【Tear’s Letter】障がい児者関連組織における性暴力の背景｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】障がい児者関連組織における性暴力の背景

2021年05月09日

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★　Tear’s Letter
★　障がい児者関連組織における性暴力の背景
★　2021年5月9日　No.490
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

5/7付「西日本新聞」に、理事長中野のコメントが掲載されました。

障がいのある子どもたちが放課後を過ごす「放課後等デイサービス」
に通っていた子どもに、みだらな行為をしたとして、元事業所運営
会社役員が、児童福祉法違反等の疑いで、書類送検されました。
この事件を受け、障害サービスへの参入事業者の質の担保が
求められることを、お話しています。ぜひご覧ください。

【「ばれたら会えなくなる」口止め…「絶対に許せない」憤る母】
記事はこちらです↓
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/734619/

なおこの事件は、刑法性犯罪での立件が難しく、児童福祉法での
対応となりました。しあわせなみだでは、障がいを知りうる立場に
乗じた性暴力が、適切に処罰されることを求めるオンライン署名を
実施しています。ぜひご賛同ください！

↓署名賛同はこちら
https://bit.ly/3pNNq7A

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.490 Topics】
┃★１．障がい児者関連組織における性暴力の背景
┃★２．編集後記
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★１．障がい児者関連組織における性暴力の背景
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障がい等の困難を抱える方への情報提供等を手掛けるNPO法人の
理事が、知人等への性加害により、解任されました（※1）。昨年は、
障がい者施設や障がい者アート等を手がける社会福祉法人の理事長
から性暴力に遭ったとして、元職員が訴訟を起こしています（※2）。
2法人とも、障がい児者分野で先駆的な活動を展開し、注目されて
いました。なぜこうした組織で、性暴力が起こるのでしょうか。
3つの視点から考えます。

☆１）不正行為が起こらないイメージが強い

「障がい児者分野」と聞くと、「いい人」「優しい人」「悪い
こととは無縁」といったイメージを持つ人が、少なくありません。
このため、性暴力等の不正が起きても「まさかあの人がそんな
ことをするはずがない」という加害者の擁護だけでなく、
「どうしてイメージダウンにつながるようなことをするのか」
「仕事で評価されなかったひがみやねがみでは」といった、
被害者を責める声が起こりがちです。
しかし性暴力は「上下関係に基づく性的支配」であり、上下の
人間関係が存在すれば、発生するリスクがあります。障がい児者
分野であっても、性暴力が起こるリスク、潜在化するリスクを
認識する必要があります。

☆２）組織の運営体制が未成熟の段階にある

障がい児者分野を運営する組織は「社会福祉法人」や「NPO法人
（特定非営利活動法人）」等、いわゆる「株式会社」とは異なる
運営体制を選択していることが多いです。
社会福祉法人は、社会福祉に関する事業を担う非営利組織です。
入所型の社会福祉施設（障害者支援施設、特別養護老人ホーム、
児童養護施設等）は、社会福祉法人もしくは自治体のみが運営を
認められており、長い歴史を持つ組織も少なくありません。
このため、親族や地元の名士が役職を独占することによる、組織
体制の不透明さが指摘されたり、税制の優遇により、経営目線の
改善が遅れがちであることが、課題となっています。性暴力等の
不正が起きた時にも、「被害者への対応」よりも「地域における
法人のイメージダウン」を恐れ、組織内での対応にとどめる
傾向が、指摘されています。
一方NPO法人は、1998年に法が施行された、歴史の浅い組織
形態です。社会福祉法人同様非営利組織であり、市民活動を母体と
していることから、「ボランティア」の色彩が強い傾向にあります。
このため「雇用」という視点からの労働環境の整備は、未成熟の
段階にあります。スタッフによる、性暴力等の不正への対応は、
今後組織が発展していく上で、重要な課題です。

☆３）「カリスマ」と表裏一体にある「独裁主義」

組織の創設者や運営責任者は、「先駆者」「第一人者」として、
周囲から一目置かれる傾向にあります。それに加え、障がい児者を
含めた福祉分野には、資本主義社会の中で「利益や効率が最優先
ではない」という視点が加わり、一層「カリスマ」扱いされる傾向
が見られます。今回事件が起きた2法人の加害者も、優れた
社会起業家として、注目されていました。
唯一無二の発想や言動は、相応の評価を受けるべきですが、
「カリスマ」は、周囲が物を言いづらくなる「独裁主義」と
表裏一体にあります。経営者の悪事が見逃されたり、責任を免れる
組織環境は、大企業でも珍しくありません。カリスマだからこその、
性暴力等の不正が起こりやすいリスク、潜在化しやすいリスクを、
自覚しておく必要があります。

障がいのある人が安全安心な日々を過ごすことができるよう、
まずサービスを提供する組織が、暴力の起こらない体制整備を
進めていくことが、重要ではないでしょうか。

※１特定非営利活動法人soar「理事解任のお知らせ」
https://soar-world.com/20210329info/
※2 2020年11月16日付『朝日新聞』[理事長から
「10年以上、性被害受けた」元職員ら提訴]
https://bit.ly/3f3gPH1

★２．編集後記
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今日5/9は母の日ですね。素直に母に感謝できる人もいる一方で、
母に対する複雑な思いを抱える人、母を知らずに育った人もいます。
「自分を（中絶するのではなく）産む選択をした」人がいることを、
一生のどこかで、少しでも肯定できる瞬間が訪れるよう、
社会の底支えと周囲の関わりが、より一層あたたかいものになると
いいなと思います。

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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