業である。その棲み分けの実態を学び、現物を見るにつけ、改めて人が支配出来ない‘苔風景’の神秘さに惚れ直した旅であった。

 

 

 

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▷ column「ガーデナーからジビエを流行らせよう!」 by 小島理恵 |vol.4

 

Knepp Estateの再野生化のことを記した『英国貴族、領地を野生に戻す』を読んで、イギリスにおける鹿の役割と、日本における、いわゆる「鹿害」といわれることの違いをぽつぽつと考えていたら、先日、横浜市石川町の小さなビストロで美味しい鹿のローストに出会いました。駅裏の路地の、特に予約もいらない気楽な店なのですが、これがすごく美味しかったのでした。

 

それで思い出したのが、諏訪の御頭祭(おんとうさい・おとうさい)です。

 

諏訪大社の近くに、大好きな藤森照信さん設計の神長官守矢史料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)という建物があります。中に入ると、鹿と猪の頭がずらっと壁に掛けられおり、「おっ!」と、のけ反るほどの大迫力があるのですが、これは、「鹿の頭75頭分を神前に供える」という御頭祭をイメージした展示です。

 

はじめてこれを見て、説明を聞いたときに思ったのは「毎年、これだけの鹿や猪をやっつけていないと、畑が荒らされちゃうっていうことなんだろうな」と。それを、「神人共食」という名目で、ありがたく皆でいただいてお祭りとしていたのではないか?と想像します。

 

もともと土壌条件があまり良くないイギリスの国土においては、鹿などの草食動物を放つことによって土の有機質が増え、植生が豊かになるという現象が起きますが、高温多湿の日本においては、放っておいても裸地には草が生え、やがて森となっていきます。その途上であるヤブ化を防いでくれるのが、草食動物の役割だったりするわけですが、人間が暮らすエリアにおいては畑の作物を食べられてしまったりするので、昔から共存に苦労していたのではないか?と想像するわけです。

 

近年は、畑だけでなく、ガーデンにおいても鹿との共存に悩まされている現場が多いことは、皆さんもご承知の通り。農水省もジビエ利用拡大キャンぺーンを行ってますね。そこで、ガーデナーが積極的にジビエを食べるキャンペーンとかしたら面白いんじゃないかな?輸入飼料を食べて育っている牛よりも、きっとヘルシーだし、経済的にも合理的。

このアイディア、どうですか?

 

・Knepp Estate

 https://knepp.co.uk/knepp-estate/

・神長官守矢史料館

 https://suwaarea-examine.com/moriyamuseum.html

・御頭祭について

 https://suwa-ex.com/blog/2250/

・農林水産省 ジビエ利用拡大コーナー

 https://www.maff.go.jp/j/nousin/gibier/index.html

 

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 ▷  「追分・矢指市民の森の生きものたち」 by 上原健|vol.4

 

*「ここの自然や生きものに関しては、世界で一番詳しい」という事務局長、上原が写真で綴る「旭区 追分・矢指市民の森ファンページ 」。季節と共にうつろう生き物たちの奥深い魅力を感じられます。ぜひフォローをお願いします。

https://www.facebook.com/oiwakeyasashi.shiminnomori

 

真夏の追分市民の森

 

カサブランカの元になったヤマユリ、手入れの成果で年々増えていて、今年も華やかに森を彩りました。そしてヤマユリの花が終わった頃、セリモドキの花が咲き始めました。ヤマユリとは対照的な地味な花ですが、神奈川県では希少な種で、ここの他には大和市の泉の森しか知られていません。秋にはたくさんの種を実らせてくれることを願って、静かに見守っています。

 

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● ガーデンキュレーター即戦力キャンプ 2025 in 北海道

J A G(ジャパンガーデンデザイナーズ協会)理事で、ガーデンキュレーター登録もしている梅木あゆみさんがデザイン・管理をしている「ノーザンホースパーク」にて、山本紀久先生、鈴木雅和先生、梅木さんから直に学べる貴重な機会です。

 

日時 :2025年10月4日(土)・5日(日)

場所:ノーザンホースパーク(北海道苫小牧市美沢114−7) 

https://www.northern-horsepark.jp/

参加費:55,000円(消費税込み) + 団体バス・1日目のランチ代(別途、金額が分かり次第お知らせします)

※参加費に含まれないもの:開催場所までの交通費・宿泊費、懇親会費(参加自由)、2日目のランチ

 

1日目は見学と座学、2日目は敷地内のK’s Garden の刈り出し作業を予定しています。

https://g-curator.org/post/news/id2253/

 

「今回のキャンプのホストを務める梅木です。ノーザンホースパークに加え、ノーザンファームのランドスケープがどのように作られてきたかを皆さんと一緒に深掘りできれば嬉しいです」

 

「花園は、適切な位置や大きさの高木や低木が在ってこそ引き立ちます。今回は、花園の中の大形の低木を草花と競合させないために『引きと切り戻しによってコンパクトに』整えてみます」と山本先生。

 

伝統の剪定技術を受け継ぐ *「造園植栽術」190ページから

 

剪定とは、枝を切り、所期の目的に合うように樹形を整える作業を行い、果樹などでは、果実が樹全体に配置され、収穫しやすく、果実の品質が平均化するために行うが、庭園の場合は、庭全体のバランスをくずすことなく、美観を高めるように配慮して行われる。

 

 樹木は、自然のままに生長して年齢を経て巨大になるほどその樹の持つ個性が現われてくる。しかし限られた空間の庭園で高木を観賞するには、定期的な整枝や剪定が欠かせず、その際の剪定の巧拙が樹木の景観的な価値を左右することになる。剪定が、単なる枝伐りと異なるのは、樹体の活力が弱まらないことを前提として、枝葉の切除の時期や位置や量を加減しておこなわれることである。剪定は、枝葉を透かすだけの簡単な作業のように見えるが、熟練者は、樹は痛みを感じるいきものとして接し、樹木と会話する気持ちで相対するのである。その手順は、剪定後の樹形と回復後の樹形、を頭描きながら、樹木に負担の少ない適切な部位をすばやく判断し、切り口を荒らさないように、鋭利な鋏で枝葉を取りはずす、のである。その作業に、切るや伐る、という言葉を使わず、はずす、はさむ、飛ばす、透かす、抜く、詰める、下ろすなどの表現を使うのは、剪定は樹を活かすため、という思いからである。

 

 (.....後略)

 

「造園植栽術」の実践編に、ぜひご参加ください!

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▶︎  おすすめの展覧会 

 

国立科学博物館・竹中大工道具館共同企画展

「植物×匠 めぐるいのち、つなぐ手しごと」

 

日本における景観を理解するうえで、日本人が植物を暮らしにどう利用してきたかということも知っておくのは良いことだと思っています。

「温故知新」・・・過去を知ることによって、未来を想像することができるということを、折に触れて実感しています。私も時間を作って行ってみたいと考えています。(小島)

 

日時:2025(令和7)年7月29日(火)~9月28日(日) 9時~17時

場所 :国立科学博物館(東京・上野公園)

日本館1階企画展示室

料金 :一般・大学生630円(団体510円)

https://www.kahaku.go.jp/event/2025/07plantsandcrafts/

 

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▶︎  書籍紹介  

● 「北国の暮らし 今を豊かに生きる家しごと庭しごと  」

  (KADOKAWA  1,760円)

 

既にご存じの方も多いかと思いますが、10月のキャンプのホスト、梅木あゆみさんご一家の北海道での暮らしが綴られた本が今年の2月に出版されています。梅木さんのご子息でYouTuberのKuroさんによる初の著作です。一度、北海道を出たからこそ分かる、実家での暮らしの面白さ。北海道の厳しくも豊かな自然と、祖母や母の日々の仕事や営みの中に折り込まれた知恵や工夫が、淡々と、かつ、やさしくあたたかな視点で切り取られています。写真を眺めるだけでも、その暮らしぶりが伝わってきます。自分もまだまだ、もっと暮らしを楽しみたい!と元気をもらえる本です。

ぜひお手に取ってみてください。

 

カドカワ公式オンラインショップ「カドスト」

https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322409001302/

※amazonや楽天でも購入できます。

 

書籍の元になった登録者数39万6千人のYouTubeチャンネル

Kuro -「北国の暮らし」では100本以上の動画を楽しむことができます。

https://www.youtube.com/@kuro.hokkaido

 

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編集後記

 

「北国の暮らし」の秋冬の動画を眺めていると目に涼しく、一時、暑さを忘れました。また、八ヶ岳の苔の話、諏訪の祭りの話題からジビエの話、追分の森の野の花、剪定技術と国立科学博物館での匠の技の展示の話題など、それぞれバラバラのようで全て有機的に繋がっているように感じられます。そんな感覚を読者のみなさんと共有できていたら嬉しく思います。  

 

 

GCA magazineは毎月9日に発行しています。

 

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