グリュイエールのような月
フランスでは2024年夏の総選挙以降、不安定な政治状況が続いています。
国民議会において過半数を持つ単一勢力が不在となり、この1年間の間に
4人も首相が入れ替わりました。
現在のフランソワ・バイルー首相 (François Bayrou) も、
きたる9月8日に予定されている信任投票で不信任となる可能性が高く、
新たな政権交代や解散・総選挙に発展する可能性があります。
さて、またもやフランソワ・バイルー首相が非難されている理由に、
2026年度予算とともに発表した大規模な改革案があります。
改革案の中のひとつに「祝日の削減」というものがあり、これは
イースター翌日の月曜(Lundi de Pâques)と
5月8日(第二次世界大戦終結記念日)を祝日から外す提案です。
祝日削減の目的は「労働日を増やし経済効果を高める」ことですが、
これに国民は「歴史や伝統を軽んじている」と猛反発。
特に5月は祝日が多く“仕事が進まない"と言われる月ですが、
逆に「フランスの文化」だとして守る声が強いようです。
日本も5月は祝日が多いですが、フランスも負けていません。
例えば今年の場合だと、
・5月1日(木)Fête du Travail(メーデー)
・5月8 日 (木)Victoire 1945(第二次世界大戦戦勝記念日)
・5月29日 (木)Jeudi de l’Ascension(キリスト昇天祭)
・6月9日(月)Lundi de Pentecôte(聖霊降臨祭の翌日・月曜)
というカレンダーでした。
木曜日や月曜日が祝日だとどうなるかというと....
金曜日を休みにして4連休にする(faire le pont)のです!
今年は毎週末4連休をとられ、フランス相手にはほとんど仕事になりませんでした。
というわけでバイルー首相は「5月8 日は働こう」と提案したわけですが...。
(実現しなさそう)
このような「祝日だらけの5月」を、フランスらしく表現した言葉が
あったので、ご紹介します。
・Le "mois de mai devenu un véritable gruyère.
・C’est un mois de gruyère qui va commencer avec le mois de mai.
・Mai, ce mois où la France devient un gruyère.
「5月は本当に穴だらけのグリュイエールのようになった。」
「5月から始まるのは、穴だらけの“グリュイエールのような月"だ。」
「5月──フランスがグリュイエールになる月。」
"gruyère" とは、そう「グルイエールチーズ」のことです。
祝日の多い5月のことを、「穴のあいたグルイエールチーズ」に例えるとは
フランスらしいですよね。
日本語だったらどのように表現できるでしょうかね?
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