【Tear’s Letter】発達障害者への性暴力調査から見えてくる『男らしさ』『女らしさ』｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】発達障害者への性暴力調査から見えてくる『男らしさ』『女らしさ』

2019年03月24日

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★　Tear’s Letter
★　発達障害者への性暴力調査から見えてくる
★　『男らしさ』『女らしさ』
★　2019年3月24日　No.405
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

理事長中野のコメントが、メディアに掲載されました。

1つ目は、乳腺医師による強制わいせつが問われた裁判で、
性暴力を経験した方への無配慮なやりとりが繰り返された
ことについて、お話しています。
↓『性犯罪の法廷は、どれほど女性被害者を傷つけるのか　
無罪判決の医師わいせつ事件を振り返る』＠ハフポスト
http://bit.ly/2URFgMj

もう１つは、ピエール滝容疑者が麻薬取締法違反の疑いで逮捕
された件を受け、性犯罪をはじめとする加害者の作品販売に
ついて、「謝罪」と「更生」の観点から話をしています。
↓『ピエール瀧が売れない俳優でも公開中止に反対しましたか？
「作品無罪」を考える』＠Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-187391

ともに注目されている事件で、発言を取り上げて
いただきました。今後もこうした機会を増やし、
性犯罪の現状への理解が進むよう、努力してまいります。

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.405 Topics】
┃★１．発達障害者への性暴力調査から見えてくる
┃ 　　『男らしさ』『女らしさ』
┃★２．編集後記
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★１．発達障害者への性暴力調査から見えてくる
　　　『男らしさ』『女らしさ』
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しあわせなみだが実施した「障がい児者への性暴力調査」。
http://disabled.shiawasenamida.org/

明治大学4年菊池悦子さんが、本調査に参加し、卒業論文を執筆
しました。今回のメールニュースでは、菊池さんに、論文の概要
をご紹介いただきます。

＊＊＊

私は刑法性犯罪処罰規定に「被害者が障害児者であることに乗じた
性犯罪」を創設することを目的に2018年３月～５月に実施された、
発達障害者への性暴力調査に参加した。この調査はインタビューと
アンケートによって発達障害者への性暴力の実態を明らかにし、
発達障害者を含めた障害児者が健常者よりも性暴力に遭う危険性が
高いこと、そのため障害児者への性暴力を刑法で規定する必要が
あると広く社会へ訴えるために行われた。今回の調査では
発達障害者、中でも女性は多くの人が性暴力を経験していることが
分かった。

この調査の過程で私がもっとも興味を感じたのは男女差だった。
「発達障害」という同じ問題を抱えながら、男性と女性で対人関係
での対応の仕方や、感じていることは大きく異なった。調査では
男女共に疎外感や孤独感を抱いた経験が語られた。だが、そのこと
への対応や感じ方は男女で違う。女性は優しく愛想よくふるまい、
自責感が強く、自己主張することで人を傷つけないか恐れていた。
男性は孤立することに寂しさは感じていても、自分を責めず、
自己主張することへ罪悪感を抱かない。

このことと、女性の方がより多くの性暴力を経験していることは
関係があるのではないか。女性に求められる「やさしさ」「包容力」
「気づかい」といった「女らしさ」は、女性が自己主張をする
ことを難しくし、性暴力被害を受けやすくする。反対に男性が
求められる「強さ」「リーダーシップ」「豪快さ」のような
「男らしさ」は男性の攻撃性を社会に容認させ、時に女性の
気持ちを無視する強引な振る舞いへと結びつき、性暴力加害者にも
なりかねなくさせる。あるいは男性が性暴力の被害に遭った時、
「男らしさ」の規範から外れることへの恐れから被害を訴える
ことができなくさせる。インタビューでは、これらの仮説を
実証するエピソードが多く語られた。

性暴力調査の結果から、どうすれば「男らしさ」「女らしさ」に
起因する性暴力の問題を克服できるのか考察した。このような
性暴力をなくすために、「性教育」「障害者への性暴力の実態を
社会に周知する」「男らしさと暴力の親和性を否定する」
「女らしさが自己主張を難しくすることを知る」「ジェンダー教育」
という5点から対策を考えた。

信じやすく、自分に自信がなく、言葉を字義通りに受けとめる
発達障害者の特性は、社会通念としてある「男らしさ」「女らしさ」
に強く影響を受けていると考えられる。発達障害者への
インタビューから見える「男らしさ」「女らしさ」には、私たちが
無意識に縛られている社会規範としての「男らしさ」「女らしさ」
が特に色濃く映し出されているだろう。
「男らしさ」「女らしさ」から発達障害者が自由であり生きやすい
社会は、私たちにとっても自由で生きやすい社会となるはずだ。
そうした社会を築くために、まずは発達症障害者が性暴力被害に
遭わない社会を目指さねばならない。

☆著者プロフィール
菊池悦子（きくち・えつこ）
1976 年生まれ。高校卒業後から約20年間のほとんどを、非正規雇用
の販売員として働く。不安定な労働環境と女性の働き方の未来に希望
が持てないことに疑問と不安を感じ、この問題を考えるために38歳
で明治大学入学。こうした経験を書いたレポートで、2018年に
日本女性学習財団第一回未来大賞を受賞。2019年、首都大学東京
大学院に入学予定。

★２．編集後記
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DV（ドメスティック・バイオレンス身近な人による暴力）で
離婚調停中であった妻が、家庭裁判所で夫に殺害される事件が
起こりました。DVは単なる夫婦喧嘩ではなく、パートナーを
自分の支配下に置き、コントロールすることを目的とした暴力
です。相手が言うことを聞かなければ、「どのような手段を
使ってでも従わせる」ことが、相手のためだと信じています。
このため、離婚を成立させるための裁判は、命がけです。
二度とこのような事件が起こらぬよう、DVに関わる機関の
適切な対応と、支援策の充実が望まれます。

↓詳細は3/21付ヤフーニュース「家庭裁判所で女性が刺され死亡の
衝撃。命がけで救いを求めて訪れる被害者たちを裁判所は守れて
いるのか。」をご覧ください
http://bit.ly/2FqYXDW

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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