【ほぼ日刊 リーフ通信】Vol.95 住宅会社の種類と選び方 2022年8月13日号
リーフの猪倉です。
お盆休みに入るところが増えてきました。
弊社はカレンダー通りでスタッフが交代でお休み。
私は明日から18日までお休みをいただきます。
さて、本日も家づくりのヒントになる
お話をお届けします。
よろしくお願いいたします。
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本日のテーマは「住宅会社の種類と特徴」です。
現在、日本国内で戸建て住宅を所有する際に
選択できる住宅会社(取得方法)の種類と、
特徴、また標準的な価格を見ていきましょう。
価格に関しては会社ごとに基準が異なりふれ
幅のある「坪単価」では正しい比較が
できません。
例えばローコスト系では坪単価50万と謡って
いるから30坪で1500万円ぐらいと思っていて
も、まともに住むに必要なオプション工事や
屋外給排水電気工事、設計申請手数料まで含
めると300万円ほど追加が必要になり、消費税
も合わせると2000万円近くになった、という
のは良くある話です。
ここでの価格比較は総2階建て延べ床面積32坪
程度の本体工事、付帯工事、設計費や申請手
数料を含んだ諸経費、消費税などの「込々金額」
とします。土地金額や手数料は含んでいません。
また、2020年から2022年までのウッドショック
をはじめとする建材価格の高騰も考慮した価格
としています。
まず、住宅会社の種類ですが
大きくは次の5つにわけることができます。
1.分譲住宅
2.ハウスメーカー
3.工務店(ローコスト系)
4.工務店(性能、意匠重視系)
5.設計事務所オーダー住宅
それでは順にご説明していきます。
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1.分譲住宅
2000~2400万円程度
「建売住宅」とも呼ばれていた土地付住宅です。
どちらかと言えば、不動産業系の住宅会社が
好んで扱う方法です。すでに住宅の実物が建
てられており、購入される方はその実物を確認
して買うことができます。
コスト重視で建てられているので比較的安く買
う事も出来ます。しかし、その反面、機能、
性能などに関しては法律最低限ギリギリのところ
で建てられているので、将来予定されている
建築基準法の改正によっては
「既存不適格建築物」になる恐れも。
土地の入手が困難な都心部によくみられること
ができます。機能性能よりもエリア、立地条件
を優先される方、都心にどうしても住宅を建て
たい方、家づくりにあまり時間をかけることなく、
簡便性重視の方に向いているといえます。
反面、家づくりにこだわりたい、機能性能も
将来にわたって安心な家を手に入れたい、という
片には不向きでしょう。
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2.ハウスメーカー
3800~4200万円程度
テレビCMなどでどんどん宣伝されているので
家づくりと言えばまずハウスメーカーを思い
起こされる方も多いと思います。
昔からの財閥系のところが多く、知名度やブ
ランド力、また会社の将来にわたっての永続性
を考えた時に信頼おける建築会社ということで
選ばれる方が多いです。
多くは住宅展示場にモデルハウスを構え、お客
さんの来場を待つスタイル。最初の接客は営業
マンが行い、懇切丁寧に面倒を見てくれます。
ある程度の間取りは営業担当が書くことも。
契約まで進むと設計担当に引き継がれ、設計が
決まり、建築請負契約が完了して工事が始まる
と現場監督に引き継がれます。
実際のハウスメーカーの社員はここまでで、
工事をするのはハウスメーカーと提携している
地場の工務店だったりします。
展示場の維持経費や広告宣伝費、多くのスタッフ
を抱える人件費がかさばるので、金額はどうしても
割高になってしまいます。
会社規模が大きいため、断熱気密の最新の知見を
取り入れるには時間がかかりがち。また、設計
スタッフによっての設計レベルの差をあまり出
さないようにするために、敷地を読み解く必要
のあるようないわゆるパッシブデザインの設計は
苦手となり、どうしても床暖房などの機械設備
に頼った設計になりがちです。
とはいえ、営業担当者との相性さえ合えば、懇切
丁寧にフォローをしてくれて、気持ちよい家づくり
が可能でしょう。
どこで家を建てたか?
と聞かれたときに、TVコマーシャルで皆が知って
いるハウスメーカーの名前を出せれば、それなり
の称賛を得ることもできます。
ブランド重視型、営業の接客レベル重視型
、予算が十分に取れる方には向いているでしょう。
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3.工務店(ローコスト系)
2000~2400万円程度
いわゆる、地場にある小規模から中規模程度
の建設会社をここでは工務店と呼んでいます。
昔は大工さんがそのまま社長となり、リフォ
ームから新築まで地元の人々の求めに応じて
「家のことならなんでも」というところが多
くありましたが、最近は、新築住宅に専門特
化した工務店が増えており、その中でも大き
く分けるとこのローコスト系と性能・意匠重
視系の2つに分かれます。
ローコスト系工務店は1番の分譲住宅型の
大手住宅会社に対抗して出現しました。
土地を仕入れて建売や建築条件付き住宅として
販売することも多いので、もともと、不動産
業者だったとことろが収益拡大の手段として
住宅建設部門に乗り出したケースが多いです。
ローコスト系住宅会社は多くは船井総研など
のコンサルタント会社の指導を受けていると
ころが多く、チラシの作り方や商品の打ち出
し方はよく似ています。
「戸建てが○○万円から!」
と価格訴求型広告をしているところがほとんど。
ただし、分譲住宅と同じく、広告に出ている
価格のベースは20坪程度だったり、付帯工事や
手数料などが含まれていないので総額を確認
することが大事です。
性能機能は現在の建築基準法ギリギリレベル
のところが多くあります。代表的なのは断熱
等級で昨年まで最高等級の断熱等級4は2025年
には義務化されるレベルの最低水準の性能であり、
上位等級の5,6,7が制定されていますが、
いまだに「断熱性能は最高等級の4が標準仕様!」
などとうたっているとこともあります。
性能、機能には目をつぶってでもとりあえず
できるだけ安く戸建て住宅が欲しい方には
向いているでしょう。
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4.工務店(性能、意匠重視系)
3300~3600万円程度
3と同じく地場の工務店の中には、高断熱高
気密といった性能や建物の耐震性、通気や
防水といった耐久性、外観やインテリアの
デザイン、仕様などにこだわり、それなりの
価格ではあるけれども、多くの支持を得ている
会社があります。
場合に寄っては着工まで数年待ちのいわゆる
「行列のできている工務店」も少なくありません。
性能を語るのにいわゆるポエムではなく、断熱
性能ならUa値やQ値、気密性能ならC値、耐震
性能なら耐震等級3など客観的なエビデンスに
基づいてプランニングや設計に取り組んでいる
ところが多いです。
それ以外にもシミュレーションソフトを駆使
して、建物の冷暖房負荷を計算し、空調計画
まで標準仕様で取り組んでいるところも最近
は多くなってきました。
常に勉強を重ねて新たな知見に基づき改良を
重ねていってるので、2,3年前の仕様と現在
の仕様とでは異なることもあります。
ただし、こだわるがあまり、どうしても価格
は高め。とはいっても、ハウスメーカーより
は割安で性能は上位の家づくりが可能なので、
家づくりにはこだわりたい派、ブランド力より
は実質重視派の方には向いているといえるで
しょう。(ちなみに弊社もこのカテゴリーです)
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5.設計事務所オーダー住宅
3800万円~4200万円程度
先に述べた4つの建て方と、こちらは契約の
形態が大きく異なります。先の4つは契約は
住宅会社1っ社のみですが、こちらの場合、
まず、建築設計事務所と設計契約を結びます。
設計のためには当然土地が決まっていないと
いけないので、土地をすでに所有していること
が前提になります。
建て主さんの希望、こだわりを設計事務所の
担当者がヒアリング。時間もたっぷりとかけ
たうえでプラン提案が行われます。
プランが決まると今度は施工会社選び。多くは、
設計事務所が何社か施工会社(工務店)を紹介
してくれ、工事金額の相見積もりを実施。
数社から出た相見積をもとにどこに施工を依頼
するかも、設計事務所の担当者と一緒に選びます。
ここで施工するのは普段からこだわりの設計
施工をしている4の工務店が多く、また設計
事務所へしはらう設計料は施工金額の20%前後が
一般的なので、設計施工双方の合計金額でみると、
かなりの割高となってしまいます。
その代わり、設計料には工事中の監理も含まれ
ていることが多く、施主に成り代わり、
要所要所のチェックをしてもらう事も出来ます。
土地の用意や設計施工尾の時間の確保など、
いろいろな前提条件がありますので、
予算がある程度多くても大丈夫な方、
家づくりに徹底的にこだわりたい方、
性能だけでなく、意匠も見栄えのするお家を
建てたい方向けと言えるでしょう。
(ちなみに私は以前、
このような設計事務所勤務でした)
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いかがでしたか。
「住宅会社の種類と特徴」について
お伝えすることができましたでしょうか。
ご質問などございましたらお気軽に
匿名で質問できる質問箱にてお聞きくださいませ。
https://peing.net/ja/ikura_atsushi
それではまた!
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