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【しあわせなみだ】Tear's Letter

【Tear’s Letter】写真を送らなくても被害に遭う時代

2026年09月06日

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★ Tear’s Letter

★ 2026年9月6日 No.651

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┃【Tear’s Letter No.651 Topics】

┃★1. Tear’s NEWS

┃★2. Tear’s ZOOM UP
┃  「写真を送らなくても被害に遭う時代
┃   ~生成AIで変わる「デジタル性暴力」を考える~」

┃★3. 編集後記

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★1.Tear’s NEWS

■性被害を訴えた女性検事が検察庁を退職
「検事の仕事は天職だと思っていた」
大阪地検の元検事正から性被害を受けたと訴えている
元女性検事が、8月末で検察庁を退職したことを
9月1日に公表しました。

女性は「検事の仕事が大好きで天職だと思っていた」と語る一方、
事件やその後の組織の対応によって
長期間傷つけられてきたとしています。
ハラスメントなど検察組織の構造的な問題を明らかにするため、
第三者委員会の設置も求めています。
被害を訴えた後も、被害者が安心して
働き続けることのできる組織のあり方が問われています。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2913320?display=1

■「こども性暴力防止法」
施行ガイドラインを改訂
こども家庭庁は9月2日、
「こども性暴力防止法」の施行ガイドラインを改訂しました。
あわせて、児童対象性暴力等への対処規程や
募集要項・求人票、情報管理規程など、
事業者が法律に対応するためのひな型や参考資料も
更新されています。

同法は2026年12月25日に施行予定です。
子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴確認だけではなく、
性暴力の疑いが生じた際の対応や
被害を受けた子どもへの支援なども含め、
教育・保育の現場で具体的な準備が進められています。

https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

■25年前に勤務校の女子生徒と性行為
都立高校教諭を懲戒免職
東京都教育委員会は9月2日、
過去に勤務していた高校の女子生徒と性行為をしたとして、
53歳の男性主任教諭を懲戒免職処分としました。
都教育委員会によると、行為があったのは
2001年11月ごろから2004年3月ごろまで、
20年以上が経過した後、当時の生徒側から申し出があり、
調査によって明らかになりました。

性暴力や性的な被害について、
すぐに話すことができる人ばかりではありません。
長い時間が経過してからの申し出を
組織や社会がどのように受け止めるのかを
考えさせられる事案です。

https://mainichi.jp/articles/20260902/k00/00m/310/188000c

★2.Tear’s ZOOM UP

写真を送らなくても被害に遭う時代
~生成AIで変わる「デジタル性暴力」を考える~
生成AIの普及によって、
性暴力のかたちも変わりつつあります。

その一つが「性的ディープフェイク」です。
ディープフェイクとは、AIなどの技術を使って、
本物のように見える偽の画像や動画をつくることです。
性的ディープフェイクでは、
SNSに投稿された顔写真や学校の写真などをもとに
本人が裸になっているような画像や
性的な行為をしているように見える画像・動画が
本人の同意なくつくられます。
つまり、本人が性的な写真を撮ったことも
誰かに送ったこともなくても
被害に遭う可能性があります。

チャイルド・ファンド・ジャパンと追手門学院大学が
2026年5月、全国の16~24歳2,060人を対象に行った調査では、
3.7%が「自分の性的ディープフェイクを
作成された経験がある」と回答しました。
また、オンライン上で知り合った人から
性的な画像や動画の共有を求められた経験がある若者は12.6%
そのうち70.5%は、誰にも相談していませんでした。

ここで、
「偽物の画像なら、被害もそれほど大きくない」と
考えてしまうのは危険です。

性的ディープフェイクは、
実際に撮影された裸の画像ではありません。
しかし、画像が偽物であることと、
被害が偽物であることは別です。
自分の顔や姿を使った性的な画像を勝手につくられ、
友人や学校、職場の人に見られるかもしれない。
誰が保存したのか、
どこまで拡散したのかも分からない。
その恐怖や羞恥、
人間関係や日常生活への影響は現実のものです。

一方で、加害する側や画像を共有する側には、
「本当に裸を撮ったわけではない」
「AIでつくっただけ」
「冗談や遊びだった」と
行為の深刻さを小さく捉えてしまうことが
あるかもしれません。
周囲も「偽物なんだから気にしなければいい」と受け止めれば、
被害はさらに見えにくくなります。

だからこそ必要なのは、
被害を受ける側に「気をつけて」と求めるだけの予防ではありません。
これまでオンライン上の性被害については、
「性的な写真を撮らない」
「知らない人に送らない」
「SNSに載せる写真に注意する」といった
自己防衛が多く語られてきました。
もちろん、それらが役立つ場面はあります。
しかし、普通の顔写真さえ
性的な画像をつくる材料になり得るのであれば、
被害を受ける側の注意だけで
防ぐことには限界があります。

必要なのは、
「つくらない」
「共有しない」
「面白半分で広げない」という
加害防止の教育です。

そして、なぜ偽物の画像であっても
人の尊厳を傷つけるのかを理解することです。
同じ調査では、
性的暴力防止教育の実施率は45.3%で、
交通安全の96.2%、災害安全の95.6%と比べて
低いことも指摘されています。
AIの操作方法や危険性を教えるだけでは
十分ではありません。

同意やプライバシー、
他者の身体や性的なイメージを
勝手に利用しないことまで含めて、
デジタル社会の中で学ぶ必要があります。
そして、もう一つ見過ごせないのが
「相談できない」という問題です。
性的な画像や動画の共有を求められた若者のうち、
誰にも相談しなかった人は70.5%。
理由には、
「大ごとにしたくなかった」
「時間が経てば解決すると思った」
「心理的ハードルがあった」などが挙げられています。
技術は新しくなっても、
被害を一人で抱え込み、
声を上げにくいという性暴力をめぐる課題は残っています。
「被害に遭わないように気をつけよう」から、
「誰かを性的な対象として勝手につくり変えない、
共有しない社会をどうつくるか」へ。
生成AIによって性暴力の手段が変わる今、
更新しなければならないのは、
被害を受ける側の自己防衛だけではありません。

教育も、相談体制も、
そして私たち一人ひとりの
「何を性暴力として捉えるのか」という認識も
変えていく必要があるのではないでしょうか。

調査詳細:
特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン
https://www.childfund.or.jp/blog/20260827survey

★3.編集後記
最近、高校生団体「HANA」さんの活動を知りました。
帰国子女の高校生が中心となり、日本国内における
性暴力への意識向上を目指して活動している団体です。
興味を持ったのが、性暴力の被害を匿名で報告し、
地図上で確認できる仕組みです。
初めて見たとき、仕組みとしては「大島てる」の事故物件マップを思い出しました。
地図を見ることで、「どこか遠くの出来事」ではなく、
自分たちが暮らしている場所の中で起きていることとして可視化される。
この発想に、とても興味をひかれました。

海外にある仕組みをそのまま持ってくるのではなく、
「日本では何ができるだろう」と考え、自分たちで形にしていく。
しかも、それを高校生自身が実践していることに、大きな可能性を感じます。
性暴力をなくすための方法は一つではありません。
支援する、伝える、教育する、そして、見えなかったものを可視化する。
こうした新しい発想にも、これから注目していきたいと思います。

HANA Website
https://tinyurl.com/ycyw8wfp

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「Tear’s Letter」は毎月第一・第三日曜配信です。
次号をお楽しみに!

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