【Tear’s Letter】発達障害者への性暴力の実態に関する調査を実施して―障害者への性暴力被害を無くすために私たちにできることとは－｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】発達障害者への性暴力の実態に関する調査を実施して―障害者への性暴力被害を無くすために私たちにできることとは－

2019年04月07日

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★　Tear’s Letter
★　発達障害者への性暴力の実態に関する調査を実施して
★　―障害者への性暴力被害を無くすために
★　私たちにできることとは－　
★　2019年4月7日　No.407
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

理事長中野のコメントが、朝日新聞デジタルに掲載されました。
厚生労働省の検討会で、予期せぬ妊娠を防ぐために服用する
緊急避妊薬が、オンライン診断等、直接対面でなくても、
処方が可能となる見通しになりました。これを踏まえ、
☆無理やり性交等をされた後、95％以上が
　警察にも病院にも相談していない現状
☆緊急避妊薬にアクセスしやすい環境整備の重要性
☆オンラインのみでは、心のケアや性感染症への対応が
　困難であり、更なる支援につなげる必要性
を指摘しています。ぜひご覧ください。

↓3/29付朝日新聞デジタル『緊急避妊薬オンライン
処方解禁へ　望まぬ妊娠回避に期待』はこちらです
（有料会員登録で全文ご覧いただけます）↓
http://bit.ly/2TJc3Bx

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.407 Topics】
┃★１．発達障害者への性暴力の実態に関する調査を実施して
┃　　　―障害者への性暴力被害を無くすために
┃　　　私たちにできることとは－　　
┃★２．ウェブサイト更新情報
┃★３．編集後記
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★１．発達障害者への性暴力の実態に関する調査を実施して
―障害者への性暴力被害を無くすために私たちにできることとは－
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しあわせなみだが実施した「障がい児者への性暴力調査」。
http://disabled.shiawasenamida.org/

本調査を監修した東洋大学岩田千亜紀さんの論文が、
東洋大学社会学部紀要56-2に掲載されました。
そこで今回のメールニュースでは、岩田さんに、
論文の概要をご紹介いただきます。

＊＊＊

私は、2018年3月～4月に、NPO法人しあわせなみだが実施した
「障害児者への性暴力に関する調査」の監修をさせて頂いた。
結果の詳細については、既に報告書（※１）にまとめられている
ため、ここではこの調査に着手するに至った問題の背景と、
調査の結果についての考察を中心に記述したい。

性暴力は障害者において顕著に高いことが世界中で明らかとなって
いる。様々な調査結果を総合すると、障害女性では性暴力に関して
約2～3倍高くなっている（※２）。また、障害種別では、
発達障害と性暴力に関する調査がいくつか行われており、いずれに
おいても健常者に比べて発達障害児者では性暴力被害が高いことが
明らかとなっている（※２）。

このように、障害者への性暴力の問題は、世界的にみても看過
できない問題である。しかし、日本では障害者への性暴力の問題に
焦点を当てた研究や調査は非常に僅かである。そこで、障害者の
うち特に性暴力の発生率が高いと考えられる発達障害者を対象に、
性暴力被害の実態やその要因を明らかにし、障害者への性暴力
被害に対する支援課題について検討することを目的に、本調査は
実施された。

次に、本調査の結果と結果に基づく考察を記述したい。なお、
本調査については対象者の数が僅かであり、発達障害者の母数を
代表したものではないため、この結果のみから結論を導き出すこと
はできない。しかし、本調査の結果は、海外での先行研究結果と
ほぼ同様であったことから、「発達障害者が健常者よりも性被害に
遭い易い可能性が高い」という点は指摘できる。

それでは、発達障害児者が性暴力被害に遭い易くなることの背景は
何であろうか。本調査の結果からは、性暴力被害に遭った要因には、
「言われたことを信じる」「自己肯定感が低い」「孤独・孤立
しやすい」などの発達障害者の特性が関係していることが示唆
された。しかし、エコロジカルモデルの視点からすれば、
発達障害者への性暴力被害の根源は、発達障害者「個人」の特性
ではなく、発達障害者が周囲から理解されず孤立してしまう
「社会」の在り方にあると言える。

このような発達障害をもつ性暴力被害者に対して、どのような
支援が求められているだろうか。支援策としては、1次予防と
しての性教育・人権教育の推進、2次予防・3次予防としての
相談支援体制の整備、そして加害者への法による規制など、
様々なことが挙げられる。しかし、障害をもつ人々への性暴力の
問題は、障害児者や公的な専門機関だけの問題ではない。先にも
述べたように、障害児者が周囲から理解されず孤立してしまう
ような「社会」を変えること、そして障害児者が安全で守られ
ていると感じられるような社会を目指すことが一人一人に
求められているのではないだろうか。

１）http://disabled.shiawasenamida.org/
２）岩田千亜紀（2018）
「障害者へのDVなどの暴力についての
国際的な動向と課題：文献レビュー」
『東洋大学社会学部紀要』55-1, 43-55．
http://bit.ly/2IhTIK2

☆著者プロフィール
岩田千亜紀（いわたち・ちあき）
東洋大学社会学部社会福祉学科助教。日本女子大学文学部社会福祉
学科卒業後、インドJawaharlal Nehru University修士課程修了、
日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科修了（社会福祉学博士）。
専門は、障害者福祉、子ども家庭福祉、ソーシャルワーク、
プログラム評価。発達障害をもつ母親の子育て支援や、障害者の
性被害に関する調査、学習支援プログラムの評価調査等に
取り組んでいる。
主な論文に「障害者へのDVなどの暴力についての国際的な動向と
課題：文献レビュー」『東洋大学　社会学部紀要』55(1) 43-55
（2018年）など。

★２．ウェブサイト更新情報
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☆【しあわせなみだの本棚】に
桐野夏生著『路上のＸ』を掲載しました
https://booklog.jp/users/shiawasenamida

★３．編集後記
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「高齢者虐待防止法」に基づく、施設職員ならびに養護者
（家族などの介護者）による虐待件数が公表されました。
これによると、平成29年度に報告された高齢者への性的虐待は
☆施設職員によるものが28人
☆養護者（家族等）によるものが73人
でした。
高齢者への性的虐待は、その事実が社会全体にまだまだ浸透して
おらず、女性や子どもへの被害以上に潜在化しがちです。
「高齢者も性的虐待に遭う可能性がある」ことへの理解が広がり、
安心して相談できる体制の整備が必要ですね。

↓詳細は厚生労働省『平成29年度「高齢者虐待の防止、高齢者の
養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する
調査結果』をご覧ください↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000196989_00001.html

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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