「あいだの力学」の気になる間の話
---------------------------- 2026/5/11
皆さま、こんにちは。
新緑まぶしく、さわやかな風が通る昨今、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
先日のゴールデンウィークのあいだ、ぼくたち(和氣ひろゆき/より子)は、より子の実家がある沖縄に滞在していました。大変うれしいことに、なんと!甥っ子/姪っ子から還暦のお祝いをしてくれたんです。彼ら/彼女らが自分たちで考えて、もてなしの料理をつくるなんて、全然想像していませんでした!
気づくと、一番上の甥っ子が高校生、一番下の姪っ子も中学2年になるので、「できるハズ」…といえばそうなんですが、彼ら/彼女らの成長をうれしく思うのと同時に、それぞれの「独り立ち」にちょっぴりの寂しさを感じました。ぼくには子どもが居ないけれど、親が感じる気持ちって、「こんなものなのかなぁ…」なんて思ったりして。
あっ、そうそう。「赤いちゃんちゃんこ」は着ませんでしたが、赤いプレゼントは頂きましたよ(中身はナイショです♪)。
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【今月の気になる間の話】
●わたしと「水木しげる氏」とのあいだがら
1月のメルマガにもちょっとだけ触れたが、去年の末に念願だった「水木しげる記念館※1」に行ってきた。ちょっとそのことについて書こうと思う。
ぼく(和氣ひろゆき)が小学生だったころの話。母の実家でお盆を過ごすことになり、その準備で仏壇の掃除を手伝っていたときのことだ。ふと仏壇の中に軍服姿で写っている「若い男性」の写真があることに気づいた。一緒にいた祖母に「だーれ?」と聞いたら、「それはね、わたしの弟」との返事。そのときは、どういうことなのかがわからなかった※2が、祖母が寂しそうな顔をしていたことは記憶に残っている。
後に母から聞いた話では、祖母の弟(母の叔父)さんは太平洋戦争で招集され、南方のニューギニア戦線で亡くなったとのこと。仏壇の写真は出征のときの写真だそうだ。
「結局、骨壺で帰ってきたけれども、中身は砂しか入っていなかった。骨のかけらでも入っていたら、少しは(祖母の)気持ちの整理がつくのかもしれないけれども…。」
祖母の寂しそうな表情は、癒えることがない、心の傷が作り出したものなのだろうと、母の話を聞いて、ようやく理解したのだった。
漫画家の水木しげる氏が、戦地で左腕を失ったことを知ったのは、確か中学生ぐらいのころだと思う。ただ同氏が、自分の大叔父と同じニューギニア戦線に出征していたということを知ったのは、ごく最近のことになる。年末に「水木しげる記念館」に行くことになったとき、同氏の戦地での体験を「聞きたい/聞かなければならない」という衝動に近い感覚が生まれた。大叔父の最後が実際にどうだったかは判らないけれども、知ることは、大叔父の無念さや祖母の寂しさを分かち合うことにつながるように思ったからかもしれない。
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5月になり、「水木しげる記念館」での展示、ビデオ証言の視聴、それから水木しげる氏自身が執筆した本※3を読んで半年近く経過した。でも、そこで体験したことや感じたことを、未だに言語化できないし、できる気がしない。たぶん理解が追いつかない/追いつけないんだと思う。現時点で「あえて」言葉を紡ぐと、過酷な環境の中で、それぞれが、それぞれで「人間らしくあろう」としていたけれども、わずかに残っている「人間らしさ」をも、戦場は無慈悲に奪っていくのかもしれない。そんな感覚的な「描写」でしか表せないものが実態で、理由をつけて言葉で説明なんか、どうにもこうにもできないし、後付けにしかならないように思える。
改めて整理すると、水木しげる氏の戦争体験に少し触れたことで、戦場、すなわち戦争による暴力行為が行われている場所に関する、ぼく自身の認識は確実に変わったようだ。今では「○○かく戦えり」的に読み物としてまとまられたものに、リアリティを感じなくなったのだ。悲惨な状況であればあるほど、水木しげる氏がそうであったように、そこにいた人たちが「描写」でしか表せなくなるのも、今ではわかる気がする。そして、同氏は類まれな画力があったからこそ、描写でしか表せない戦場のリアルを、絵や漫画を通して、今を生きるぼくらに伝えることができるのだろう。
さて、天上の大叔父さんは、この文章をみてどう思うだろうか。当事者以外の人間が、すべてを理解することはできないが、理解をする努力はこれからも続けるので、多少の間違いはあっても許して欲しいのだけれども。
(ひろゆき)
※1:「水木しげる記念館」
→ https://mizuki.sakaiminato.net
※2:今考えると、目の前にいる祖母の年齢と、写真の男性との年齢とが全然あっていなかったから、「弟」という返事に混乱したのだと思う(「ふーん…」と言って返した)。
※3:「総員玉砕せよ!」(新装完全版)
→ https://www.amazon.co.jp/dp/406528600X
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よろしくお願い申します。
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