トレビアンフランス語アカデミー講師のロスティ泉が、フランス語学習に関する役立つ情報を配信していきます。

【TBフランス語通信】

Ah ! ça ira

2025年05月02日


 


昨日5月1日のメーデーは、インドネシアでは祝日でした。


普段よりゆっくりした朝に、"Ah ! ça ira, ça ira, ça ira...."  と口ずさむ夫。


 


"C’est quoi cette chanson ?" と聞くと、「フランス革命の後の歌だ」と言います。


フランス革命というと1789年。230年前の歌を今も歌っているだなんて!!


 


1790年頃というと、日本では江戸時代中期〜後期にあたり、11代将軍・徳川家斉の頃


だそうです。この頃日本で流行った歌で、今でも日本人に知られている歌なんて


あるのでしょうか?


 


でも調べてみると、この "Ça ira." という歌は1954年にエディットピアフが歌ったので、


今のフランス人でも知っているようです。


https://youtu.be/bzu01gO3pi4?si=Qjbx0JZEp83pcrva

 


私が驚いたのは、歌詞のフランス語が現代のフランス語と同じということ。


どうやら17世紀(1600年代)には、すでに「近代フランス語」の基礎が整っており、


特に1635年創設のアカデミー・フランセーズによって、標準語の整理が始まりまったというのが


大きいのかもしれません。


 


だから、フランスの子供達は小学校で Jean de La Fontaine(ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ)の


Fables(「寓話」1668年)の中の


Le Corbeau et le Renard(カラスとキツネ)
La Cigale et la Fourmi(アリとキリギリス)


なんかを丸暗記させられたり、


 


高校生の課題図書として、Madame de La Fayette の La Princesse de Clèves(「クレーヴの奥方」 1678年)


を原文のまま読んだりできるんですね。


 


さて、夫が口ずさんでいた "Ça ira." はこんな歌です。


https://youtu.be/2yxvr54eprI?si=Cjj1nlUlAX4ZZ2hx

 


たぶん、フランス革命後の民衆たちはこんな感じで歌っていたのでしょう。


https://youtu.be/vWACEbdm_u0?si=HPlO0bevW381NxfC

 


部分的に歌詞をご紹介します。


(楽観的な初期バージョン:革命初期の楽観的な雰囲気を反映している)



Ah ! ça ira, ça ira, ça ira,


Le peuple en ce jour sans cesse répète,


Ah ! ça ira, ça ira, ça ira,


Malgré les mutins tout réussira.


Nos ennemis confus en restent là


Et nous allons chanter « Alléluia ! »


訳:


ああ、うまくいくさ、うまくいく、きっとうまくいく!
今日、民衆は絶えずこう繰り返す、
ああ、うまくいくさ、うまくいく、きっとうまくいく!
反乱者がいても、すべてはうまくいくだろう。
敵どもは困惑し、それ以上何もできず、
私たちは「アレルヤ」と歌おう!


 


(サン・キュロットによる過激なバージョン:革命が進行する中での民衆の怒りと過激化を示している)


Ah ! ça ira, ça ira, ça ira,


Les aristocrates à la lanterne !


Ah ! ça ira, ça ira, ça ira,


Les aristocrates on les pendra !


Si on ne les pend pas, on les rompra,


Si on ne les rompt pas, on les brûlera.


訳:


ああ、うまくいくさ、うまくいく、きっとうまくいく!
貴族どもを街灯に吊るせ!
ああ、うまくいくさ、うまくいく、きっとうまくいく!
貴族どもを絞首刑にせよ!
吊るせないなら、打ち砕け、
打ち砕けないなら、焼き払え。


 


1790年にフランス革命直後に歌われていたこの歌を聞いて、


「フランス人って本質的にこのころから全く変わってないんじゃない??」と思いました。


言葉も、国民性も。


 



 


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