誰も取り残されない災害対応をあきらめない
このたびの熊本地方での地震により被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。ダイバーシティ研究所では、これまでの災害対応で培ってきた経験をもとに、今回の熊本地震においても必要な支援活動を検討しています。
当研究所は、被災した地域で世帯ごとの住まいや生活の状況を把握し、「次の生活」への移行につなげる支援に取り組んできました。2016年の熊本地震では、益城町と委託契約を結び、訪問活動を実施しました。2020年の熊本豪雨では、八代市および人吉市と委託契約を結び、被災世帯への訪問活動を行いました。2024年の能登半島地震では、「被災高齢者等把握事業」や「見守り相談支援事業」の一環として、主に輪島市で継続的な支援に協力しています。
今回の災害では、猛烈な暑さが避難生活をいっそう厳しいものにしています。さまざまな団体やボランティアによる支援により、状況は少しずつ改善しているようです。一方で、この規模の災害では避難生活の長期化が予想されます。涼しくなれば自宅へ戻る方もおられるかもしれませんが、生活再建には時間がかかります。前回の巻頭言(https://diversityjapan.jp/mailmag20260714/)でも触れたとおり、災害支援には、発災直後の対応だけでなく、長い期間を見据えた継続的な取り組みが必要です。
さて、今回の地震では、この原稿を書いている時点で、少なくとも1人の外国人が亡くなっています。熊本県は、過去10年で在留外国人数の伸び率が最も高い県です*。県内では、半導体関連産業のほか、農業や建設業に従事する外国人も少なくありません。災害は住まいだけでなく、職場にも大きな影響を及ぼします。外国人の場合、仕事を失うことが在留資格の喪失につながる場合もあります。
さらに、昨年夏頃から外国人に対する不寛容な世論が高まっており、今回の地震でも外国人に関する根拠のないデマが流れています。被災の影響に加え、偏見や誤情報による二次的な被害を防ぐことも重要です。
同じ被災者の中で、排除される人が出てはなりません。また、どのような理由であっても、災害に関連してこれ以上の被害が生じることは避けなければなりません。私たちは、同じ問題が繰り返されてしまう現実や、社会に深く根づいた不安の背景に目を向ける必要があります。そのうえで、誰も取り残されることのない災害対応をめざしていきたいと考えています。
*熊本県の在留外国人数は2016年末が11,662人、2025年末が32,372人で2.78倍増えました。この間の全国の伸びは1.73倍でした。
ダイバーシティ研究所
代表理事 田村太郎