「あいだの力学」の気になる間の話
---------------------------- 2021/10/11
皆さま、こんにちは!
10月も中旬になろうとしていますが、いかがお過ごしでしょうか。
朝夕に秋の深まりを感じるものの、日中は夏のような暑さ。
寒暖差の激しさで、少々しんどさを感じているかもしれませんね。
先日のこと。栃木に住む従兄弟から新米を頂きました。
叔父さんの田んぼを受け継いで、今年からお米を作り始めたとのこと。
Google Earthで、従兄弟の家をバーチャル訪問すると…
子どものころに遊んだ田舎の風景が、今もそのまんま残されていて、
なんだか嬉しくなってしまいました。
はてさて、新米のお味はどうかな??
叔父さんの味と違っていても、滋味深さはきっと同じなんだろうな。
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【今月の気になる間の話】
●「三文小説」と「わたし」のあいだがら
最近の出来事をもとに、ちょっと三文小説を書いてみた。
---ここから---
「う~ん…」
篠田文博は悩んでいた。娘である真里菜の結婚に対する意思が変わら
ないうえ、反対する理由が見つからないのだ…
「落としどころは、どこなのだろう…」
文博は悩んでいた。
-
そもそものはじまりは、3年ほど前にさかのぼる。
「お父様、会っていただきたい人が居ます。」
旧財閥の流れをくむ篠田家。当主の文博は篠田ホールディングスの
CEO(最高経営責任者)を務めている。サンノゼのベンチャー企業の
M&Aをとりまとめて、昨夜ようやく日本に帰ってきた文博は、自宅で
朝食を摂るのも久しぶりに感じていた…ところだった。
「…!?」
「虚を衝かれる」とは、こういうことを言うのだろう。予想しなかった
娘の言葉に、一瞬かたまった。
「将来を真剣に考えたい人がいるのです。会っていただけませんか?」
「…わかった。」
思わず口から出た言葉が、肯定するものであったことに若干の後悔を
感じつつ、目に入った「自由闊達」という家訓で、文博は気持ちを飲み
込んだ。
-
「ガチャ…」
二人は先に到着していたようだった。
文博が入ってきたことに気づくと、両人ともスッと立って丁寧にお辞儀を
した。
「待たせてすまない。前の会議が長引いてしまった。」
真里菜は「会って欲しい」と言っている。「将来を考えたい」とは言って
いる。けれども「結婚をしたい」とは言っていない。たぶん。
「真里菜の彼氏なら、会ってみたらいいじゃない!
『お前たちを信じる』って子どもに言ってきたのは、
ウソだったの(笑)!?」
妻の言うとおりなんだが、あまりにも真っ当で、言い返せないことに
腹が立つ。クソッ!絹子の野郎め!俺だってわかってる!
「小宮山啓介と言います。本日はお時間を頂き、ありがとうございます!」
高級レストランの個室に、やや上ずった声が響く。緊張している様子が
手に取るようにわかった。
「二人とも、ま、座りなさい。」
ひととおりの自己紹介のあと、食事が運ばれてきた。
真里菜と小宮山は、大学のボランティアサークルで知り合った。
たまたま同じプロジェクトのメンバーとして、先輩の真里菜が後輩の
小宮山の教育係になったことがきっかけとなって、互いを意識する仲に
なったようだ。
文博が切り出す。
「ところで小宮山君、わたしとか、『篠田家』のこととかについて、
どう思っているのかな?」
話の急な展開に、それまでのなごやかな雰囲気がどこかに飛んでいって
しまった。
しばしの沈黙。
「…すいません。篠田先輩のお父さんが、会社を経営している
ということぐらいしか…」
「お父様、小宮山さん帰国子女で、ずっとシンガポールに居られたの…」
「将来とか…は?」
「まず今年中に今のK大学で修士をとってから、
イギリスのC大学に留学し、博士になろうと思っています」
「…えーっと… う~ん… たとえば、専門はナニかな?」
「ロケットのエンジン工学、燃焼系をやってます!」
エンジン工学について語り始める小宮山。突然饒舌になった彼の様子に、
文博は少々面を食らった。
-
食事会が終わり、文博と真里菜はハイヤーで帰ることになった。
「真里菜…、小宮山君のどこが良いの?
なんだか頼りないように思うのだけれど…」
「頼りない…うん、そうかも」
「でも彼の前だと家のこととか、何も考えなくて済むの。
な~んにもなくて、そのまんまのわたしを見てくれているような…
なんだかとっても『自由』を感じるんです。」
そんなものか…。しばし思案し、文博は今後のことで条件を出した。
1) ひとまず交際は認める
2) ただし結婚を考える場合は、以下の条件をクリアすること
・宣言どおり、イギリスの名門C大学で博士号を取ること
・年収2,000万円以上の目途をつけること
「結婚になると、気が合うかどうかよりも、生活力が大事。
そのあたりがしっかりできないと、お父さんは賛成できないな」
年収2,000万…って、普通はムリだろう。その間に真里菜の気持ちが
変わるかもしれない…いや、変わってほしい。できれば。
-
食事会から3年。
小宮山はC大学で博士号を取得。フランスのアストロスペース社の
上級研究職のポジションを得たうえで、真里菜にプロポーズしたのだ。
つまり、文博にとってはありがたくないほど、順調に事が進んで
しまったのだった。
そのこと自体は、予想外ではあるものの、喜ばしいことでもあるのだが、
実は気がかりのことがもう一つ。
真里菜に内緒で、小宮山の身辺調査を探偵に依頼していたのだが、
その結果、小宮山の従兄弟が投資詐欺に係わっていたことがわかった
のだった。
小宮山自身はもちろんのこと、彼の親兄弟が、従兄弟の詐欺に係わって
いないことは明らかなのだが、篠田グループに金融部門がある以上、
CEOとしては小宮山との結婚を認めるわけにはいかない。
「落としどころは、どこなのだろう…」
2~3日の思案の後、文博は二人を呼び出した。
「小宮山君との結婚の件。小宮山君自身が努力したことは認める。
しかし、彼との結婚は認めることができない」
「もし、わたしの意思に反して小宮山君と結婚をするというのならば、
真里菜、わたしは当主としてお前を勘当する」
文博の決断を予想していたのか、真里菜は勘当を受け入れることにした。
-
小宮山が勤務先の近くに新居をみつけたため、真里菜もフランスに行く
ことになった。ささやかだけれども、むこうで結婚式をあげることに
なった。
実父にバージンロードをリードしてもらえないのは残念なことではある
けれども、真里菜にとっては、新しい生活に対する期待の方が大きく
わくわくしていた。
小宮山にとっては、勘当された彼女を受け入れる立場として、
「腹をくくった」機会となったようだった。責任は感じるけれども、
これまでのプロセスは、自分に対する自信になっている気もする。
文博にとっては、名家の当主や大企業のCEOという立場の不自由さを、
改めて認識する機会となった。
「そもそも、何でも思いどおりになるわけないじゃない!」
本当に絹子の言うとおりだ。若干腹がたつけれども。
まあ何はともあれ、とりあえずの落としどころとしては「イイ線」かな。
孫ができたら、また考えてもいいことだ。
---ここまで---
ここまで三文小説につきあっていただき感謝する。
みなさんは、どう感じただろうか。よければ感想を教えてほしい。
さて、この小説、実は昨今の秋篠宮の眞子さまの結婚に関するアレコレに
ヒントを得て書いてみたんです。もちろん、小説なので100%のフィクション
であるけれども。
とはいえ、100%のフィクションであっても、ひょっとしたら3%ぐらいは
同じようなことがあったかもしれず、その意味では、ある出来事を
「違う視点」を考えるきっかけにもなる。そんな風にも思うのです。
もう一つ。
わたし(和氣ひろゆき)は、秋篠宮さまと同級で、大学入試で学習院大学
を受け(不合格の通知を受け)た経験があります。もし合格していたら、
秋篠宮さまと「ご学友」※になれたかもしれず…で、普段から親近感を
持っておりました。まあだから、親の立場としてどんな風に思うかな…と、
考えてみたくなったというわけです。
まあ、難しいもんです。「心中お察しします」というのが、書きあげての
率直な感想です。
※: 学部が全然違うので、合格しても会えたかどうかはわかりませんが(笑)
(ひろゆき)
【今月のトピックス】
●和氣よりこが、note(※)を更新しました!
「あいだ(関係)」をキーワードに、よーりーが20代・30代のときに
体験したイロイロ話をお届けします。
2回目は「『今のワタシ』と『昔のワタシ』」というタイトル
で書きました。気軽に楽しんでもらえたらうれしいです。
※↓2回目↓のnote記事のURL
→ https://note.com/yoriko_waki/n/n8c3a49f4a7e8
※↓1回目↓のnote記事のURL
→ https://note.com/yoriko_waki/n/n0201e5b843a2
※noteは文章、写真、イラスト、音楽、映像などの作品を配信する
ウェブサイトです。
【あいだの力学に対するリクエスト募集!】
わたしたち、「あいだの力学」に対して、「あれやって欲しい!」とか、
「こういうのは無いかな?」とか、アイデアやリクエストがあれば、
ぜひぜひ遠慮なくわたしたちに伝えて‡くださいませ。
‡ このメルマガへの返信、もしくはホームページの「お問い合わせ」で
連絡して頂ければ、わたしたちに伝わります。
→ http://www.aidano-rikigaku.jp/
よろしくお願いしますね♪
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これからもわたしたち「あいだの力学」に対する応援、
よろしくお願い申します。
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