漫画原作者でミステリー作家の矢樹純のメールマガジンです。ブログでは書きにくい創作の裏話、日常のことなどを書いていこうと思います。

やぎのおたより

やぎのおたより【377通目】

2025年07月11日

○○ ○○さんへ


こんばんは。矢樹です。

今週もあまり働けていませんが、徐々に回復しております。

こちらのおたよりの文章も、多分いつもより下手になっているかと思うのですが、どうかご容赦ください。


◆7/4(金)◆

5時起床。台所のシンクの掃除をしてお弁当を詰め、高3次女を起こす。朝に出かけるのでランニングは休み。筋トレして昨日の分の日記と溜めていたメルマガを1日分書き、洗濯物を干して身支度して朝食をとる。

大学3年の息子は1限からで、夫も出社する日で早くに出ていった。今日はオンライン授業の大学2年の長女に洗い物を頼み、バイクで近所の小学校に向かう。今日は読み聞かせ当番ではないが秋の図書イベントで読む本を決める話し合いがあり、ミーティングだけ参加して帰った。

そのまま9時から開店のスーパーに買い物に行き、10時帰宅。アイスコーヒーを淹れ、メールの返信をしてから残り1日分のメルマガを書き、1週間分を見直して配信予約した。

そのあとは仕事。「オール讀物」の連作短編シリーズ第三話の原稿を書く。先週発生した仕事上のトラブルをきっかけに心の調子を崩しているのだが、この日も相変わらず頭が悪い。何をどんな順番で書けばいいのか分からず、適切な文章も浮かんでこない。とりあえず昨日までに書いた部分を、良くなっているのか判断がつかないまま直した。

昼食を挟んで17時まで作業し、枚数は変わらずトータル9枚で時間切れとなる。今日は都内で開催される書店員さんや版元さん、作家さんが集まる会食に出席する予定だった。バスと電車で仕事のメールに返信しつつ秋葉原に向かう。

かなり早い時間に着いてしまい、会場にはまだ主催してくださった書店員さんや版元さんしかいなかった。皆さんにご挨拶し、隅っこで知り合いの作家さんが来るのを待つ。しばらくして作家さんたちも集まり出して、顔見知りの方や、作品は読んだことがあるけれど会うのは初の方とおしゃべりした。

中盤になるとだいぶ会場が混んできて会話がしづらくなったので、暑かったが外のテラス席に出た。「このミス」大賞同期の友井羊さんと今後出す作品のことや裁判の傍聴のことなど、久々にじっくり話せて嬉しかった。

21時半にお開きとなり、駅で友井さんと別れて帰る。最寄駅に着いたのは23時くらいだったが、まだバスがあって助かった。帰宅して入浴を済ませ、電車の中でもずっと読んでいた若竹七海先生の葉村晶シリーズ最新作『まぐさ桶の犬』を読み0時就寝。


◆7/5(土)◆

5時50分起床。花壇の手入れをしてゴミを捨ててランニングへ。Audibleで貴志祐介先生の『兎は薄氷に駆ける』を聴きながら林脇のコースで短めに2km走ってくる。この日は前回見かけたタヌキには会わなかった。

朝食後、三津田信三先生の新刊『寿ぐ嫁首 怪民研に於ける記録と推理』が届いていたのでお礼のポスト(すでに読んでいたので感想を添えて)をしてから荷物をまとめてバイクで家を出る。あまりに原稿が進まないので気分を変えるため、先日も行った自習室で仕事をすることにした。

駅前の駐輪場にバイクを停めて10時過ぎに到着。「オール讀物」連作短編第三話の原稿を書く。環境を変えたおかげか、少し持ち直し、昨日までに書いたところを直しつつ4枚書いて4枚削る。枚数は変わらないがやっと前に進める状態にできた。

コンビニで買ったチリチキンサンドでお昼を済ませて午後も仕事。あまり良い文章ではないし構成も上手くないが、とにかく書き進めるうち、徐々に小説らしくなってきた。17時、11枚書いてトータル20枚となったところで切り上げて出る。途中、洋菓子店でシューアイスを買って食べながら駐輪場に戻った。

スーパーで買い物して18時過ぎに帰宅。夕飯は夫がバジルチキンソテーを作ってくれた。夜は晩酌しながら『まぐさ桶の犬』を読み進め、23時就寝。


◆7/6(日)◆

5時50分に目を覚まし、筋トレしながらAudibleで『兎は薄氷に駆ける』を聴き終える。法廷物としてめちゃくちゃ面白かったのだが、ある登場人物の選択が自分には受け入れがたく、その点だけが残念だった。

そのあとは家族が起きてくる前に仕事。「オール讀物」の原稿、7時まで掛かって2枚書く。洗濯機を回したのち、エゴサーチで読売新聞に『彼女たちの牙と舌』の書評が掲載されていると知ったので、近所のコンビニに買いに出かけた。

記事を読むと、紹介してくださったのは東大総合研究博物館教授の遠藤秀紀さんで、そんな方がなぜ自分の本を……と腰が引けつつもXでお礼のポストをする。洗濯物を干したあとは続けてタオルケットなどの寝具を洗濯し、布団を干した。

家事を終えてアイスコーヒーを淹れて寝室に籠もり、コンビニで朝食に買ったサンドイッチを食べつつ仕事の続き。本調子ではないが、書けない状態を脱することができて良かった。文章は下手だし流れにも自信がないが、あとで直すことにしてとにかく書く。

早めの時間に買い物に出たのち、昼過ぎまで掛かって8枚。布団を取り込んでお昼を済ませ、お弁当のおかずを準備してからまた寝室に籠もる。午後は眠気が出てさらに文章が怪しくなったが、バイクを車検に出しに行った夫が駅でたまたま買えたとミスドの人気商品だというドーナツ(《もっちゅりん》というらしい。もちもちで美味しかった)を差し入れてくれて、コーヒー休憩後はまたしばらく働けた。

18時半まで掛かって10枚書き、トータル40枚で終了。かなり粗いので直しが大変そうだが、コンディションが悪いなりに頑張っていると思う。夫は夜はライブに行くとのことで、出る前にハンバーグのたねを準備していってくれたので焼いて子供達と食べた。今日も晩酌しつつ『まぐさ桶の犬』(いよいよ終盤に入った)を読み、疲れたので早めに22時半就寝。


◆7/7(月)◆

4時50分に目を覚ます。先日起きたトラブルについて、この日に版元さんから説明を受けることになっていた。こちらからお願いしたいことなど、自分の考えを書き出してまとめる。

お弁当を作り、午前中に出かけるのでランニングは休みにしてAudibleで原田マハ先生の『リボルバー』を聴きながら筋トレをした。古紙を回収に出して洗面台の掃除をしてからメルマガを書き、洗濯と朝食を済ませてコーヒーを淹れて仕事。「オール讀物」連作短編第三話の原稿、1時間半かけて2枚だけ進めた。

身支度して車で駅に向かい、そこから電車で待ち合わせ場所のホテルのラウンジへ。エージェントさん、編集さんたちと合流し、まずは編集さんからトラブルが起きた経緯について説明を受けた。編集さんの落ち度というよりシステム上の問題が原因のようで、とても丁重に謝罪されて逆に気が引けた。

今回のトラブルは、そもそもが4年前に自分が見舞われたトラブルに起因しており、こちらもあまりきちんとそのトラブルについて自身の言葉では説明していなかったので、改めて何が起きたか、これまでどういう思いできたかをお話しさせてもらった。

(※長くこちらのおたよりを読んでくださっている読者の方はご存じかもしれませんが、過去に個人出版した作品の件です。どんなトラブルかお知りになりたい方は、矢樹の公式noteの4年前の記事を読んでいただければと思います。あえてリンクは貼りませんが、クリエイターページのトップに置いています)

自分は20代でデビューしてから漫画原作者・作家として20年以上活動し、割と酷い目にも遭ってきた。それでも一度も仕事相手の前で泣いたことなどなかったのだが、今回は説明しながら涙をこらえきれなかった。4年前の件で自分は本当に傷ついていて、その傷は癒えていないのだと自覚した。

その後、編集者さんたちと今回の件について相談させていただく中で、編集さんの一人が矢樹のことを《被害者》だと言ってくださり、自分を縛っていたものが解けた気がした。これまで「4年も前のことだから」「いつまでもこだわっているのはしつこいし、みっともない」と、無理にネガティブな感情を手放そうとして、なんならそのことを思い出してたびたび落ち込む自分を責めていた。

だが被害を受けたのに、それを与えた相手から適切な対応を取らってもらえずに無視されてきたのだから、傷ついた心が回復しないのは当然なのだと思う。そのことを理解して、自身を恥ずかしく思う気持ちや責める気持ちが和らいだことが、自分にとっては収穫だった。

編集さん達が帰られたあと、エージェントさんとスケジュールの件で打ち合わせして駅で別れて帰る。最寄駅のスーパーと薬局で買い物して帰宅後は「オール讀物」の原稿。調子が悪いなりに18時半まで掛かって4枚進めて計46枚になった。

夕飯は子供達用にじゃがいもオムレツを作ったあと、七夕ということで何か麺類をと蟹缶とトマト缶とほうれん草でクリームスパゲッティを作った。それとスーパーのお惣菜をつまみにワインを飲みつつ七夕を祝い、『まぐさ桶の犬』を読み進めて23時就寝。


◆7/8(火)◆

5時10分起床。お弁当を詰めて次女を起こし、花壇の手入れとゴミ捨てをしてランニングへ。radikoで『伊集院光 深夜の馬鹿力』を聴きながら、いつものコースで2.7km走ってくる。

日記を書いて仕事のメールに返信し、洗濯して朝食をとる。コーヒーを淹れながら加藤山羊と電話。トラブルのその後と仕事のこと、家族のことなど話した。そのあとは仕事。「オール讀物」第三話の原稿に取り組む。

先に進む前に一旦直しを入れなければと考えたのだが、どこが良くないのかがぼんやりとしていて、でも確実に不味いことだけは分かる。細部を直しながらも根本的な部分に手を入れられず、1時間半ほど頑張ったものの、まだ頭を使う作業は無理だと諦めた。

切り替えて、締切が近い掌編の初校ゲラの赤入れを先にやることにする。掌編なのでそれほど大変なはずはないのだが、文章を整えるのに修正案が浮かばず、原稿用紙11枚程度の赤入れに2時間以上も掛かってしまった。

買い物に出て遅いお昼を済ませてからゲラの赤字にミスがないか確認してスキャンして編集さんに送り、メールの返信をする。その後、夕方まで「オール讀物」の原稿の直しをやるが、ほとんど前には進まなかった。

夕食は岩下の新生姜の炊き込みご飯と鶏ももの照り煮を作ったのだが、完成と同時に胃腸炎のような症状が出て、食べられなかった。食中毒の心当たりはないので、ストレスではないかと思う。子供達に食べさせて、自分は薬を飲んだあとスポーツドリンクを飲みながら寝ていた。しばらくして薬が効いたので起きて仕事のメールに返信し、だが食欲はないためそのまま資料本を読んで寝た。22時半就寝。


◆7/9(水)◆

5時10分に起きてお弁当を作り、次女を起こしてトイレ掃除をする。体調は回復したが、ランニングは休んだ。日記を書き、学校関係でオンラインで手続きをしなければならないものがあったのでスマホから申請する。ところが選択を間違えて送信してしまい、修正しようとしたら操作できず、Q&Aでやり方を調べたら「学校に連絡して修正してもらう」とあり、朝からどっと疲れた。

洗濯物を干したあと、学校に電話して事務の方に修正をお願いしてからオンライン手続きの続きをやる。無事にやり遂げて朝食をとり、コーヒーを淹れて、まずはPTAの仕事。送られてきた資料を確認して返信する。

そのあとは「オール讀物」の原稿。あまり頭を使わずに直せる部分に手を入れ、枚数は変わらないが少し前に進めたところで車検に出したバイクを取りに行く夫をバイク修理店まで送り、戻ってきて身支度して荷物を持って家を出る。

昼食をゼリードリンクで済ませつつ、バスと電車で講談社へ。編集さん、エージェントさんとロビーで待ち合わせて会議室に向かうと、机にサイン本の申し込みをいただいた書店様向けの『或る集落の●』が積まれていた。今日届いたばかりとのことで自分も実物は初めて目にしたのだが、怖い。たくさん並ぶとますます怖い。

自分用にもらった見本に試し書きをしてペンやスタンプのインクの色を決めたあと、編集さんとエージェントさん、アルバイトの学生さんにも手伝ってもらってサイン本を作成する。休憩を入れつつ1時間半ほどで200冊超にサインを入れ終えた。

その後、編集さんと次の企画について、エージェントさんとスケジュールについて打ち合わせをしてから、編集さんが予約してくださった神楽坂のイタリアンで『或る集落の●』完成のお祝いの食事会。前菜、魚料理、グラタン、肉料理と、それぞれのメニューに合ったワインが出てくる素敵なコースで、普段食べられないような美味しいお料理とワインを堪能した。

食事をしながら編集さんのこれまでの仕事のこと(児童書や絵本の担当を長くされていたそうで、自分が子供に買ってあげた本の制作裏話も聞けて興味深かった)、趣味のことなど、ゆっくりお話しした。今後どんな仕事をしたいかも語ることができて、有意義で楽しい時間となった。

21時半まで過ごし、駅で編集さん、エージェントさんと別れて帰る。最寄駅まで夫が迎えに来てくれて23時半に帰宅し、シャワーを浴びて0時就寝。


◆7/10(木)◆

5時起床。昨日買い物できなかったのでお弁当は休み。いつもより早い時間にランニングに出る。Audibleで櫛木理宇先生の『執着者』を聴きながら、短めに2kmだけ走ってきて掃除機がけをした。

次女を起こして昨日の分の日記と溜めてしまったメルマガを書き、洗濯と朝食を済ませる。それからコーヒーを淹れて仕事。「オール讀物」第三話の原稿、修正を進めていく。

昨日までよりは頭がはっきりしてきて、複雑なことを考えられるようになってきた。そうなると筋として無理なところや甘いところがたくさんあるのが見えてきて、「誰だこんなものを書いたのは……」と自分で自分に腹が立つ。

調子が悪い時に原稿を書くのは効率的ではないと分かっているのだが、無理やりでも書いた方が復帰が早い気がする。それ以前に、今後は調子を崩さないことを一番に考えて、できるだけ心の負担を減らしていきたい。

12時半まで作業してメールの返信をしてから買い物へ。お昼を食べながらradikoで昨晩放送の『ハマビジ!』矢樹出演回を聴いて、一応は質問にきちんと答えられていることにホッとした。

午後は眠気に襲われつつも、夕方まで机に向かって導入部をやっと直し終えた。この回の重要登場人物、まだ背景について迷っている部分があり、なかなか芯が通らず苦労している。エージェントさんから編集さんにお願いして締切は延ばしていただけたので、週末でなんとか頑張って間に合わせたい。枚数は2枚プラスで48枚になった。

夕飯は豚キムチ炒めを作った。夕食後は溜めてしまったメルマガを2日分と日記を書き、『まぐさ桶の犬』をやっと読み終えて(今の自分にはちょうど良い苦さの読後感で面白かった)23時就寝。


…以上、一週間のできごとでした。


ということで告知です。

いよいよ来週7/16(水)、最新刊【因習ホラー短編集】『或る集落の●』が講談社より発売となります。

https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000416446

10年前にKindleで個人出版した作品を改稿し、さらに新エピソード3編を加えた全7編の連作短編集で、前作を読んでいる方にもかなり違った印象で読んでいただけると思います。
すでに書店さんや各ストアで予約が可能ですので、ぜひお早めによろしくお願いいたします。

またこちらは会員限定となってしまうのですが、メフィストリーダーズクラブで『或る集落の●』サイン本を販売しております。
装幀は怖いですが矢樹のサインは割と可愛いと評判ですので、どうぞ安心してお申し込みください。

https://store.mephisto-kodansha.com/product/detail/?id=MRC1066

また日記でも触れましたが7/9(水)深夜1時放送のラジオ日本『ハマビジ!』に出演させていただき、ミステリー作家になる方法や最新作についてお話しさせていただきました。
こちらはradikoで配信されておりますので、ぜひお時間のある時にでも聴いていただければと思います。

https://radiko.jp/r_seasons/10003702


それではまた、次回のおたよりで。


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