トレビアンフランス語アカデミー講師のロスティ泉が、フランス語学習に関する役立つ情報を配信していきます。

【TBフランス語通信】

スペインの雌牛のように話す

2025年09月15日



フランス人は何かと他国の人をおちょくるのが好きなのですが、
今日は他国の人(や動物)を使ったフランス語の慣用表現を
ご紹介します。

parler français comme une vache espagnole

「フランス語をスペインの雌牛のように話す」

これはどういう意味かと言うと、
「ひどいフランス語を話す」という意味です。

● Je parle français comme une vache espagnole.
「私はフランス語がものすごく下手です」

なんともスペインの牛に失礼な気がしますが、
中世のスペイン牛(vache espagnole)は、ことわざとして
「奇妙・下手」を連想させた、という一説があります。


これに似たのが:

parler chinois

直訳は「中国語を話す」ですが、
「何を言っているか全くわからない、ちんぷんかんぷん」
という意味で使います。

● Arrête d’utiliser ces termes techniques, tu me parles chinois !
「そんな専門用語ばかり使わないでよ、何を言っているのかさっぱりわからない!」


そして、

fort comme un Turc

直訳は「トルコ人のように強い」ですが、
「とても体が強い、頑丈」という意味で使います。
17〜18世紀、オスマン帝国の兵士の力強さからきているとされています。

ただし国名を使った古いステレオタイプなので、
現代では使う相手や場面に注意が必要です。


最後に面白いのが、

filer à l’anglaise

直訳すると「イギリス風に立ち去る」ですが、
「こっそり立ち去る」という意味があります。

ところがイギリスでは「こっそり立ち去る」ことを

take French leave

と言うそうで、フランス人とイギリス人が、お互いに
何かと悪口を言いあっているのが分かります。


イギリス人に対しては悪口ばかり言うフランス人。
お隣のベルギー人に対しては「ベルギー人はちょっとドジ」という態度を取り、
実はベルギー人をバカにしたジョークがたくさんあります。

まあこれも "fort comme un Turc" のように、現代の公の場では
使わないほうが無難だと思いますが、ご参考までに「ベルギージョーク」
を一例だけ。

ーPourquoi les Belges ouvrent-ils toujours leur yaourt avant de le payer ?
ーParce qu’il est écrit « ouvertures faciles ».

ー「ベルギー人はなぜヨーグルトを買う前にフタを開けるの?」
ー「簡単に開けられます」と書いてあるからさ。

東京人が大阪人を(またはその逆)をからかう感じでしょうね。
言われたご当地の人は、いい気分ではないでしょうが。

そういえば 1991年に、当時フランス首相だったエディット・クレッソン
(Édith Cresson)が、日本人について次のように発言して物議を醸しましたっけ。

« Les Japonais, ce sont des fourmis. »
「日本人はアリのようだ」

« Ils ont une mentalité de fourmis, ils travaillent tous pareil. »
「彼らはアリのようなメンタリティーを持ち、皆同じように働く」

当時、フランス人の日本に対するイメージが悪かったことを
思い出します。


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