「あいだの力学」の気になる間の話
---------------------------- 2025/06/11
皆さま、こんにちは。
あちこちで梅雨入りの知らせが届く今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか?ぼく(和氣ひろゆき)の方はというと、プライベートで色々なことが重なり、疲労の回復が不十分だったためか、実は先週、ちょっと体調を崩してしまいました。幸いにして1日グッスリ眠ることで結構回復しましたが…。若い時ほどムリが効かなくなっている体と、まだまだ若い(?)気持ちとが、ズレているという事実を強制的に認識させられた感じがします。ホントにままならないものですねぇ…
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【今月の気になる間の話】
●わたしと「応援」のあいだがら
ひろちゃんが先月のメルマガでお伝えしましたが、西田幾多郎記念哲学館と鈴木大拙館に行き、ついでに金沢観光も堪能してきました。
わたし(和氣より子)は、放送大学で仏教入門や哲学入門を履修したあとも、本を読んだり、哲学や仏教に関する対話会に参加したりして、マイペースに学びつづけています。勉強継続のモチベーションは、「入門でおわらずに、もっと探求してみたい」という好奇心です。その探求の旅の一環として「記念館に行って、仏教哲学の理解を深めるぞ~!」ということになったのです。今回のメルマガでは、主に大拙鈴木記念館に行ったときの話をお伝えしようと思います。
「そもそも(鈴木)大拙さんって誰?」という方も多いと思うので、少しだけ説明させてください。
わたしが大拙氏(※1)を知ったのは数年前のことです。NHKで放送された「100分de名著」という番組で西田幾多郎氏(※2)をとりあげた回がきっかけになっています。確か番組では「幾多郎氏の生涯の友で、世界に禅を広めた人物」という紹介がされていました。
当時、グーグルやインテルなど、欧米の有名企業が社員の能力向上のトレーニングとして、「マインドフルネス(※3)」を取り入れているということがビジネス番組でたびたびとりあげられていました。禅とマインドフルネスは密接な関係にあるので、わたしは「蝶ネクタイの大拙さんが禅を広めたから、今のマインドフルネスブームがあるんだな」という認識でした。
鈴木大拙館は金沢市内にあり、西田幾多郎記念哲学館※4に行ったつぎの日に行きました。
大拙館に着いて受付まちをしているときに周囲をみてみると、20代とおぼしきカップル、親子三世代、外国人観光客などなど、色んな方が訪問されているようでした。「世界に禅を広めた人だけあって、いろんな人がこの施設にくるんだなあ」…なんて考えていると、受付の順番がきて施設案内図をもらいました。案内図には「学習空間」「思索空間」「展示空間」などと書かれていて「ちょっとかわった施設だな」という印象。少し驚いたという感覚の方が近いかもしれません。
「展示空間」に入ったとこのこと。展示されている写真やパネルの説明がほとんどないことに一瞬戸惑いました。でもすぐにその状況に慣れ、「この写真は晩年の大拙さんかな」など想像しながら、展示を見てまわったのです。
「展示空間」をでると「思考空間」。そこには一面の畳や、開かれた入口から「水鏡の庭」の水面を眺めるようになっていて、禅ができそうな穏やかな空間でした。なんだかわたしには、大拙氏が来館者に「思い思いに禅の時間を楽しんで」と言っているように感じました。「思考空間」に隣接する「水鏡の庭」も穏やかな場所で、来館者それぞれが、それぞれに水や風や林の音などを感じていました。
贅沢な時間を過ごして、ふとわたしは、「哲学記念館で、資料を見て理解を深めよう」という考えは本質からズレていたということに気づきました。「今」という時間を味わっている、わたしたち来館者を、大拙氏が見守ってくれている。そんな不思議な感覚を大拙館で体験したのでした。
金沢旅行からあっという間に一カ月。たまに大拙館で過ごした時間を思い出すのですが、自分には大拙氏に応援してもらっているような気がするのです。最近の私は、新規の仕事が思うようにいかなくて、気づくとドヨ~ンとした状態になっていることが多々あります。そんなわたしに、「体験から学べ」と、大拙氏が蝶ネクタイを触りながらニコニコ応援してくれている感じがあるのです。おかげで「落ちついて、一つ一つやっていこう」という気持ちになっています。
今回は、鈴木大拙館について書きましたが、もちろん西田幾多郎記念哲学館もよかったですよ。皆さんも機会があれば、ぜひ行ってみてください。おすすめです。
(よーりー)
※1: 鈴木大拙
仏教学者。明治25(1892)年上京後、鎌倉円覚寺に参禅、今北洪川と釈宗演に師事し、大拙の道号を受ける。30年渡米、イリノイ州の出版社に勤めながら、『大乗起信論』(1900)、『大乗仏教概論』(1907)の英訳を刊行した。42(1909)年帰国、東京帝大や学習院で教鞭をとり、大正10(1921) 年大谷大学教授に転じ英文誌『イースタン・ブディスト』を創刊した。戦後は昭和20(1945)年財団法人松ヶ岡文庫設立。24(1949)年文化勲章受章。25(1950)年から33(1958)年まで再び米国に滞在し、コロンビア大学等にて仏教思想を講じた。英文の著書30余冊、和文の著書120余冊を残し、禅を世界に広めた国際的な仏教学者として知られている。
→ https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/6068
※2: 西田幾多郎
哲学者。明治27(1894)年東京帝国大学を卒業後、43年京都帝国大学の助教授となり哲学や倫理学を教える。翌年公刊された『善の研究』は、明治維新以降の日本において初めて誕生した独創的な哲学書として衝撃的な影響を世に与えた。大正2(1913)年教授となり、以降、『自覚に於ける直観と反省』(1917)、『働くものから見るものへ』(1927)等の著作を通して「西田哲学」と呼ばれる独自の思想体系を築いた。昭和3(1928)年京都帝国大学を定年退職。15(1940)年文化勲章受章。没後刊行された『西田幾多郎全集』(1947)はベストセラーとなった。
→ https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/6069/
※3: マインドフルネス
マインドフルネス(英: mindfulness)とは、現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程である。
マインドフルネスという用語は、仏教の重要な教えである中道の具体的内容として説かれる八正道のうち、第七支にあたるパーリ語の仏教用語サンマ・サティ(パーリ語ラテン翻字: Samma-Sati、漢語: 正念、正しいマインドフルネス)のサティの英訳である。サンマ・サティは「常に落ちついた心の行動(状態)」を意味する。
→ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%82%B9
※4: 石川県西田幾多郎記念哲学館
石川県西田幾多郎記念哲学館は金沢市から北に20キロのかほく市にあります。
→ https://www.nishidatetsugakukan.org
【あいだの力学に対するリクエスト募集!】
わたしたち、「あいだの力学」に対して、「あれやって欲しい!」とか、「こういうのは無いかな?」とか、アイデアやリクエストがあれば、ぜひぜひ遠慮なくわたしたちに伝えて‡くださいませ。
‡ このメルマガへの返信、もしくはホームページの「お問い合わせ」で
連絡して頂ければ、わたしたちに伝わります。
→ http://www.aidano-rikigaku.jp/
よろしくお願いしますね♪
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これからもわたしたち「あいだの力学」に対する応援、
よろしくお願い申します。
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