【Tear’s Letter】刑法性犯罪改正案が審議入りしました｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】刑法性犯罪改正案が審議入りしました

2023年05月14日

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★　Tear’s Letter
★　刑法性犯罪改正案が審議入りしました
★　2023年5月14日　No.574
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理事長中野が、NPOサポートセンター主催『課題の見える化と
NPO活動を伝えるリサーチ力「アンケート / ヒアリング設計」
実践プログラム』に登壇しました。非営利団体の皆さんに、
「“障がいに乗じた性犯罪"創設に向けたアンケート/
ヒアリング設計」をテーマに、2018年に発達障がい当事者団体
neccoに実施した調査を紹介しました。
しあわせなみだでは、非営利団体向けの講義を、積極的に
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それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.574 Topics】
┃★１．刑法性犯罪改正案が審議入りしました
┃★２．編集後記
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★１．刑法性犯罪改正案が審議入りしました
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5/9、刑法性犯罪改正案（刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する
法律案）が、衆議院本会議で審議入りしました。
↓詳細はこちらです
https://tinyurl.com/58ptfsuj

そこで今回のメールニュースでは、改正案の中から、
障がいのある人に関連する項目を、解説します。

☆１．障がいのある人は「心神喪失」から「不同意」へ

現行法では、障がいのある人は、「心神喪失」状態にあると
認められれば、第百七十八条「準強制わいせつ及び準強制性交等」
が適用されています。しかし、障がいのある人は、明確な意思を
持つ人々であり、「心神喪失」とすることは「侮蔑的」である
ことが、国連等から指摘されてきました（※1）。
改正案では、第百七十六条「強制わいせつ」及び百七十七条
「強制性交等」が定める「暴行又は脅迫」と、百七十八条
「心神喪失若しくは抗拒不能」を「不同意」に統合し、
その事例の1つとして「心身の障害があること」を挙げています。
しかし、障がいのある人は、不同意の意志を形成できないわけでは
ないため、侮蔑的な扱いが続くことが、懸念されます。

☆２．公訴時効の見直しでは障がいのある人は考慮されず

「時効」とは、犯人を処罰することができなくなる（起訴が
できなくなる）期限です。事件発生から時間が経つことで、
物的証拠が集めにくくなったり、正確な証言が難しくなり、
裁判が困難になるため、設けられています。
一方で、幼少期の性犯罪については、その行為が犯罪であることに
気づくまでに時間がかかったり、被害を訴えるためには、心身の
回復が必要であることから、時効の延長が求められてきました。
現行法では、（準）強制性交等は10年、（準）強制わいせつは
7年です。改正案では、不同意性交等は15年、不同意わいせつは
12年と、各5年ずつ延長されています。
海外では、被害者に障がいがある場合、時効の延長や撤廃が
定められています（※2）。日本でも、障がい特性を踏まえた
時効の在り方について、議論が必要です。

☆３．障がいのある人への事情聴取を証拠として採用

障がい特性を踏まえた事情聴取の手法である「代表者聴取」が
2021年4月から13か所で、2022年7月から全国で試行実施されて
います（※3）。改正案では、この方法で聴取した記録媒体を
証拠にできる、としています。
法改正を踏まえ、人材育成や環境整備等が進められ、適切な聴取が
実施されることが、望まれます。

刑法改正案は、今週衆議院法務委員会で議論されます。
障がいのある人が取り残されないよう、声を届けていきましょう。

※1 障害者の権利に関する委員会「初回の日本政府報告に関する
質問事項」国際連合『障害者の権利に関する条約』
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000546852.pdf
※2 法務省「諸外国の性犯罪規定の概要（公訴時効に関する規定）」
https://www.moj.go.jp/content/001331349.pdf
※3 法務省「代表者聴取の取組の実情」
https://www.moj.go.jp/content/001367831.pdf

★２．編集後記
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児童相談所の児童福祉司が、面接していた子どもへのわいせつ
行為で、逮捕されました。本来子どもを支援する立場にある者が、
その職業的地位を悪用することは、あってはならないことです。
今回の刑法性犯罪改正案では、職業的地位に乗じた罪の創設は
見送られました。子どもや高齢者、障がいのある人等にとって、
生命維持、生活維持への強い権限を有する対人援助職について、
より適切な処分が求められます。

↓詳細は5/10付『琉球新報』「強制わいせつ容疑で元児童福祉司の
県職員の男を送検　沖縄県警」をご覧ください
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1707672.html

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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