「易しく書く」のワナ
読んでいました。理由は何でしょう?
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エンジニアライターの
「書いて人生を変える」メルマガ
Vol.0709 2024.5.8
発行者:蔵本貴文(くらもとたかふみ)
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こんにちは。
エンジニアライターの蔵本です。
難しいものを分かりやすく伝えたい
というニーズは大きいものです。
特に科学技術系のテーマは
やはり難解なものも多いので、
「〇〇を小学生でもわかるように」
といった希望を出される方も
いたりします。
ただ「とにかく分かりやすく」
といった考え方には、
抜けやすいポイントがあります。
つまり、分かりやすく書いたとして、
「なぜ、読者がそれを読みたいのか」
ということです。
いくら何かを分かりやすく伝えても
そもそも、それを知る動機がなければ
読むわけがありません。
例えば、「微分方程式」が
わかりやすく書かれていたとして、
普通の人はやさしくとも、
それを読もうとは思わないでしょう。
そのことよりむしろ、
「○○を学ばずにはいられない」
導線を引くことが大事なのです。
これは当たり前と思われるでしょう。
しかし、意外に「易しく書く」こと
ばかりに集中してしまい、
この事実を忘れてしまう人も
多いのですね。
例えば、法律をテーマとするとして
「身近にある法律」といった、
雑学的な本を書く人もいます。
しかし、元から興味がある人を除けば、
いくら身近な法律を書いたとしても、
それを読む動機はありません。
ですから、それを書くのだったら、
急に法律の闘争に巻き込まれて、
必死で情報を探している人を
ターゲットにした方が良いと
思うのです。
昔、半導体の専門書を
「私の母親でもわかるように」
書いた、という人がいました。
実際のところ、そのレベルの方が
理解できるような内容では
ありませんでしたが、
著者の母親は確かに読んだのです。
しかし、その理由は
「息子が書いた本」だからであり、
その母親が「半導体」を知りたい
動機があったとは思えません。
ですから、その努力は
結果に結びつくものではないのです。
それであれば、その専門知識が
欲しがる技術者を想定して、
そのレベルに合わせた本を
書いた方が良いわけです。
特に専門家は自分の分野を
易しく伝えることに
集中しがちです。
しかし、読者に読む動機がないと
全く意味がないことを
意識しておきましょう。
●●今日のポイント●●-----------------
ある分野の専門家が陥りやすい、
「易しく書く」のワナに注意。
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