【OCHI企画】増刷の「カラクリ」
OCHI企画 出版マイスター・越智秀樹です。
今日は、
みんな大好き!「増刷」について、お話します。
出版関係者なら誰でも聞くだけでうれしくなる言葉
「増刷(=重版)」
よく
「発売前重版になりました!!」
「発売後10日で増刷が決定しました!!」
という華々しい文言をSNSや新聞広告で見かけますよね。
しかし、ひと口に「増刷」と言っても、様々な「増刷」があるってご存じでしたか。
――――――――
そもそも「増刷」とは、書籍が初版または前回の印刷分を完売、
またはそれに近い状態となった際に、
同じ版のまま追加で印刷・発行することを指します。
つまり、「本がよく売れて、追加で印刷すること」です。
では、増刷がかかった本はすべて売れているのか?
というと、必ずしもそうでないことがあるのです。
――――――――
例えば、ある本の初版が3000部だったとします。
※初版…最初に刷った部数のこと
発売後すぐ、著者さんが大きなセミナーを開催することになり、
緊急で1000部使用することが決定しました。
(そんな大掛かりなセミナーがすぐ決定するのか?
というツッコミが入りそうですが笑)
ところが、出版社には1000部も在庫はありません。
初版の8割~9割は書店に配本してしまっているからです。
※出版社の手元在庫は初版の1~2割程度。初版3000部なら在庫は300~600部
書店に納品したばかりの本ですから、
出版社の都合ですぐに返品してくれとはいえません。
そこで増刷1000部をかけて対応する、
ということになります。
この場合書店で売れている、売れていないにかかわらず
「発売後10日で増刷決定!!」
となるわけです。
――――――――
増刷に絡めて、もうひとつ重要なポイントをお伝えしましょう。
初版部数は、「本によって大きく異なる」という事実です。
これは、
初版部数次第で増刷のハードルが「大きく変わる」ことを意味しています。
具体的に見ていきますね。
例えば、Aという本の初版が3000部だったとします。
増刷は、初版の8割以上が売れて、かつ追加で売れ行きが見込める場合に
検討となりますから、Aは「2400部以上売れること」が増刷の目安となります。
一方、初版5000部のBという本があったとします。
8割を増刷の目安とすると、Bの場合「4000部以上売れること」が
増刷の目安となります。
いかがでしょう。
増刷検討の時点で、すでに1600部もの開きがありますね。
ここでもう一つ着目してほしいことがあります。
仮にAは1000部増刷がかかったとして、
A=2刷 累計4000部
B=初版 5000部
となり、Aは増刷がかかっても
Bの初版部数5000部より少ないのです。
――――――――
僕はここで増刷の質や中身について、
議論したいわけではありません。
「増刷がかかった、かからない」
で悩む著者や編集者はあまりにも多い。
だから、
「気にし過ぎてはいけない」
ということをお伝えしたいのです。
「増刷をかけたい! 増刷がかかってほしい!!」
という気持ちは、著者ならばみんな思うことです。
増刷になれば、編集者のみならず、営業さん、デザイナーさん、DTPさん、書店さん…みんなが喜んでくれます。
関わった人みんな、ハッピーになるから増刷がかかってほしい。
その気持ち、痛いほどわかります。
編集者も同じです。
しかし、増刷の有無だけで一喜一憂しないでください。
出版もビジネスです。
ビジネスですから、
精一杯がんばっても、どんなにがんばっても
時宜を得ず、刀折れ矢尽きることもあります。
特にビジネス書の場合、「純粋に売れて」増刷がかかる本は
全体の1~2割だと言われています。
そうした狭き門の中で、
やってもやっても報われないということは、やっぱりあります。
でも、諦めないでほしい。
一度「著者になる」と志を立てたのなら、「ベストセラーを出す」と決めたのなら、
1冊、2冊、増刷がかからなかったといって諦めてはいけない。
半年後、1年後、ふとしたきっかけで売れ始めた本を僕は何冊も知っています。
あるいは、あるミリオンセラー作家さんの場合、
ミリオンセラーが出るまでに25冊以上の本を出していましたが
そのほとんどが増刷はかかっていなかったそうです。
そこからミリオンセラーが生まれるのですから、
著者人生、何が起こるかわかりません。
ですから、目の前の増刷に一喜一憂せず、
自分の、自分だけの出版道を歩んでくださいね。
心から応援しています!
OCHI企画では、
「自分の出版道を歩むあなた」
を応援していきます!
――――――――
OCHI企画
越智秀樹
https://ochikikaku.com/
――――――――
メールアドレスの変更はこちら
変更専用ページURL
配信停止はこちら
解除専用ページURL
記事一覧
こんにちは! 「たった1行で世界は変わる」 出版マイスターの越智秀樹です。 「名刺代わりに本を出したいんです!」 ——こう言ってくる人のことを、以前の私は正直、少し苦手に感じていました。 な
2025年06月06日
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 出版寄り添いコーチ・田谷裕章です。 前回につづき、 映画『舟を編む』をもとに書いていきます。 テーマは「言葉の採集」。 皆さんはベ
2025年05月30日
こんにちは。 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 人気女性著者養成コーチの 小関珠緒(こせきたまお)です。 「出版、ずっと気になっているんです」 「いずれ本を出せたらいいなって思ってはいる
2025年05月23日
【OCHI企画】「本に書いちゃったら講座が売れなくなる」は大きな誤解です。
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 出版マイスター・越智秀樹です。 出版のご相談を受けていると、ときどきこんな声を聞きます。 「講座で教えていることを本に書いたら、本を読
2025年05月16日
「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 出版寄り添いコーチ・田谷裕章です。 今回のテーマは「言語化」です。 編集の仕事をしていると、 見出しはもちろん、 オビコピーに書籍タイトルと、 「言
2025年05月09日
【OCHI企画】 AIでは書けない。“あなたの物語”こそが読者を動かす
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 人気女性著者養成コーチ・小関珠緒(こせきたまお)です。 人の役に立つ本って、どんな本でしょう? 知識や最新のハウツーが豊富な本?
2025年05月02日
【OCHI企画】「たくさん書けば伝わる」はウソです。大事なのは“ひと言”でした。
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 出版マイスター・越智秀樹です。 突然ですが、質問です。 「太る原因は何ですか?」と聞かれたら、あなたはなんと答えますか? 多くの人は
2025年04月25日
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 出版寄り添いコーチの田谷裕章です。 「いつか本を出したい」 そんな思いを心に温めているあなたに、今日はちょっとだけ“中身の話"を。 といっても、難
2025年04月18日
【OCHI企画】ベストセラー著者とは「できなかった頃」を思い出せる人
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 人気女性著者養成コーチ・小関珠緒(こせきたまお)です。 自分が「できなかった頃」のことを 思い出すこと……。 これは、企画を考える
2025年04月11日
こんにちは! OCHI企画 出版マイスター・越智秀樹です。 今日は、 みんな大好き!「増刷」について、お話します。 出版関係者なら誰でも聞くだけでうれしくなる言葉 「増刷(=重版)」 よく
2025年04月04日
【OCHI企画】「好き」を言語化すると、なぜ出版できるのか?
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 出版寄り添いコーチ・田谷裕章です。 ===================== 「出版寄り添いコーチ」田谷裕章の出版実現コンサルティン
2025年03月28日
【OCHI企画】なぜB級映画を見ると、自分書きたいテーマが見つかるのか?
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 人気女性著者養成コーチ・小関珠緒(こせきたまお)です。 OCHI企画「静かな人のための出版塾」は 越智さんの講義が4回もあるスペシャル
2025年03月21日
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 出版マイスター・越智秀樹です。 先日のOCHI企画「静かな人のための出版塾」 第2回講義では、 ・プロフィールには2つの顔がある ・読者の心を揺さぶる
2025年03月14日
【田谷コーチ】「強み」を発見するのに効果的な「無人島イメトレ」
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 出版寄り添いコーチ・田谷裕章です。 ===================== 「出版寄り添いコーチ」田谷裕章の出版実現コンサルティン
2025年03月07日
【OCHI企画】自分の「強み」を発見して出版企画書に活かす方法②
こんにちは! 「たった一行で世界は変わる!」 OCHI企画 人気女性著者養成コーチ・小関珠緒(こせきたまお)です。 先日、 OCHI企画「静かな人のための出版塾」第一期の 今度は、グループコンサ
2025年02月28日