【Tear’s Letter】裁判員裁判における性犯罪事件｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】裁判員裁判における性犯罪事件

2022年06月05日

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★　Tear’s Letter
★　裁判員裁判における性犯罪事件
★　2022年6月5日　No.537
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

本日6/5、理事長中野が大正大学社会福祉学会に登壇しています。
14:30から、2部第2実践部会で、「福祉の視点で社会を変える
取り組み」についてお話します。参加費無料です。
ぜひご参加ください。

[詳細はこちらです]
http://www.ohdai-sw.com/46kaitaikai.pdf
[参加方法]
zoomでご参加ください
Zoom ID: 872 2965 5336 パスコード: 687788

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.537 Topics】
┃★１．裁判員裁判における性犯罪裁判
┃★２．編集後記
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★１．裁判員裁判における性犯罪事件
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強制性交致傷罪が問われた裁判員裁判で、5/13、富山地裁は、
男性に無罪を言い渡しました。被害者側は控訴し、支援者による
ネットワークが立ち上がりました。

↓詳細は5/30付『チューリップテレビ』[“あいまいで信用
できない？”性犯罪被害者の心理とは…無罪判決で考える
「一般感覚」と「時代錯誤」]をご覧ください
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tut/58048?display=1

そこで今回のメールニュースでは、裁判員裁判における
性犯罪事件について、解説します。

☆１）裁判員裁判の対象となる性犯罪裁判とは

「裁判員裁判」とは、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、
有罪か無罪か、また有罪の場合、どのような刑にするのかを、
裁判官と一緒に決める制度です（※1）。
すべての事件で裁判員裁判が実施されるわけではありません。
性犯罪については「致傷（傷を負わせる）」や「強盗（財物を
奪う）」の有無が問われる場合、対象となります。2021年は
（準）強制わいせつ致死傷が69件、（準）強制性交等致死傷が
47件、強盗・強制性交等が23件、対象となりました（※2）。

☆２）裁判員裁判における量刑

裁判員のみで判断していた「裁判官裁判」と、裁判員が加わった
「裁判員裁判」では、「裁判員裁判」のほうが、量刑が重くなる
傾向があります。性犯罪裁判についても同様で、裁判官裁判では、
懲役5年以下、執行猶予付きの判決が多かったものが、
裁判員裁判では、懲役7年以下、執行猶予が付かない判決が
多くなっています（※3）。

☆３）裁判員裁判における課題

そもそも性犯罪は、「誰にも知られたくない」という思いから、
訴えることが困難であり、無理やり性交等をされた被害経験を
警察に相談した人は、5.6％にとどまっています（※4）。
通常の裁判でも、被告や被告側の弁護士、加えて裁判の傍聴者に、
被害者が特定されるリスクが、指摘されてきました。裁判員裁判
では、その対象が、一般市民である裁判員まで、拡大します。
裁判員裁判施行から3か月後に起訴された、強制わいせつ致傷事件
では、裁判員の中に知り合いがいないかを、被害者が確認する等の
配慮が行われた一方で、裁判員には、被害者の氏名が記載された
起訴状が、閲覧されています（※5）。
また性犯罪裁判は、男性の裁判員の割合が、他の裁判より約10％
高くなっており、背景には、被告側の弁護人が、女性の裁判員を
避けている可能性が、指摘されています（※6）。

2009年から今年3月までに（準）強姦致死傷（※7）が問われ、
判決が出た裁判員裁判729件のうち、無罪は1件です（※2）。
今回の無罪判決が、極めて異例であることがわかります。

被害者が安全に、安心して性犯罪裁判ができる体制を整備すると
ともに、「司法に対する市民の理解促進」や「市民の常識を司法へ」
といった、裁判員からの視点だけでなく、「被害者」そして「被告」
という視点からの、裁判員裁判の検討が、望まれます。

※1 最高裁判所「裁判員制度」
https://www.saibanin.courts.go.jp/index.html
※2 最高裁判所「裁判員裁判の実施状況について（制度施行
～令和４年３月末・速報）」
https://tinyurl.com/4amkaaa2
※3 2019年版『弁護士白書』「第1章総論（裁判員裁判制度
10周年を迎えて）」
https://tinyurl.com/2j3y2u4z
※4 「無理やりに性交等をされた被害経験」内閣府
『男女間における暴力に関する調査（令和2年度調査）』
https://tinyurl.com/4st38zpw
※5 西田穣「弁護人からの報告 2 強制わいせつ致傷」
『LIBRA』2010年5月 Vol.10 No.5
https://tinyurl.com/azr2tksz
※6 平山真理「裁判員裁判と性犯罪」『立命館法学』
2009年 5・6号（327・328号)
https://tinyurl.com/5bdrvmm9
※7 2017年6月の刑法性犯罪改正で、強姦は強制性交等に
見直されました。このため罪名が異なっています。

★２．編集後記
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理事長中野が、神奈川県警で「障がい児者に対する性犯罪」を
テーマに講義をいたしました。対象は神奈川県内で性犯罪捜査に
携わる警察官です。

以下の内容をお話しました。

☆障がいとは
☆「障がいがある」ことによる犯罪被害
☆段取り８分仕事２分

今後もこうした機会を増やし、現場の声を届けてまいります。
応援よろしくお願いいたします。

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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