【Tear’s Letter】障害児・者を含む全ての人に包括的性教育を！｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】障害児・者を含む全ての人に包括的性教育を！

2020年04月05日

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★　Tear’s Letter
★　障害児・者を含む全ての人に包括的性教育を！
★　2020年4月5日　No.445
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

しあわせなみだも参加した、法務省「性犯罪に関する施策検討に
向けた実態調査ワーキンググループ」のとりまとめが公開
されました。
↓結果はこちらです
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi00400006.html

被害者の障がいの状況についても、分析が行われています。

☆平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間に
第一審判決が言い渡された性犯罪事件180件のうち，
被害者が障害を有する事件は８件（4.4％）。
☆平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間に
各地方検察庁において不起訴処分がなされた性犯罪事件のうち，
裁定主文が「嫌疑不十分」又は「嫌疑なし」であるもの548件の
うち、被害者が何らかの障害を有していたことが判明している
ものは60件（10.9％）。

日本では、国民のおよそ7.4％が何らかの障害を有している（※１）
とされています。第一審判決が言い渡された（裁判に至った）事件
における被害者の障がいの割合は低く、不起訴（裁判に至らない）
事件における被害者の障がいの割合が高い、という事実は、
極めて重要です。

障がい特性に応じた対応、そして「障がいに乗じた性犯罪」創設の
必要性を、数値的な根拠をもって、ともに伝えていきましょう。

※1 内閣府『平成30年版障害者白書』「障害者の状況」
http://bit.ly/2sxP9p3

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.445Topics】
┃★１．障害児・者を含む全ての人に包括的性教育を！
┃★２．編集後記
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★１．障害児・者を含む全ての人に包括的性教育を！
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新年度。子どもたちは、進学、進級の時期を迎えました。
障がいのある子どもたちも、それぞれが新たな一歩を
踏み出しています。そこで今回のメールニュースでは、
特別支援学校の教諭として、障がいのある子どもに関わってきた
門下祐子さんに、包括的性教育について、ご寄稿いただきました。
ぜひご覧ください。

＊＊＊

私は特別支援学校教諭として11年間勤務し、知的障害や自閉
スペクトラム症、肢体不自由のある児童生徒らと深く関わって
きました。所属校には、全国的にも稀有な組織である「性教育
推進委員会」があり、推進委員長を6年間務めるなど、児童生徒に
必要な性教育の在り方についても模索しました。

学校現場では、性被害・加害防止の観点から、他者と腕一本分の
「距離」をとる指導法が推進されつつあります。障害のある子ども
たちの中には、パーソナルスペースがわかりづらく、つい他者に
顔や身体を近づけるといったこともあるので、効果的な指導との
見方がされているからです。

その一方で、プライベートゾーン（水着で隠れるところと口）の
学習や対等なジェンダー観などを学ぶ「包括的性教育」を受ける
機会は非常に乏しいのが現状です。さらには、自分の身体を
大切にし、他者とふれあうことの心地良さを知る、「ふれあいの
快体験」は重視されていません。

残念ながら、障害があることでいつまでも子ども扱いをされたり、
「寝た子を起こすな」、「恋愛は就労の妨げになる」といった
考えのもと、交際禁止や抑制的な指導も見られます。

果たして、彼らは性について学ぶ権利を保障されていると
言えるのでしょうか。

障害児・者の性については、現代の日本社会において未だ
タブー視が強く、特に成人期の知的障害者の性的行動や支援に
ついての実態が明らかにされていません。そこで、教員の職を
休職し進学した修士課程では、「就労移行支援事業所および就労
継続支援A型・B型事業所における知的障害者の性的行動と支援に
関する研究」を行い、全国の事業所職員167名の回答を分析
しました。（結果は学会誌に投稿予定なので、掲載され次第、
個人のホームページにてお知らせします。）

この４月から博士課程に進学し、各現場での調査研究に取り組む
予定です。読者の皆様に調査を依頼することもあるかと思いますが、
その際はご協力いただけますと幸いです。

誰もが包括的性教育を受けることができるよう、全国の仲間と連帯
していきたいと思います。

プロフィール
門下祐子（かどしたゆうこ）　
ホームページ　https://ykadoshita.wixsite.com/website
東洋大学福祉社会開発研究センター客員研究員。早稲田大学大学院
教育学研究科修士課程修了（教育学）。2020年３月に特別支援学校
教諭を退職し、4月から筑波大学人間総合科学学術院博士後期課程に
進学。研究活動と並行し、首都圏を中心に知的障害や発達障害のある
人の性教育および支援に関する講演活動を多数行っている。

★２．編集後記
───────────────────────

新型コロナウイルスが、生活の様々な場面に影響を及ぼしています。
先週の「Tear’s Letter」（※2）でも取り上げましたが、感染症
などの社会不安が、暴力を深刻化させる可能性が、指摘されています。

国連は、新型コロナウイルスに伴う外出制限による家庭内暴力を
警告する声明を発表しました（※3）。
日本政府は3/28「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」
を取りまとめ、「人権等への配慮」として、対策は「女性や障害者
などに与える影響を十分配慮して実施する」旨が記載されました
（※4）。橋本女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣（男女共同
参画）からは、各種対策の実施にあたり、女性が更に困難な状況に
置かれることがないよう配慮を求める発言がありました（※5）。

暴力は私たち一人ひとりが止めることができます。こうした
時だからこそ、自分の周りにいてくれる人を大切に、日々を
過ごしていきたいですね。

※2 NPO法人しあわせなみだ『Tear’s Letter』
「社会不安と家族の関係～菊池悦子のSmile Tear～」
https://mail.os7.biz/b/8nJq/1216599
※3 CNN
「新型コロナ対策で外出制限、家庭内暴力の増加を懸念　国連」
https://www.cnn.co.jp/world/35151527.html
※4厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000614803.pdf
※5 内閣府男女共同参画局
『「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」について』
https://bit.ly/2X8TxIh

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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