「あいだの力学」の月刊メールマガジンです。 毎月11日に発行されます。

　　　　　「あいだの力学」の気になる間の話
　　　　　　----------------------------　　2022/2/11

皆さま、こんにちは！

寒い毎日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

コロナの影響か、ちょっとした咳払いにも気を遣う昨今、
ちょっと息苦しさを感じることも多いことかと存じます。

そんなときは、ちょっと散歩をしてみませんか？

先ほど、近所の梅の木が咲いているのに気づきました。
寒い中でも、ちゃんと春が始まっている。

どんなときでも、季節の変化を楽しむ余裕は
持っておきたいものですね。

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【今月の気になる間の話】


●「本質」と「わたし」のあいだがら

エンジニアになりたての頃のこと。上司からよくこんな指摘を受けた。

　「和氣(ひろゆき)君、君の説明はなんだかゴチャゴチャして
　　解りづらいね。もっとシンプルにできないものかなあ…」

作った当人としては、どこがどう解りにくいのかテンで見当がつかない。同じ指摘を何度ももらう状況を見かね、先輩が一言。

　「課長は『本質を説明しろ』と言っているんだよ」

それから30年近く経つけれども、今でもそのときの状況を思い出すことがある。「『本質』って何を伝えれば…」と、混乱していたなあ…って。


先月のこと。ベトナムの偉大な禅僧である、ティクナット・ハン師が亡くなった。

大師が生前もたらした功績として、まず一番にあげるとするなら、仏教における瞑想のエッセンスを取り出して、信仰する宗教にかかわらず、だれでも瞑想の恩恵を受けられるようにしたことがあるだろう。最近よくテレビでも紹介される「マインドフルネス※1」というものがまさにそれで、師が居なければマインドフルネスというものは、この世に存在しなかったかもしれない。

瞑想の普及の一方で、ハン大師は仏教思想そのもの、本当に本質の部分を人類全体の英知として広めようとしていた。大師の「禅への鍵※2」という本を読んだときのインパクトは、今でも忘れることができない記憶として残っている。せっかくの機会なので、同書で師が解説している「仏教が大事」にしていることについて、ここでちょっとだけ紹介してみようと思う。

仏教では、弟子に仏教の本質を伝えるために、しばしば「公案」…ある種のトンチのようなもの…を使う。たとえば「全ては無である」というのも、そうしたトンチで読むもので、「全ては変わっていくものだ」ということを意味している。どうしてそうなるか？の読み解き方は、実際に本を読んでもらうとして、たとえばほかにもこんなトンチが紹介されている。

　「拍手を片手で打ったら、どんな音がするのか？(隻手の声)」

　「(禅宗の開祖である)菩提達磨が中国にやってきたのはなぜですか？」
　→「庭の柏の樹を観なさい！(庭前柏樹子)」
　→「あんまり長く坐り続けると、健康を損ねるぞ！(坐久成労)」

仏教には、キリスト教の聖書やイスラム教のコーラン(クルアーン)のような聖典は存在しない。聖典を教えて伝えていくのではなく、修行法とその実践を通じて、実際に体験していくことで伝えるというやり方を大事にしているからで、こうしたトンチは知識だけで「知った気になる」ことを戒める効果もあるらしい。

そういえば、アニメのモデルになった一休さんは、実際に禅宗※3のお坊さんだったのだから、リアルの一休さんもトンチが利く人だったのかもしれない…そんな想像すると、仏教に対してちょっとだけ親しみを感じることができる。その一方で「体験するかどうか」というのは、それはそれで、厳しい世界であることも想像に難くない。「親しいけれど遠い」…ぼくの仏教に対する感じ方は、大師の本との出会いで、そんな風に変化したように思う。それはどちらかというと、厳しさのハードルの高さが、よりリアルにわかったという感じだ。


今のわたしにとって、本質をちゃんと伝える・ちゃんと伝わるというのは、本質に接する怖さも、ちゃんと伝える・ちゃんと伝わるということ。こうして振り返ってみると、上司に叱られていたときとは、全く違う観点に自分が立っている気がする。その意味では、「ちゃんと伝える」ことに対するハードルは上がっているのだろう。仏教の本質を伝えようとした、大師のレベルには到底及ばないが、足のつま先ぐらいまでならいけるかもしれない。


肝心の中身はこれから考えることだが…さて何にしよう???

(ひろゆき)


※1:「微笑みを生きる」 ISBN13:978-4393333082
※2:「禅への鍵」 ISBN13:978-4393333075
※3:正確には臨済宗のお坊さん
※4:ハン大師のマインドフルネスはサマタ瞑想である。大師のやり方に倣うなら、マインドフルネスを指導する方においては、ご自身がサマタ瞑想の体験をすることが大事であると言えるだろう。ちゃんとしたサマタ瞑想を体験したい方に、和氣ひろゆきがお勧めするのは、タントライフジャパンによるタントラのワークショップへの参加である。もし日程が合うのなら体験してみてほしい。→ https://www.tantralife.jp


【今月のトピックス】

●和氣より子が、note(※)を更新しました！

よーりーが20代・30代のときに体験した「あいだ（関係）」の話イロイロをお届けします。

今回は「『わたしの変化』と『夫のキャリア』とのあいだがら」をテーマにしています。気軽に楽しんでもらえたらうれしいです！

※↓4回目↓のnote記事のURL
→ https://note.com/yoriko_waki/n/n6270d2282acb

※↓3回目↓のnote記事のURL
→ https://note.com/yoriko_waki/n/nd97c254907df

※↓2回目↓のnote記事のURL
→ https://note.com/yoriko_waki/n/n8c3a49f4a7e8

※↓1回目↓のnote記事のURL
→ https://note.com/yoriko_waki/n/n0201e5b843a2


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