「あいだの力学」の月刊メールマガジンです。 毎月11日に発行されます。

　　　　　「あいだの力学」の気になる間の話
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皆さま、こんにちは。

2024年も、気づくとあとわずかになりました。皆さんにとって、この一年はどんな年だったのでしょうか。「良い一年」ならそのままに、「イマイチな一年」だったら新たに切り替えて、それぞれにとって2025年が良い年に恵まれますこと、お祈りいたします。
さて12月に入り、寒さも本格化してきた今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。ぼくら(和氣ひろゆき／より子)の最近の「ちょっとした出来事」…というと、いよいよお布団に「湯たんぽ」を入れるようになったことでしょうか。生駒は盆地であることもあり、雪は降らないけれども夜は結構冷え込むので、これくらい寒くなってくると湯たんぽは欠かせません。足元を温かくすると寝つきも良くなるみたいで、朝までグッスリ休むことができます。翌朝、布団から出られなくなるのが難点ですが…。

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【今月の気になる間の話】

●わたしと「専門バカ」とのあいだがら

少し前のこと。ソフトウエアエンジニアの仕事をしているとき、プロジェクトリーダー※1の方が、新人の若いエンジニアのAさんを連れて、ぼく(和氣ひろゆき)のところにやってきた。「こちらは和氣さん。経験豊富な方だから、相談に乗ってもらうといいよ。」リーダーからの紹介にも関わらず、Aさんの顔をみると緊張してガチガチになっている様子。無理もない。年齢が親子ほど離れていることだし、きっと何を話して良いのかわからないのだろう。「大丈夫だよ！取って食ったりしないから(笑)」…と冗談を言ったもののウケるわけもなく、そのときはそれだけで終わった。

それから1か月ほど経ったある日、今使っている機械の動き方を、特殊な装置を使って調査をすることになった。その装置を使う人は、ぼく以外あまりいないこともあり、せっかくなのでAさんを誘うことにした。「何もわからないんですけれど…良いんですか？」「大丈夫大丈夫！全然OKさ！」

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前職のサラリーマン時代、良かったことも嫌だったことも色々あった。でも中には「叩き込まれて(結果的に)良かった」と思うこともある。「(物事を)説明する能力」は結果的に「良かった」と思えるものの一つだ。

大学院で応用数学を先行していたからか、まわりの先生がそうだったからか、今となってはわからないけれども、社会人として仕事を始めたばかりのころは、「本質をムダなく言うのが正しい」と思い込んでいた。数学の世界で言えば、証明のキモになる数式をズバッと表現する…みたいなものが良い表現だと。本当に。

当然のことだけれども、世の中で数式が得意な人なんてそうそう居る訳もなく、「和氣、おまえの言っていることはサッパリわからん」という当たりまえの指摘に対し、「○○さん、何がわからないんですか！」と先輩に食ってかかる始末。今思うと赤面することばかりだ。自分は本当に扱いずらい人間だったように思う。

入社して三年ぐらい経ち、昇格試験を受けることになった。昇格試験の内容を簡単に言うと、試験官である上級管理職の人たちに、自分が行った仕事の内容と、その成果についてプレゼンをしたのち、QAをベースにした口頭試験を受けるというもの。今はどうなっているのかはわからないけれども、ぼくが受けたころは、年度初めに応募書類になるレポートの作成と提出が行われ、秋に行われる試験の3か月前ぐらいから、プレゼンの作成と発表、口頭試験の練習を「みっちり」とやっていた。確か夏休み期間中も、実質お休み返上で練習していた記憶がある。

ぼくは…はい。すごく苦労しました。先輩の「プレゼンがわからない」の「わからない」の意味がわからず、かなり長い期間、同じところを「グルグル」回っていたように思う。ぼくと先輩の様子を見かねて、当時の課長がぼくにこんなことを言った。

「難しいことを、難しく言うことは誰でもできる。難しいことを、誰にでもわかるように説明することは、非常に難しく、本当に本質を判っている人にしかできないんだよ。和氣君、本当は本質を判っていないんじゃないのかな？」

瞬間的に「ちがう！」と言いそうになったけれども、「本当は本質を判っていない」という言葉に、自分が避けてきた部分を指摘された感じがして何も言い返すことができなかった。「ぐうの音も出なかった」という感覚は、こういうことを言うのだろう。

結局のところ、課長の言葉に助けられて昇格試験をパスすることができた。そして「難しいことを、誰にでもわかるように説明する」ということを、いつも考えるようにもなった。

今改めて思うのは、「誰にでもわかる説明」をするには、自分がやっていることが、どんな良いことにつながるのか、自分が担当している部分は非常に狭い範囲かもしれないけれども、そこからちゃんと社会の方を向いて話すことができなければならず、端的に言うと「専門バカ」にならないということなのだろう。今までも、そしてこれからも大事にしていきたいものだ。

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冒頭のAさんに対する、ぼくの説明は、ソコソコ良かったようだ。説明が終わることにはニコニコしていたし、何か自信のようなものがAさんの中に湧いてきた感じもした。まあ、本人に確かめていないので単なる思い込みかもしれない。でも確認するのも野暮というもんだ。


(ひろゆき)

※1:ひらたく言うと、現場監督みたいな役割の人です。


【今月のトピックス】

●和氣ひろゆきが産業カウンセラー協会の京都事務所でワークショップをしました～！

先月16日に、和氣ひろゆきが産業カウンセラー協会の京都事務所で、コンフリクトと介入に関するワークショップを行いました！楽しい時間を参加した皆さんと過ごせて良かったです！
また、楽しみましょう！

●和氣よりこがAYA WEEK 2025／がん教育チーム主催のイベントで話をしました～！

12/6(金)にX（旧ツイッター）のスペースで、「『がん』と『自分らしさ』」をテーマにお話をしました。
司会の楠木さま、皆さまありがとうございました。


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