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【しあわせなみだ】Tear's Letter

【Tear’s Letter】障がいのある子ども・若者への性暴力は、なぜ見えにくくなるのか

2026年07月05日

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★ Tear’s Letter

★ 2026年7月5日 No.647

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆★

それでは今月の「Tear’s Letter」をお届けします!
6月は、障がいのある子どもや若者、
障害福祉サービスの利用者が被害にあったとされる
性暴力のニュースが複数報じられました。

子どもや障がいのある人にとって、
学校、保育、福祉サービス、グループホームなどは
本来であれば安心して過ごせる場所であるはずです。
しかし、支援する側と支援を受ける側の力関係、
被害を言葉にしにくい状況、相談しづらさなどが重なることで
性暴力が見えにくくなることがあります。

7月は、こども家庭庁が
関係府省庁・自治体・民間団体と連携して取り組む
「青少年の被害・非行防止全国強調月間」です。
夏休みに入り、子どもや若者の生活の場や
人間関係が広がる時期だからこそ、
被害を「子ども本人の注意不足」にせず、
大人や組織の側がどのような備えを持つべきかを考えたいと思います。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

┃【Tear’s Letter No.647Topics】
┃★1.Tear’s NEWS

┃★2.Tear’s ZOOM UP
┃ 障がいのある子ども・若者への性暴力は、なぜ見えにくくなるのか

┃★3.編集後記

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

★1.Tear’s NEWS
───────────────────────
先月1か月の性暴力の動向を、サクッとお届けします。
【障がい児支援・保育】
■障害児支援施設で知的障害のある女児に
わいせつ行為・盗撮疑い、元保育士を逮捕
勤務先の障害児支援施設で、
知的障害のある女児にわいせつな行為をし、
その様子を隠しカメラで撮影したとして、
元保育士が不同意わいせつと性的姿態撮影処罰法違反などの疑いで
逮捕されたと報じられました。
容疑者のパソコンなどからは、
被害女児ら複数人を盗撮したとみられる画像や動画が約3000点見つかっており、
過去に勤務した支援施設や保育園でも
同様の行為を繰り返していた可能性があるとされています。
被害女児は知的障害があり、言葉で意思を伝えられなかったと報じられています。
▼東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/497750

【障がい児支援・福祉サービス】
■放課後等デイサービスで利用者への不同意わいせつ疑い、経営者を逮捕
三重県津市の放課後等デイサービス事業所で
利用者の10代女性にわいせつな行為をしたとして、
経営者の男が不同意わいせつの疑いで逮捕されたと報じられました。
女性が母親に相談したことで被害が発覚したとされています。
障がいのある子どもや若者が利用する場で
支援する立場にある人が加害を疑われる事案であり、
相談しやすい仕組みと事業所内での権力関係を前提にした予防策が問われます。
▼メ~テレ
https://www.nagoyatv.com/news/?id=036110

【障害福祉・行政処分】
■障害者グループホームで利用者への性的虐待、神戸市が行政処分
神戸市は6月30日、市内の障害者グループホームで
運営法人の代表社員が利用者にわいせつな行為をしたとして
同ホームの新規受け入れを3カ月停止し、
介護給付費などの報酬を3割減額する処分を発表しました。
市、障害者に対する性的虐待と判断しています。
施設内で通報が行われ、市が調査した点は重要ですが、
支援者と利用者という力関係の中で起きる性暴力をどう防ぐか
改めて問われる事案です。
▼神戸新聞
https://news.jp/i/1444678852149281107?c=1179248089549373591

【学校・交際関係】
■交際相手からの性的いじめ、両親が再調査を要請
高校生が交際相手から受けた行為について、
学校側が「いじめ」と認定した事案で
両親が再調査を求めていると報じられました。
交際関係の中で起きる性暴力は
「恋人同士の問題」や「関係のもつれ」と
見なされやすく、被害として認識されにくいことがあります。
今回、交際相手による行為が
性的いじめ・性暴力として位置づけられた点は重要です。
被害者へのケアと学校現場で同様の被害を
見逃さないための再発防止策が求められます。
▼47NEWS
https://www.47news.jp/14552847.html

【司法・聴き取り】
■子ども・障害者の性被害聴取、警察官がアバターで質問力を訓練
性犯罪に遭った子どもや障害者など
聞き取りが難しい被害者への対応をめぐり、
警察官がアバターを相手に質問力をトレーニングする取り組みが報じられました。
2023年の刑事訴訟法改正により、
性犯罪被害に関する司法面接の録音・録画記録が、
一定の条件のもとで証拠として採用されるようになっています。
被害者に何度も話をさせる負担を減らし、適切な聴き取りを行うためにも
警察官・検察官への研修の広がりが期待されます。
▼読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260630-GYT1T00146/

【被害者支援】
■警察庁が「被害者手帳」モデル案を公表、説明負担軽減へ
警察庁が、犯罪被害者らが支援窓口で被害状況や支援ニーズを
何度も説明する負担を減らすための「被害者手帳」モデル案を
公表したと報じられました。
被害状況、悩み、家族を含む支援ニーズ、受けた支援の経過などを
記録でき、窓口で提示することで
よりスムーズに支援につながることが期待されています。
性暴力被害でも被害状況を何度も説明することは大きな負担になります。
被害者手帳が、支援につながるための道具として活用されるなら、
二次被害や説明負担を減らす一歩になると思います。
▼grape
https://grapee.jp/lifehack/security/2243512

【制度・こどもの安全】
■こども性暴力防止法、施行に向けた資料・研修教材等を公開
こども家庭庁は、こども性暴力防止法の施行に向け、
事業者向けチェックリスト、各種ひな型、
従事者向け研修教材、Q&Aなどを公開しています。
同法は、学校や保育所、認定を受けた民間教育保育等事業者などに対し、
児童対象性暴力等を防止するための措置を求める法律で
2026年12月25日に施行される予定です。
法律の施行を待つのではなく、子どもに関わる場で
今から相談体制、通報ルート、研修、記録の方法を整えていくことが大切です。
▼こども家庭庁
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

★2.Tear’s ZOOM UP
障がいのある子ども・若者への性暴力は、なぜ見えにくくなるのか
───────────────────────
6月に報じられたニュースから見えてくるのは、
障がいのある子どもや若者、障害福祉サービスの利用者が
安心できるはずの場所で性暴力の被害にあっている現実です。
障害児支援施設、放課後等デイサービス、グループホーム。
いずれも、本人や家族にとっては、日常生活を支える大切な場です。
しかし、こうした場では、支援する側と支援を受ける側の間に
どうしても力の差が生まれやすくなります。

支援者は、生活、移動、食事、排せつ、学習、余暇、家族との連絡など、
本人の暮らしに深く関わります。
その関係性が信頼に基づくものであれば、大きな支えになります。
一方で、その立場を悪用する人がいれば、被害はとても見えにくくなります。
特に障がいのある子どもや若者の場合、被害を受けても
それを言葉で説明することが難しいことがあります。
「いやだった」と言えない。
何が起きたのかを時系列で話せない。
相手の行為が不適切だったのか判断できない。
自分が悪いと思ってしまう。
いつも関わっている大人だから、嫌だと感じても逆らえない。
こうしたことが重なると、周囲が気づくまでに時間がかかります。

今回報じられた事案の中には、母親への相談によって被害が発覚したもの、
施設内からの通報によって調査につながったものがありました。
これはとても重要です。

被害を本人だけの力で訴えることが難しい場合、
周囲の大人が「いつもと違う様子」に気づくこと、
安心して話せる相手がいること、
そして職員が抱え込まずに通報できる仕組みがあることが、
被害の発見につながります。

ここで大切なのは、
「子どもや利用者にもっと相談できる力をつけてもらう」という
方向だけにしないことです。
もちろん、自分の身体を大切にすること、いやなことはいやと言ってよいこと、
困ったら相談してよいことを伝える性教育は必要です。
けれども、それだけでは不十分です。
性暴力を防ぐ責任は、子どもや障がいのある人本人にあるのではありません。
支援する側、施設を運営する側、学校や地域の大人の側にあります。

たとえば、次のような仕組みが必要です。
・職員が一人きりで密室対応をしない
・身体接触を伴う支援のルールを明確にする
・利用者や保護者が相談できる窓口を複数用意する
・職員が違和感を覚えたとき、迷わず報告できるルートを決める
・通報した職員が不利益を受けないようにする
・外部の目が入る仕組みをつくる
・性暴力や虐待に関する研修を定期的に行う

また、被害が疑われた後の聴き取りにも専門性が必要です。
子どもや障がいのある人から話を聴くとき、
何度も同じことを聞いたり、誘導的な質問をしたりすると
本人の負担が大きくなるだけでなく、事実確認にも影響します。
だからこそ、司法面接の考え方や
警察官・検察官への研修が広がることは重要です。

「うまく話せないから、被害がなかったことになる」のではなく、
話しにくい人からどのように安全に丁寧に聴くのか。
そこに社会全体で取り組む必要があります。
こども性暴力防止法は、2026年12月25日に施行される予定です。

この法律は、子どもに関わる事業者に対して
性犯罪歴の確認だけでなく、
こどもへの性暴力を防ぐための体制整備を求めるものです。
ただし、法律ができれば、それだけで被害がなくなるわけではありません。
現場で働く一人ひとりが、性暴力は「特別な場所」ではなく、
日常の支援や教育の場でも起こりうるものとして捉えること。
そして、疑いの段階であっても、
子どもや利用者の安全を最優先に動ける仕組みを作ること。
それが、法律を現場で生かすために必要です。

7月は「青少年の被害・非行防止全国強調月間」です。
夏休みに入ると、子どもや若者の行動範囲が広がります。
学校、家庭、地域、福祉サービス、習い事、SNS。
さまざまな場所で人との関わりが増える時期だからこそ、
「気をつけなさい」と子どもに言うだけでなく、
大人の側が備えることが求められます。
障がいのある子どもや若者が、安心して「いや」と言えること。
言葉で言えなくても、周囲が変化に気づけること。
相談された大人が、あわてず、疑わず、抱え込まず、必要な支援につなげられること。
その積み重ねが、性暴力を見逃さない社会につながっていくのだと思います。

★3.編集後記
───────────────────────
7月9日㈭パートナーが性被害を経験している男性のための語り場
「寅さんのなみだ」を開催します。
今回のミニ講座のテーマは
「『理解できない』から始めるパートナー支援」です。
理解できないことは悪いことではありません。
その戸惑いを出発点に、性被害の影響やトラウマ反応について一緒に考えます。
後半は語りの場にいたします。
解決を目指すのではなく、安全に話しをすることを大切にいたします。
https://peatix.com/event/5064607

「Tear’s Letter」は毎月第一・第三日曜配信です。
次号をお楽しみに!
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