【Tear’s Letter】性的虐待1,731件が取り上げられないのはなぜか｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】性的虐待1,731件が取り上げられないのはなぜか

2019年08月04日

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★　Tear’s Letter
★　性的虐待1,731件が取り上げられないのはなぜか
★　2019年8月4日　No.421
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

現代アートの祭典「あいちトリエンナーレ2019」で開催されていた
企画展「表現の不自由展・その後」が、中止されることが明らかに
なりました。慰安婦を表現した少女像をはじめ、各地の美術館から
撤去される等した作品を展示していましたが、抗議や脅迫があり、
来場者の安全面を考慮しての判断となりました。
絵画や彫刻、そして音楽や写真などを含めた芸術作品は、時に
不当な立場に置かれた人々の声を代弁したり、不利益な状況を
象徴するものとして、受け継がれてきました。それが、差別をする
側や、マジョリティの都合によって、抑圧されることは、非常に
悲しいことです。SNS上では #あいちトリエンナーレを支持します
という、支援を呼びかける動きも広がっています。今後の行方を
見守っていきたいです。

↓詳細はBuzzFeedNews『「表現の不自由展」が中止に。平和資料
館長「お金をもらったら言われた通りの表現しかダメなのか」』を
ご覧ください
https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/aichi-shoujyozo-2

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.421 Topics】
┃★１．性的虐待1,731件が取り上げられないのはなぜか
┃★２．編集後記
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★１．性的虐待1,731件が取り上げられないのはなぜか
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厚生労働省は2018年度に児童相談所に相談のあった虐待件数を公開
しました（※1）。速報値では、親等による性的虐待は1,731件と、
これまでで最も多くなりました。これは、2018年に警察に届け出の
あった強制性交等罪1,307件を上回るものです（※2）。
これだけ多くの子どもが、家族など最も身近な人から性暴力を経験
しているにもかかわらず、他の虐待に比べ、性的虐待が
取り上げられる機会は、少ないのではないでしょうか。
その理由を3つの視点から考えてみました。

☆１）他の虐待よりは、表面化している件数が少ない

2018年の虐待の総数は159,850件。このうち心理的虐待が
88,389件と、全体の55.3％を占めています。一方で性的虐待の
割合は1.1％。このため性的虐待は他の虐待と比べ「めったに
起こらない特殊な虐待」として、扱われがちです。
しかし性的虐待は、身体的虐待における「身体に傷が残る」、
ネグレクト（放置）における「虫歯が多い」、心理的虐待における
「自傷」等といった、目に見えてわかる虐待の兆候が、ほとんど
ありません。このため、発見しづらく、その多くが潜在化しがちで
あることを、踏まえる必要があります。

☆２）生命の死に至ることは、少ない

身体的虐待やネグレクトによる死亡等、他の虐待は、死に至る事件
が相次いで起きており、先の国会では、親権者による体罰禁止を
明記した、「児童虐待防止法」ならびに「児童福祉法」の改正案が
可決成立しました。一方性的虐待は、それだけで生命の死に至る
可能性は、わずかです。このため性的虐待は他の虐待に比べ、
「軽い」と受け止められることがあります（「命が助かったなら
よかった」等）。
しかし、性的虐待による妊娠出産中絶、もしくは成人後の妊娠出産
が困難になる、といった身体的影響は一生続くものであり、また
虐待は他の犯罪以上に、精神の健康を悪化させることも、明らかに
されています（※3）。
「死ななければそれでよい」ではなく、「生き残るからこその苦難」
に目を向ける必要があります。

☆３）「ファンタジー」として描かれるシチュエーション

親子による性行為は「近親（相）姦」とも呼ばれ、AVや
ポルノにおいては、「本来あってはならないからこその、
魅惑的な出来事」として描かれることがあります。
「親が子どもに性行為を教える」「子どもからの誘惑に親が
屈する」といったストーリーは、それを制作する大人たちが、
子どもを「人格のある存在」ではなく「性的欲求のはけ口」と
位置づけ、自分たちの都合だけで取り扱っているものです。
一方で、親が子どもを性的対象とすることへの嫌悪感は、
性的虐待に関する情報の「拒絶」にもつながっています。
「子どもは親の言うことを聞かなければ、生命の存在が
脅かされる」立場にあることが認識され、性的虐待を経験した
子どもたちが、その後の人生でどれだけ多くの困難を抱えて
この社会を生きねばならないのかが、深く理解される必要が
あります。

性的虐待は「子ども」そして「性」という、一見相反する事柄が
つながることにより、様々なバイアスがかかり、本質が一層
見えづらくなる傾向があります。性的虐待を経験した子どもが
適切なケアを受けられるために、そして、そもそも性的虐待を
はじめとする虐待が起こらないために、大人にできることは、
まだまだあるのではないでしょうか。

※1 厚生労働省
『平成30年度児童相談所での児童虐待相談対応件数＜速報値＞』
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000533886.pdf
※２警察庁『平成30年１～12月犯罪統計』
http://bit.ly/2KssrE7
※3 警察庁『平成29年度犯罪被害類型別調査調査結果報告書』
http://bit.ly/2RU8oEi

★２．編集後記
───────────────────────

梅雨の期間が例年より長かったことに加え、梅雨明け早々真夏日が
続いたこともあり、熱中症に関する報道を、たびたび目にします。
皆様どうぞお気を付けください。
来週は山の日で連休、ということで「Tear’s Letter」はお休みです。
次回配信は8/18です。豊かな自然を満喫しましょう！

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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