「あいだの力学」の月刊メールマガジンです。 毎月11日に発行されます。

　　　　　「あいだの力学」の気になる間の話
　　　　　　----------------------------　　2021/8/11

皆さま、こんにちは！

猛暑の中で行われた東京オリンピックが閉幕。パラリンピックの開幕
まで2週間となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

…とはいえ、新型コロナウイルスが爆発的な感染拡大の様相を呈して
きている状況に、不安半分でなんだか落ち着かない感じがします。

自粛の夏休みも2年目。そろそろガマンも限界なので、県内の温泉宿に
泊まろうかしらん???

------------------------------------------------------------

【今月の気になる間の話】

●「沖縄戦」と「わたしたち」のあいだがら

8月15日の終戦記念日※1が近いこともあり、広島・長崎の原爆や、
先の戦争について考える方も多いかと存じます。

ぼく(和氣ひろゆき)は、前職で体験したさまざまな組織上の問題を
自分なりに理解するため、戦争理論や戦史を勉強していた時期が
あります。

特に沖縄戦については、よーりーと結婚したことがきっかけでは
あるけれども、何が起きたのかを、より深く理解したい、勉強したい
と感じています。
今回は、特に沖縄県外に住む多くの人たちが誤解しやすい事実に
ついて、わかる範囲でまとめてみようと思います。


・誤解しやすいこと(1) 沖縄戦は9月まで続いた
沖縄戦は3月末にはじまり、9月7日の南西諸島の日本軍の降伏※2で
終結しました。県外の方の中には、6月23日の慰霊の日(＝旧日本軍
の組織的抵抗が終わった日)で、終わったと思っている人も多いと
思います。実際は、76年前の今(8月)も続いていたということです。

・誤解しやすいこと(2) ひめゆり学徒隊は兵隊だった
吉永小百合の「ああ、ひめゆりの塔」では、ストーリーの都合で
省かれているけれども、現在の中学／高校生でつくられた
「ひめゆり学徒隊」は「兵隊(学徒兵)」で、同行する日本兵の
指揮下にありました。本土では大学生が繰り上げ卒業となり、
明治神宮外苑競技場(今の国立競技場)で出陣式※3が行われましたが、
そこに参加していた当時の大学生と同じことが、沖縄では(男女問わず)
中学／高校生に対して行われていたということです。
よくある誤解として、本土で行われていた勤労動員※4と同じもの
と勘違いされる方も居られますが、そうではなかったということ。
生き残ったひめゆりの高校生たちは、扱い上は兵(戦闘員)だったので、
米軍に投降すると捕虜※5として扱われることになります。

・誤解しやすいこと(3) 旧日本軍は組織として機能していなかった
第二次大戦の全般にわたって、旧日本軍には現場の情報を吸い上げる
しくみが正しく機能していませんでした※6。沖縄戦においてもほとん
ど機能しておらず、沖縄の日本軍は、沖縄戦が起きる前から深刻な人員
不足に悩まされることとなりました。このため、頭数を確保するため
の臨時の兵隊を確保する必要が生じ※7、(2)のひめゆり部隊が誕生する
こととなります。
こうした事情から、沖縄戦での日本軍所属の戦没者94.1千人を、
臨時で徴収された県内の戦没者(28.2千人)と、正規の訓練を受けた
県外の戦没者(65.9千人)とを分けて集計しているのです※8。

・誤解しやすいこと(4)
　　沖縄県民の戦没者の約半分は6月中に亡くなっている※9
旧日本軍の司令部があった、首里が陥落したのが1945年の5月末のこと。
その時点で戦闘が終結していれば、半数の方は命を落とさずに済んだと
いうことになります。
事実としては、司令部の陥落後、旧日本軍は多くの一般市民が逃げて
いる本島の南部に移動し、市民を巻き添えにすることになりました。


--
以上、沖縄戦を理解する上で、誤解しやすいことを4つあげてみました。

個人的には、76年前の今も続いていたこと…暑くて暗くて怖い、
真夏の洞窟(ガマ)の中がどれだけ過酷であったことか。

今の自分には、想像しようにも想像できないことが、実際に起きた
ことであり、戦争の無慈悲さを物語っているように思うのです。


(ひろちゃん)

※1:正式には、日本がポツダム宣言の受諾を表明した日。国際法上の
　　終戦日は、戦艦ミズーリ上で日本が降伏文書(休戦協定書)に署名
　　した9月2日になります。

※2:「沖縄戦ってどんな戦争だったの？」
　　→ https://ryukyushimpo.jp/statics/html/okinawasen/mn1.html
　　「沖縄戦の経緯」
　　→ https://www8.cao.go.jp/okinawa/okinawasen/gaiyou/gaiyou.html

※3:「学徒出陣」
　　→ https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009180997_00000

※4:「勤労動員」
　　→ https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005403092_00000&p=box

※5:ジュネーブ条約(赤十字条約)により、勤労動員の場合、扱いは
　　一般市民(非戦闘員)のため、捕虜にはなりません。ひめゆりの
　　話で「捕虜になった」というのは、兵士だったからなんです。
　　ただ、当時の条約では非戦闘員は保護の対象となりませんでしたが、
　　アメリカ軍の軍事活動を円滑にするために、保護したようです。
　　→ http://okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/22071/1/vol40_06.pdf
　　→ https://ja.wikipedia.org/wiki/沖縄の収容所

※6:「失敗の本質」
　　→ https://www.amazon.co.jp/dp/4122018331

※7:「根こそぎ動員」
　　→ https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1343092.html
　　→ https://heiwa.yomitan.jp/3/2621.html

※8:「沖縄戦ってどんな戦争だったの？」
　　→ https://ryukyushimpo.jp/statics/html/okinawasen/mn1.html

※9:「データでたどる沖縄戦」
　　→ https://www.nhk.or.jp/special/plus/articles/20200817/index2.html


【今月のトピックス】

●和氣よりこが、9月開催される
　「コーチング体験会inひろしま」にコーチとして参加します！

「コーチング」を手軽に体験してもらえるワークショップです。
専門のトレーニングを受けたスタッフ3名から、15分間のショート
コーチングを合計3回（45分間）受けることができます。
コーチングを受けてみての感想交換、スタッフによる質疑応答コーナー
もあります。

【日時】　　2021年9月5日(日)14時～17時(Zoomによるリモート開催です)
【参加費】　2,000円
【申し込み及び詳細情報】
　　　　　　詳細はコチラをご覧ください
　　　　　　→ https://cchiroshima.sakura.ne.jp/wp/2021/07/25/0905coaching_trialsession/
【主催】　　コーチングコミュニティひろしま コーチング体験会事務局

※「コーチング体験会inひろしま」は
　「あいだの力学」主催はありません。ご了承ください。


●和氣よりこが、note（※）を始めました！

「あいだ（関係）」をキーワードに、よーりーが20代・30代のときに
体験したイロイロ話をお届けします。

１回目は「沖縄生まれ　奈良在住　よーりー自己紹介」というタイトル
で書きました。気軽に楽しんでもらえたらうれしいです。

※↓１回目↓のnote記事のURL
→ https://note.com/yoriko_waki/n/n0201e5b843a2

※noteは文章、写真、イラスト、音楽、映像などの作品を配信する
　ウェブサイトです。



【あいだの力学に対するリクエスト募集！】

わたしたち、「あいだの力学」に対して、「あれやって欲しい！」とか、
「こういうのは無いかな？」とか、アイデアやリクエストがあれば、
ぜひぜひ遠慮なくわたしたちに伝えて‡くださいませ。

‡　このメルマガへの返信、もしくはホームページの「お問い合わせ」で
　　連絡して頂ければ、わたしたちに伝わります。
　→ http://www.aidano-rikigaku.jp/

よろしくお願いしますね♪

------------------------------------------------------------

これからもわたしたち「あいだの力学」に対する応援、
よろしくお願い申します。