【ほぼ日刊 リーフ通信】Vol.96 耐震性能と耐久性 2022年8月14日号
お盆休み初日の今日、早朝から車で移動。
高知にダイビングに来ています。
新住協の仲間、ダイシンビルドの清水さんと
一緒です。
18日まで海の中に浸ろうと思います。
さて、本日も家づくりのヒントになる
お話をお届けします。
よろしくお願いいたします。
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冒頭からいきなりの質問です。
「現在日本国内において住宅を建てるとき
誰かが構造の安定性(耐震性能など)
を確認していると思われますか?」
答えは
「誰も確認していない場合がある」
です。
地震有数の国である日本においてこの現実。
怖いと思われませんか?
建築基準法では、建築物は構造計算で安全性
を確かめないといけないことになっています。
しかし「2階建てまでの木造住宅」は
「建築基準法4号特例」により、実質的に、
建物の安全性の確認はする必要があるが、
その証拠書類を提出しなくてもよい、
ということになっています。
ほとんどの建築技術者は最低限の安全が確認
できる仕様規定「壁量計算や4分割法、N値計算」
によって、を行っていますが、悪質な場合、
特例を盾に取り、なんら構造の検討をせずに
建物が建てられている場合もあります。
この4号特例はようやく2025年にその適用を
縮小され、2階建て住宅でも構造計算の提出が
義務付けれらる見込みですが、逆に言えば、
それまでに構造計算されていない住宅を取得
するという事は2025年以降に「既存不適格建築物」
となり、資産価値を大きく落としてしまいます。
この数年で家づくりをされる方には、
このような点も要注意事項となります。
さて、上記のような問題がなく、すべての
住宅において、正しく構造安定性が確認され
ていることを前提にお話しします。
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地震に対する強さを表す言葉として
「耐震」
「制震」
「免震」の3つがあります。
「耐震」は建物を倒壊させようとする力に対
して、変形しないように突っ張る強さ。
柱や梁、土台などの接合部を補強したり、筋
交いや構造合板によって壁を補強したりします。
いわば「揺れに耐える」ことです。
「制震」は揺れを受け流して倒壊を防ぐ力。
制震テープや制震ダンパーなどを使い、揺れ
により多少の変形があったとしても、その
変形をできるだけ抑えます。
いわば「揺れを吸収する」ことです。
「免震」は建物の基礎と本体との間にゴムを
挟んだりすることで、地面の揺れを建物に伝
えないようにすること。
「揺れを受け流す」ことです。
大切なのは、耐震>制震>免震
の順に考えること。
まずは建物の耐震性を確保することが大切です。
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その耐震性能は耐震等級で表されます。
耐震等級1
建築基準法で定められている最低限のレベル
震度6でも倒壊しないレベル
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の地震力でも倒壊しないレベル
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の地震力でも倒壊しないレベル。
です。
ここで大切なのは、基準が「倒壊しない」
が前提になっていること。
倒壊しないというのは、建物が傾き、修復
不可能なぐらい変形しても中にいる人間が
外に脱出出来て命は守れるという事。
しかし、もう建て直さないといけない、
修理不可能なレベルだという事です。
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現在の建築基準法の耐震性能は1995年の阪神
淡路大震災の教訓を経て2000年に
改正されたもの(2000年基準)
実は私、神戸の大学で建築を学び、六甲とい
う町に住んでいたので、地震後、ボランティ
アで避難所となっていた小学校で被災家屋
からの荷物の移動を手伝っていました。
多くの木造家屋は下からの突き上げの力で
土台から柱が抜け、1階が押しつぶされた形
で倒壊していました。
町が無残に破壊されてたのを目の当たりにして、
その教訓から改正された2000年基準をある意味
信頼していたのです。耐震等級1でも十分だと。
しかしその前提を覆されたのが2006年に発生
した熊本地震。熊本地震では築浅の2000年
基準を満足している建物でも倒壊、
全壊していました。
しかし耐震等級3の建物では倒壊、旋回を免れ、
軽微な損傷で済み、震災後も避難所に行くこと
なく、住宅に住み続けることができたのです。
私を含め大木の建築技術者はこれに大変な衝撃
を受け、多くの住宅会社が(当社もですが)
標準仕様で耐震等級3に舵を切りました。
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ちなみに、耐震等級3になるとしっかりと
構造計算をする必要があり、基礎の鉄筋の量
もかなり多くなります。
耐震等級1では見られなかった地中梁や人通口
の下部の補強筋などが耐震等級3ではきっちり
と入れる必要ができてきます。
建築工事中、基礎工事で配筋が終わり、
コンクリート打設までの間の現場を見ることが
たまにありますが、見た瞬間に構造計算を
きちんと行って、耐震等級3を取っているか、
そうでないかは一目でわかるぐらいの差が
あります。
東北の震災以降、日本国内の地震の発生回数
が格段に多くなりました。関西方面では南海
トラフ地震の発生も危惧されています。
今後、家づくりを考えられるときはぜひ、構
造計算(難しい言葉ですが、許容応力度計算
といいます)を行ったうえで、耐震等級3を
とれていることを確認してください。
ここで大切な事、
巷にあふれる
「耐震等級3相当」には惑わされないこと。
相当という言葉にはいろんな意味があります。
「正しく計算しているが、認定料節約のため
公的な証明書を取得していない」といった、
まだまし(ただし、減税や地震保険特約には
使えません)なレベル。
「耐震等級1で計算した耐力壁の量を1.5倍
にしている」といった、まったく意味のなさ
ないものまで様々です。
構造計算により、耐震等級3を取得して、住宅
性能表示や長期優良住宅などの認定制度の中
できちんと評価証明書を
取得するというのが大切です。
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次に建物の耐久性のお話し。
いくら、構造計算により、耐震等級3を取得
したとしても屋根の下地材や柱、梁、土台が、
雨漏りや結露によって腐ったり、シロアリに
よって被害を受けたりしていたら、
計算通りに強度が出ないのは明らかです。
住宅会社を選ぶ際にはどのような、耐久性の
対策をそこが施しているか、
確認するようにしてください。
ちなみに、耐久性の判断としては
次のようなものがあります。
*屋根材の直下の通気性確保
屋根断熱の場合は、断熱材と野地板(屋根を
のせる合板下地)との間に通気層が必要とな
ります。
また多くの建築会社で使われている下地材と
屋根材との間に敷き詰める防水シート、いわ
ゆるルーフィングには種類があり
アスファルトルーフィング
↓
改質アスファルトルーフィング
↓
透湿防水ルーフィング
の順に、性能が向上します。(価格も高くなる)
また、最近はハウゼコ(デネブエアルーフ)
などの屋根材の形状自体に通気性を持た
せる工夫をしたもの登場してきています。
これらはすべて完成した状態では確認することが
出来ません。しかし、価格には反映されます。
多少、耐久性が落ちても少しでも安く
と考えている住宅会社と
多少、値が張っても、長く安心して使える家を
と考えている住宅会社で
その対応が分かれてきます。
表面の価格だけで判断するのではなく
目に見えないところにどれだけ気を使ってい
るかをちゃんと確認することが大事です。
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*断熱材
グラスウールや硬質ウレタンパネル、現場発
泡ウレタン、いろんな断熱材が登場し、それ
ぞれある一つの断熱材しか扱っていない住宅
会社は、自社に有利なフレーミングをすべく、
他社の使用する断熱材の欠点を上げつらね
たりします。
確かに、グラスウールにしても、ウレタンに
しても、たまにひどい納まりを見かけたりし
ますが、きちんとした施工技術のある会社
なら正直、どれを使っても良い。
悪い断熱材、良い断熱材があるのではなく、
悪い施工、良い施工があるだけです。
ちなみに
悪い施工=手抜き施工、工期優先
良い施工=丁寧な施工、工期がかかる、
価格にも反映
します。
先ほどの屋根材の通気性と同じくこちらも
住宅が完成してからは見ることができませ
んが、方法はあります。
それは住宅会社が構造見学会を行っている
かどうか。構造に自信のある会社ほど、完成
したら見えなくなる部分に力を入れており、
それをできるだけ多くの方に見てもらおうと
工事中の見学会を開催されています。
断熱材施工の様子を見ることもできますし、
上述したいろいろな、耐久性、構造に関する
質問も、そういう住宅会社なら大歓迎でしょう。
住宅会社選びの際の一つの判断材料と
してみてはいかがでしょうか。
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これら以外にも、シロアリ対策や、防湿シート、
気密処理の方法などなどたくさんあるのですが
これらはまた別の記事でお届けいたします。
耐震性も、耐久性も完成したら目に見えない。
だからこそ、住宅会社の家づくりの姿勢が
現れる部分です。
取得時の価格だけでなく、長年にわたって、
の配慮がされているかどうか。
そんな目線で住宅会社を選んでいただければ
と思います。
それでは、また!
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