「あいだの力学」の気になる間の話
---------------------------- 2026/4/11
皆さま、こんにちは。
華やかな桜の季節も過ぎ、初々しい若葉が芽吹くこの頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか?1週間ぐらい前から、「ホーホケキョ♪」とウグイスの声が聞こえるようになり、いよいよ春も本番。ココロもカラダも「ウキウキ」する…そんなことを感じながら毎日を過ごしています。
そうそう、春になると食べたくなるのがタケノコ!ぼく(和氣ひろゆき)にとって「たけのこご飯」は、思い出深い「お袋の味」。この時期になるとやっぱり食べたくなりますね。今夜あたり作ろうかなあ…
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【今月の気になる間の話】
●わたしと「10年以上の葛藤」とのあいだがら
・夜中に小腹が空いて、「食べて寝る」か、「我慢して寝る」か という葛藤
・食事の準備中に子どもに話しかけられて、「準備を優先する」か、「子どもの話を優先する」か という葛藤
色んなレベルの「葛藤」があると思いますが、皆さんは葛藤が発生したときどうしていますか?
今回は、わたし(和氣より子)が抱えている葛藤と、それに対して「どう」向き合っているかについて話してみたいと思います。10年以上抱えていますが、最近になって「ようやく」自分なりに折り合いをつける方法をみつけることができました。
わたしが抱える「葛藤」というのは、ある近しい人(Aさんとします)との接し方についてです。わたしが30歳の頃、Aさんは統合失調症(※1)と診断されたのですが、そのときからAさんとの接し方について、ずっとモヤモヤしている状況にあります。
Aさんが精神疾患と診断されたほぼ同時期に、わたしはコーチングのコーチの資格保持者(※2)になりました。統合失調症の治療には、抗精神病薬をつかったり、カウンセリングを受けたりと、様々な方法があります。Aさんに対して、関係が近いわたしがカウンセリングをすることはできません(※3)が、コーチングのコミュニティで知り合いになったカウンセラーから病気について色々なアドバイスをもらったりしていましたし、インターネットを使って勉強したりもしていました。
しかし…(ご存知の方も多いと思いますが)統合失調症を含む精神疾患の人が、すぐに病院に行くことは「ほぼ」ありません。どんな人でも、自分が「精神的におかしい(=病気である)」とは思いたくない※4ので、「認めない(=自分は正常)」「認めたくない(=自分がそうなることは、ありえない)」と考えるのが普通だからです。Aさんの場合も、周りから見て明らかに言動がおかしいし、以前と比べて調子が良くないようにみえるのですが、クリニックに通いつづけることを拒みました。既存の治療法に抵抗感を示していたAさんに対して、新しい治療法※5のことを伝えても「ヌカに釘」の状態でした。
病気に対する情報収集という、自分の努力が報われないのは覚悟していましたが、Aさんが妄想をベースに「わたしは指名手配されているんじゃないの?みんなそのことについて何か知っているはずなのに、知らないふりをする!」と、わたしや、わたしの夫(和氣ひろゆき)に対して、何度も不信感を顕わにする。そんなことが重なってしまうと、正直「辛いなあ」とも感じます。
Aさんの病気がわかって10年ほど経ってようやく、わたしは、自分を含めて周りができることは「ほぼ無く」、治療に前向きになるかは「本人次第である」と考えるようになりました。お互いのため、「いい意味で期待せずに付き合おう」と、今はそんな風に思うようになっています。
最近、たまたまSNSで、べてるの家(※6)が「当事者研究の国際的なつながり」というテーマのセミナーをすることを知りました。確か約20年ほど前に、福祉が専門の知人から、べてるの家の動画をみせてもらった記憶があり、何かのきっかけが掴めるかもしれない…と思ってセミナーに参加することにしました。
当事者研究(※7)という言葉を初めて聞いた方は、注釈を確認してくださいね。べてるの家は、精神疾患の状態にある人が、医療に参加する突破口として当事者研究をスタートさせたようです。特にわたしは当事者の主体性を尊重した活動スタイルに共感しました。たぶん普段から、「自分も相手も尊重できる人でありたい」と、わたし自身が心がけているからかも知れません。これからも時々、べてるの家のイベントに参加して、自分が人間関係で大切にしていることを思い出すようにしようと思いました。
登壇者の一人が「当事者研究は、社会的ムーブメントの要素がある」というような発言をしていました。その方がどのような意図で言ったかは不明ですが、わたしは、当事者研究がメジャーになることで、支援を「より良い」ものにしていく、そんな社会的流れがおこるかもな…と思ってちょっとワクワクしました。どんな形であれ、Aさんを含む周囲との人間関係も、Aさんを含む社会も、葛藤の少ない生きやすい感じになっていたらいいなあと、そんな風に思うのです。
(よーりー)
※1 統合失調症:統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。 陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。 周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多いなどのサインとして表れます。
「こころの情報サイト」→ https://kokoro.ncnp.go.jp/
※2 コーチングの資格:民間資格ですが、一般的にはICF(国際コーチ連盟)が定める教育カリキュラムと認定試験を受けて認定されるものとなります。
※3 関係が近い人がカウンセリングをすると、「ナアナアの関係」や「抜き差しならない関係」など、お互いにとって有害な関係になりやすいため、禁止されています(多重関係の禁止)。
※4 人間は誰でも「自分が見ていることや聞いていることが真実である」ということを暗黙の前提にしているため、自分の「暗黙の前提」が「信用できないかもしれない」という事実は、何を信じて良いのかかわからないという混乱を引き起こすことになるからです。
※5 「オープンダイアローグ」という治療法のことです。インターネットで「精神医療の世界を劇的に変えるオープンダイアローグ」という記事を偶然みつけ、当時は時間とお金をかけてそれについて独学で勉強していました。
※6 べてるの家は、1984年に設立された北海道浦河町にある精神障害等をかかえた当事者の地域活動拠点です。べてるの家は、有限会社福祉 ショップべてる、社会福祉法人浦河べてるの家、NPO法人セルフサポートセンター浦河などの活動があり、総体として「べてる」と呼ばれています。20年前の当時のわたしは「なんだかかわった活動をしているな…」ぐらいにしか思わなかったのですが。
→ https://urakawa-bethel.sakura.ne.jp/db/
※7「当事者研究」とは、2001年にべてるから始まった、精神疾患の状況にある当事者自身が、自分の生きに辛さについて研究し、周囲と語り合うなかで対処法や生き方を探していく手法のことです。
→ https://soar-world.com/2024/12/11/30/
注:今回の記事は、和氣より子が作成した原稿に対して、産業カウンセラーの有資格者である和氣ひろゆきが、精神疾患の病態や治療法に関して、補足等を行ったものになっています。
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これからもわたしたち「あいだの力学」に対する応援、
よろしくお願い申します。
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