NPO法人しあわせなみだのメールニュースです。 「2047年までに性暴力をゼロにする」ことを目標に、様々な事業を展開しています。 「しあわせなみだ」の活動や、性暴力に関する最新情報をお届けします。 発行団体ウェブサイト→http://shiawasenamida.org/

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★　Tear’s Letter
★　障害者への性犯罪規定に関する
★　刑事法検討会での議論への考察
★　2022年4月10日　No.530
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

2021年度日本財団助成事業「見えづらい暴力を可視化する事業」
報告書が完成しました。

以下の内容を掲載しています。
ぜひご覧ください！

☆障がいのある性犯罪被害者に関する要望
☆「障がい児者への性暴力」に関するアンケート調査
☆「障がい児者への性暴力」に関する調査
☆「障がい児者への性暴力」これまでの経緯

↓「誰一人取り残さない刑法犯罪見直しを」
ダウンロードはこちら（PDFファイルです）
https://fields.canpan.info/report/download?id=36689

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！


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┃【Tear’s Letter No.530 Topics】
┃★１．障害者への性犯罪規定に関する
┃　　　刑事法検討会での議論への考察
┃★２．編集後記
┃
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★１．障害者への性犯罪規定に関する
　　　刑事法検討会での議論への考察
───────────────────────

現在法務省では、刑法性犯罪見直しの議論が進んでいます。
2017年の改正時の附則（※１)に基づき、設置されたワーキング
グループ（※２）で、障がいのある性犯罪被害者の実態が明らかに
なりました（※３）。これを踏まえ、検討会（※４）では、障害を
有する者を被害者とする罰則の在り方に関する議論（※５）が
行われました。現在は法制審議会（※６）での話し合いが行われて
います。

今春しあわせなみだが作成した「誰一人取り残さない刑法犯罪
見直しを」、そして「障がい児者への性暴力に関するアドボカシー
事業」報告書（※７）でも監修を務めていただいた
岩田千亜紀さんが、検討会における障がい児者への性犯罪規定に
関する議論をまとめた論文を執筆されました。

↓「障害者への性犯罪規定に関する刑事法検討会での議論への
考察」はこちらです
https://tinyurl.com/9f2ymzyv

そこで今回のメールニュースでは、岩田さんに、
この論文について、ご寄稿いただきました。

＊＊＊

2017年6月に、刑法の性犯罪規定について、刑法制定から
110年ぶりの大幅な改正が行われました。さらなる刑法改正に
ついて議論するため、2020年6月に「性犯罪に関する刑事法
検討会」（以下、検討会）が設置され、計16回の会議の後、
2021年5月に取りまとめ報告書が公表されました。なお、
この検討会では、「障害を有する者を被害者とする罰則の在り方に
関する議論」についても論点の一つにあげられました。本稿は、
法務省の検討会報告書に記載された障害者への性犯罪規定に
関する考察を行うことを通じて、今後の法改正に繋げることを
目指して執筆したものです。ここでは論文の一部を紹介しますが、
詳細については、ぜひ拙著をご一読ください。

本稿では、検討会報告書での「障害を有する者を被害者とする
罰則の在り方に関する議論」について、以下の通り４つの論点に
まとめて考察を行いました。

１）障害者への性犯罪処罰規定の必要性
２）対象となる障害のある被害者について
３）障害のある被害者と加害者の地位・関係性について
４）障害者の性的自己決定権について

さらに、海外の障害児者に関する性犯罪規定について
取り上げました。諸外国の刑法では、障害者の特性を配慮した
保護規定が既に置かれています。

日本の現行の刑法では、「重度の身体障害又は知的障害があることに
乗じて性交等を行う行為が刑法第178条第2項の「心身喪失」又は
「抗拒不能」に乗じたとして処罰することができる」と定められて
います。しかし、刑法第178条第2項については適用にばらつきが
あり、障害者への性犯罪の処罰機能として十分に機能しているとは
いえません。つまり、多くの場合、被害者の訴えは司法上
「無かったこと」にされ、加害者は処罰を免れています。
一方、先進諸国の多くでは、障害児者は性暴力に遭うリスクが高いと
いう認識や、「弱者保護」「人権保護」の観点から、障害者の性被害の
実態に即した障害児者に関する性犯罪の処罰規定が設けられています。

2021年9月からは、法政審議会の部会による議論が行われています。
今後の法制審議会での議論が、国際スタンダードにかなった「障害を
知りうる立場や状況に乗じた性犯罪処罰規定」の創設に繋がることを
願っています。


岩田千亜紀（いわたち・ちあき）
東洋大学社会学部社会福祉学科助教などを経て、
法政大学現代福祉学部助教。
日本女子大学文学部社会福祉学科卒業後、インドJawaharlal Nehru
University修士課程修了、日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科
修了（社会福祉学博士）。
専門は、障害者福祉、ソーシャルワーク、プログラム評価。
発達障害をもつ母親の子育て支援や、障害者の性被害に関する
研究等に取り組んでいる。
主な論文に「障害者へのDVなどの暴力についての国際的な動向と
課題：文献レビュー」『東洋大学　社会学部紀要』55(1) 43-55
（2018年）など。


※１ 刑法の一部を改正する法律案に対する修正案
https://tinyurl.com/9b2ck92u
※２ 性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi00400006.html
※３ 第14回性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキング
グループ 取りまとめ報告書
https://www.moj.go.jp/hisho/saihanboushi/hisho04_00032.html
※４ 性犯罪に関する刑事法検討会
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00020.html
※５ 性犯罪に関する刑事法検討会　第９回会議
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00162.html
※６　法制審議会－刑事法（性犯罪関係）部会
https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003011
※７ 「障がい児者への性暴力が認められる社会へ」
https://tinyurl.com/yc46bm6b


★２．編集後記
───────────────────────

ロシアによるウクライナへの侵攻が続いています。
戦時下では、相手を制圧する手法として、性暴力が正当化される
ことが知られています。ウクライナからも、被害の相談が
寄せられています。

↓詳細は4/8付AFP『「もう生きていたくない」 ウクライナ女性、
ロシア兵の性暴力語る』をご覧ください
https://www.afpbb.com/articles/-/3399282

これ以上の戦時性暴力が起こらないよう、非暴力による
コミュニケーションが、一刻も早く選択されることを、
望むばかりです。


☆最後までお読みいただきありがとうございました。


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