GCA magazine  #9   

2026年1月号

 

あけましておめでとうございます。

 

毎月9日発行の、ガーデンキュレーター協会のメルマガ「GCA magazine」は、設立総会や講座、ワークショップ等にご参加いただいた方や、お仕事の相談があった方等にお送りしております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

【目次】

・協会からのお知らせ(2/6・7開催!第2回総会とエクスカーションのお知らせ)

・column「一枚の写真から」by 山本紀久

・column「「新しい美の潮流」」by 小島理恵

・「ガーデンキュレータが知っておきたい鳥の話:ウグイス 」 by 上原健    

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▶︎協会からのお知らせ

 

2月6日に総会およびシンポジウム、7日にエクスカーションを開催いたします。2025年の設立総会では、100名を超す多くの方にご参加いただきました。今回も、盛沢山な内容をご用意しております。会員でない方のご参加もOKです!是非、お知り合いの方も誘って、ご参加ください。

 

■ガーデンキュレーター協会 総会・シンポジウム

開催日時:2026年2月6日(金) 

     第1部 14:00~16:30

     第2部 17:00~19:00

場所:ナビオス横浜 ( 神奈川県横浜市中区新港2-1-1) 2F「カナール」

 

●第1部 総会 

・基調講演:「管理は芸術 maintenance is art」

 ー小布施待総合公園を事例としてー

 山本紀久氏(愛造園設計事務所代表取締役会長/ランドスケープコンサルタンツ協会参与)

     

・デジタルツインのキュレーションへの活用について

 鈴木雅和(筑波大学 芸術系名誉教授)

 古賀大誠(株式会社ユニマットリック)

 

・事業協同組合設立について

 小島理恵(ガーデンキュレーター協会会長/株式会社Q-GARDEN代表取締役)

 

●第2部 シンポジウム

 

参加者の方々がお互いに語り合えるような仕掛けを準備しております。美味しい食事を楽しみながら、普段はなかなか話せない同業者の方々と、ネットワークづくりにお役立ていただけたらと思います。

 

申し込み締め切りは1月19日です!

■エクスカーション in 横浜2026

 

協会のアドバイザーのお一人、戸田芳樹風景計画の大橋尚美先生のご案内で、みなとみらい~山下公園周辺を歩きます。

緑地計画や管理の状況など、普段は聞けない話も飛び出すはず。ゴールは中華街のランチを計画しています。 

詳細はお申し込みの方に別途お知らせいたします。

 

開催日時:2026年2月7日(土) 9:30~13:30頃

集合場所:新港中央広場

会費  :5,000円ほどを予定(ランチ代込)

 

申し込み締め切りは1月25日まで!

 ▷ column「一枚の写真から」 vol.8 

  by 山本紀久 

 

新春の小庭の「図」を受け持つマンリョウ

  撮影日:2011年1月17日

 

観賞を目的とした庭木は、植物季節の全体、あるいは一時期の姿が、他の植物にはない魅力的な特徴を持つものが、庭の目的、環境、規模などに応じて、選ばれ、組み合わされてきた。

その魅力のポイントとなるのが季節的におこる、植物の芽吹き、開葉、落葉、開花、結実など、自然界の植物が示す諸現象の時間的変化などの過程を対象にした植物季節(プラントフェノロジー= plant phenology)である。参考:国立環境研究所 市民調査員と連携した生物季節モニタリング

 

庭園を構成する植物には、その魅力が通年的に風景の「図」として位置づいているものと、普段は、庭園の背景としての「地」を受け持ち、一定の季節だけ「図」として注目される種が混在しており、またその組み合わせこそが、その庭の個性と言っても良い。

 

我が家の庭で言えば、7mほどの2本のクロマツが通年的な「図」で、イヌシデ、コナラは、通年的な「地」。その他は、早春の「図」として、落葉性のイロハモミジ、ウメ、キブシ、マンサク、ロウバイやフクジュソウなど、その後にアンズ、ジューンベリー、ヤマボウシやアミガサユリ、ハナニラなどが続き、晩春から盛夏にかけての庭全体が濃淡織り交ぜた、緑一色の「地」模様の時期を経過し、秋のヒガンバナを境にしてイロハモミジ、ドウダンツツジ、ニシキギ、メグスリノキなどの紅葉やヤツデやツワブキの花でその年の幕を閉じ、新春の芽吹きや開花までの果実による「図」を受け持つ、ナンテン、ピラカンサ、センリョウ、マンリョウ、ヤブコウジなどにバトンタッチする。

 

その中でも今回、我が庭のエースとして紹介するのが、通年を通した「地」の主役でありながら、間違いなく年末から新春にかけての「図」の主役でもある、マンリョウである。我家のマンリョウは、30年以上前に植えた一株から、小鳥たちが見事に配植してくれたもので、10年以上前から常に20本以上が年間を通して庭の俯瞰景を引き締め、賑わしてくれる。改めてその魅力にせまってみる。

 

・零下2~3℃程度までの耐寒性がある常緑深緑の葉と真紅の果実のコントラストが見事

・1m程度の低木にも関わらず大樹の風格を持つ

・環境が良ければ数十年老化せずに生き続ける

・実生からの生育が容易で3~4年で実をつけ耐陰性があり落葉樹の樹下で自然更新する

・枝打ちせず成長が遅いので手入れ不要 などなど

金運に恵まれるとの縁起木でもあるので、庭の片隅に植えてみても損は無いでしょう。 

 

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▷ column by 小島理恵 vol.9

「新しい美の潮流」

 

2026年最初のメルマガです。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 

昨年の大みそかの日に、Gardens Illustratedの『THE NEW BEAUTIFUL』という本が手元に届きました。副題は「Inspiring gardens for a resilient future」。

「レジリエント」とは、「回復力のある」、もしくは「困難に強い」といった意味でしょうか。

 

ページをめくっていくと、グレートディクスターに、枝を積んだ大きな昆虫のハビタットがシンボリックに据えられていたり、シシングハーストでは、もう灌漑を行わない方針に切り替えたりと、有名な庭園が、かつて自身が見学に行った時と違う姿をしているということを知ります。

また、全体的に、支柱が無い・(伝統的でアイコン的なものを除いて)刈込やエスパリエなどの仕立物がほぼ無い、そして、春から初夏の花と新緑の美しい写真が大半を占めているのが特徴といえるでしょう。

かつてガーデンデザイン界を席巻していた、冬枯れのフォルムを逆光で撮るというグラフィックは、ほぼ無くなりました。

 

個人的には、日本においてグラス類(イネ科植物)は、箱根の仙石原や阿蘇などの萱場のススキの景色、もしくは、伝統的な棚田の稲穂の光景に勝るものはないと考えているので、様々な園芸品種のグラス類を用いてガーデンをつくるという流行のようなものを日本でも取り入れるということに、実は、どうしてもなじむことができずにいました。また、植栽に集う虫たちの姿を見ていても、やはり、様々な品種の花が咲いていると、様々な品種の虫(ハチだけでも何種類も)がやってくるということで、生物多様性に寄与するという点で、様々な品種の花ものを組み合わせることは自然の理にかなっていると考えます。

 

編集者による序文にこのようなことが書かれています。一部を引用します。

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設計してすぐに作り、次の庭に持ち越す「インスタントガーデン」の時代は終わりました。「アフターケア」や「メンテナンス」という考え方から、スチュワードシップという考え方へ移行し、熟練した芸術的な庭師が、細心の注意と軽いタッチで庭を育むことの価値がますます認識されるようになっています。

 この新しい波において、生物多様性は最も重要です。

〈中略〉

 かつては多くのデザイナーがスタイルを実質よりも重視し、環境に配慮した多くの庭師がスタイルよりも実質を重視していると非難されることもありましたが、今では両者の境界線は曖昧になり、両方を実現する方法を模索する活発なグループが存在します。

Stephanie Mahon (Google翻訳)

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私は、自身でデザインしたガーデンのみならず、他の優れたデザイナーの方がデザインしたガーデンの手入れをしてきた経験から多くのことを学びました。

その中で、これからのガーデンに最も必要だと考えたことは、デザイナーと庭師、研究者など、ガーデンや生態系に関わる人々の垣根をなくし、共に活動していくということでした。

 

昨年1月に設立したガーデンキュレーター協会は、まさに、優れたデザイナーと優れた庭師を繋ぐ組織です。定期的に行っているワークショップでは、何か新しいものを植えるのではなく、今ある余計なものを取り除くことで、その空間の美しさを引き出すという実践と研究を行ったりもしています。

さらに、今年2月の総会では、事業協同組合の設立と、今後の活動についてご報告できる予定です。

 

本年も、様々なところで皆さまとご一緒できたら嬉しいです。

 

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▷  「ガーデンキュレータが知っておきたい鳥の話」 by 上原健|vol.9

  写真:ウグイス雌 撮影:叶内拓哉

 

明けましておめでとうございます。午年(60年に1度の丙午)の2026年が始まりました。だからと言って私に、馬について気の利いた話を書くことができるはずもなく、野鳥の話を続けます。今回は、日本人なら誰もが知っているウグイスについてです。

 

30年程前、我が家の周辺には竹林と梅林が広がっていて、とても横浜とは思えないほどのどかでした。が、あっという間に開発され、今では戸建て住宅と富裕層向けの立派な介護付き有料老人ホームが占有するエリアになりました。

開発前にどんな鳥がいたか、ちゃんと記録してはいませんが、前々回、前回に取り上げたメジロやモズがいたことは覚えています。ウグイスはどうだったかなぁ?30年後の今、モズは見かけなくなりましたが、メジロは日常的に見かけます。そして当時印象の薄かったウグイスは明らかに増えました。

 

考えられる理由の一つはウグイスが好む環境が増えたこと。この老人ホームの立派なお庭(なんせ富裕層向けですから)に、竹林、梅林時代にはなかった植え込み、生垣ができたんです。そこがウグイスの格好のすみかになっているんですね。

生垣や笹藪という枝葉が込み入った空間に生息すること、この習性こそがウグイスという鳥の姿形や鳴き声を理解するポイントです。そう、ウグイスはもともと典型的な"藪の鳥"なのです。

藪ではお互いの姿が見えません。コミュニケーションにおいて重要なのは声。着飾っても無意味とばかりにウグイスの仲間はどれも似たような地味な姿と色をしています。それらを絵や写真だけを見て識別するのは困難、その代わりに声はそれぞれ独特で識別は簡単、そういうグループです。

 

冬のこの時期、老人ホームの植え込みから"チャチャッ、チャチャッ"っという舌打ちのような声が聞こえます。あちらからもこちらからも。私はこの声の主がウグイスということを知っています。ウグイスが増えたと感じたのは、この声がよく聞こえるようになったからです。ウグイスの姿を拝むのはなかなか難しいので、その存在を知るには声が頼りです。

ん?ちょっと待った!ウグイスの声と言えば"ホーホケキョッ"でしょ!そう突っ込まれそうですが、鳥の鳴き声にはさえずり(song)と地鳴き(じなき、call)がありまして、"ホーホケキョッ"は繁殖期の雄が歌うソングで"チャチャッ、チャチャッ"は非繁殖期の雄も雌も発するコミュニケーションのためのコールなのでありました。

 

さすがウグイスというべきか、"ホーホケキョッ"は「法、法華経」と聞きなされ、"チャチャッ"は"笹鳴き(ささなき)"という風流な名前が与えられています。格別な存在感!ついでに言うと、ウグイスが警戒している時の"ケキョケキョケキョ"にまで別に"谷渡り(たにわたり)"と言うカッコいい名前が付けられています。

 

ウグイスの羽衣(うい)は地味ですがシックと言えないこともない。ただ、本来の鶯色は灰色がかった落ち着いた黄緑色なのに、メジロの明るい抹茶色を思い浮かべる人が多いようです。皆さんはどうでしょう?昔から多くの日本人がウグイスとメジロを混同しているんですね。メジロが梅や桜の花にやって来て、人眼につきやすいのに対して、ウグイスは声はすれども姿は見えず。つまり、花札の"梅に鶯"は、"梅に目白"の鳥違い!ウグイスの本当の姿を見たことのない日本人のなんと多いことか!

 

ウグイスは春告げ鳥の別名を持ち、2月になればポカポカ陽気に誘われて歌い出します。その時には枝先にその姿を見つけることができるかも。待ち遠しいですね。

もっとも、皆さんならさえずりを待たなくても庭木の手入れの時に、超有名なのにとてもシャイな鳥、ウグイスを間近に見ることができそうですね。ガーデナーならではの特権かも。

 

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編集後記

 

最後までお読みいただきありがとうございます。とにかくやってみようというところから始めたメルマガ配信ですが、協会の法人化と並行して、回を重ねることで、だんだん組織の輪郭や基盤が見えてきたように思います。執筆陣も次第に雄弁になってきて、長いっ!と思う方もいるかもしれませんが、知的好奇心を刺激する"読み物"として楽しんでいただけると嬉しいです。(メルマガ・SNS担当A) 

 

GCA magazineは毎月9日に発行しています。

 

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