【Tear’s Letter】なぜ性犯罪では、被害者の氏名を被告人側に伝えない措置が求められるのか｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】なぜ性犯罪では、被害者の氏名を被告人側に伝えない措置が求められるのか

2020年09月06日

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★　Tear’s Letter
★　なぜ性犯罪では、被害者の氏名を
★　被告人側に伝えない措置が求められるのか
★　2020年9月6日　No.462
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

すべての馬鹿げた革命に抗してさんが実施した『社会運動内の
性差別・性暴力に関するアンケート結果』が話題になっています。
社会運動に参加したことがある女性53名に調査を実施、回答者の
多くが、運動に携わる人々からの性暴力を経験していることが、
明らかになりました。
社会運動に携わる人々は、社会の差別や不正義に敏感ですが、
必ずしもその視点が、「性の不平等」に向いているわけでは
ありません。例えば、災害時の避難所で、性暴力のリスクに
配慮した運営が必ずしも徹底されているわけではないことも、
その一端を示しています。
性暴力に関する議論が深まるよう、発信を続けていきたいです。

↓調査結果はこちらです
https://twitter.com/agstsexism_jp

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.462 Topics】
┃★１．なぜ性犯罪では、被害者の氏名を
┃　　　被告人側に伝えない措置が求められるのか　　
┃★２．編集後記
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★１．なぜ性犯罪では、被害者の氏名を
　　　被告人側に伝えない措置が求められるのか
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森法務大臣が、性犯罪被害者の保護を目的に、起訴状などを通じて
氏名が被告人（加害者）側に伝わらないようにするため、関連法
改正の検討を指示したことを、明らかにしました。

↓記者会見の詳細はこちらです
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00117.html

なぜ性犯罪では、被害者の氏名を被告人側に伝えない措置が
求められるのでしょうか。3つの視点から考えます。

☆１）被告人が被害者の情報を得ることを防ぐ

平成30年の被害者と被疑者の関係をみると、
強制性交等では35.2％、強制わいせつでは67.5％が「面識なし」
となっています（※1）。起訴状等で被害者の氏名が明らかに
されることで、被告人は、本来知りえなかった被害者の情報を
得ることになります。被害者側にとっては、望まなかった
性的侵害に加え、個人情報まで漏洩することになります。

☆２）被告人弁護士からの不当な要求を防ぐ

性犯罪における課題の１つが、被告人、ならびに被告人弁護士に
よる二次（的）被害（※2）です。被害者の服装や職業、過去の
SNSでの発信等、本来裁判に関係のない事項が問われ、判決に
影響を及ぼしていることが、指摘されています（※3）。
被害者側にとっては、被告人弁護士に氏名が伝わることで、
裁判を通じて、自分の個人情報が、一層明らかにされるリスクを
有することになります。

☆３）性犯罪に対する誤解や偏見
本来犯罪は、加害者側に責任があります。しかし、とりわけ
性犯罪においては、「強姦神話」と呼ばれる、まるで被害者側に
責任があるかのような「誤解」や「偏見」があります（※4）。
被害者は、自身が元々持っていた、性犯罪に対するイメージに
より、「逃げられない自分が悪かった」「傷物になった自分に
生きている価値はない」等の思考に圧倒され、性犯罪に遭った
ことを「誰にも知られたくない」と考えます（※5）。

性犯罪で、被害者の氏名を被告人側に伝えない措置が求められる
背景には、「被告人ならびに被告人弁護士が、不当な主張を展開
しない」ことに加え、「性犯罪を巡る誤った理解が、被害者の
心身を傷つける」ことがあります。いずれも他の犯罪被害では
起こりづらいことです。

本来解決すべきは「性犯罪被害に遭うのは恥ずべきこと」という
価値観からの脱却であり、「その”過程”として、こうした措置が
勧められる必要がある」という認識が共有されることが、大切
ではないでしょうか。

※1 法務省『令和元年版犯罪白書』第6編第1章第1節
「5　被害者と被疑者の関係」
https://bit.ly/3bCPZmP
※2 東京都が犯罪被害者等を対象に実施した調査では、犯罪被害後
77.6％の方が、弁護士を含む「加害者及び加害者関係者」からの
二次的被害で「傷ついた」と回答しています
https://bit.ly/332TC1n
※3 例えば2011年の最高裁判決や、2019年の東京地裁判決では、
被害者の職業や、SNSでの発信等が問われました。
＊日本弁護士連合会主催シンポジウム『司法における
ジェンダー・バイアス～性暴力被害の実態と刑事裁判の在り方～』
https://bit.ly/3h3uCw7
＊HUFFPOST『性犯罪の法廷は、どれほど被害者を
傷つけるのか　無罪判決の医師わいせつ事件を振り返る』
https://bit.ly/324DehT
↑2020年の高裁判決では、有罪となりました
※4 詳細は福岡県警察『犯罪被害者支援特集』「性暴力被害」を
ご覧ください
https://bit.ly/32Z4MEB
※5 内閣府調査では、無理やりに性交等された被害を
「誰にも相談しなかった」人が、56.1％に上ります。
https://bit.ly/3i5ACph

★２．編集後記
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大型で非常に強い台風10号が、日本に接近してます。
特に奄美地方、九州地方にお住いの方は、不安な気持ちで
いらっしゃることと思います。
どうかご無事でお過ごしください。

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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