「あいだの力学」の気になる間の話
---------------------------- 2023/4/11
皆さま、こんにちは!
いかがお過ごしでしょうか。
コロナ禍も落ち着いたこともあり、今年は花見に行かれた方も多かったのではないでしょうか。ぼくらも1週間ほどまえの4月のはじめ、近所の公園の桜を観に行きました。満開を少し過ぎたぐらいでしたが、青空の下、ポカポカ陽気を浴びながら、ピンクの花びらに包まれる…とても贅沢な時間を過ごすことができました。
来年も、そんな贅沢な時間が過ごせるといいなあ。(もちろんビールもおいしかった!)
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【今月の気になる間の話】
●「正解」と「わたし」のあいだがら
このメルマガでも前に書いたように、わたし(和氣ひろゆき)は大学で応用数学を勉強することになった。でも、もともとは物理学や化学を志望していたこともあり、正直なところ数学は「受験だけなんとか…」という感じだった。当然、大学の授業が始まると…なんだか先生の話がチンプンカンプン。イプシロンやらデルタやら、訳が分からない記号がたくさん出てきて、正直「まずった!」と感じたのも後の祭り。入学して最初の2~3か月は、本当にしんどかったことを覚えている。
その後、友人との出会いをきっかけに、数学の考え方や勉強の仕方がわかるようになり、なんとか前期試験を乗り切ることになるのだが、まあ、今考えると、あのとき挫折したことで、「実力が足らない自分」を素直に受け入れることができたのかもしれない。
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大学時代の友人たちとの思い出は色々あるけれど、よくやったことの一つが、大学の受験問題になっている数学の問題を一つ取り上げ、みんなで複数の解き方で解いてみるということ。もともとは塾講師や家庭教師をしている友人の「ネタづくり」だと思うが、結構ハマったことを覚えている。自分では思いつかなかった方法や、シンプルな方法が仲間から出されたときの、「驚き」と、ちょっぴりの「ヤラレタ感」、負けん気が強かったこともあり、仲間を「あっ」と言わせようと、自分なりに一生懸命に考えてチャレンジして…。残念ながら、ぼくが出した方法のほとんどは、ユニークかもしれないが、複雑すぎて、友人のネタづくりの役には、ほとんど立たなかった。でも、仲間たちとの関わり合いをしていくうちに、次第に授業についていけるようになった。たぶん、彼ら/彼女らのおかげで、問題に対して、自分が「何」を「どう」考えるべきなのかが、わかるようになったからだと思うのだ。
数学の世界には「難問」と呼ばれる問題がいくつか存在している。これらの難問の中には、証明(=解決)されるまでに300年以上※1の歳月がかかるものがあり、近年証明された問題の多くは、世代を超えた研究※2が積み重なって、ようやく答えにたどり着いている。言い方を変えると、証明までの300年間の積み重ねの研究をしている数学者たちは、自分たちが取り組んでいる問題の「答え(=証明方法)」がわからない状態で研究することが「運命づけられている」ともいえる。その意味では「答え」そのものよりも、「こうすれば(そのうち)正しい答えにたどり着く」というやり方(=プロセス)の方が重要であり、「(時間がかかっても)正しい答えにたどり着くゴールデンルール」こそが、数学の最も大事なところなのかもしれない。才能がない自分がいうのもおかしいかもしれないが、大学時代の友人たちとの関わり合いや学んだことを振り返ると、そう思えるし、その雰囲気を「ちょっとだけ」味わえたことが自分の財産になっているようにも思うのだ。
最近、自然な会話ができるAI検索サービス※3が話題となっている。これらのサービスが使えないと、近い将来「仕事ができなくなる」と考える人もいるようだ。確かに「(何かの)答えがすぐ欲しい」人には便利なツールかもしれない。でも実際に使ってみればわかることだが、所詮は検索サービスの変形でしかないので、だれも知らない新しいことは出てこないし、出てきた答えだって正しいかどうかもわからない※4。
結局のところ、「正しい『かも』しれない答え」はAIで探せるけれども、まだわかっていない「正しい答え」を見つけるため、たどり着くためのプロセスを進めることは、人間にしかできないことなのだろう。そして、正にソコにこそ、創造の本質があるように感じている。
(ひろゆき)
※1:たとえば、「フェルマーの最終定理」と呼ばれる難問は、フェルマーの死後330年経ってから証明された。「ケプラー予想」に関しては、問題が出されてから、証明されるまでおおよそ390年かかった。
※2:解こうとする問題のポイントを整理したり、ほかの問題と関連がないかどうかを見つけたりしている。
※3:ChatGPTやBing AIなど。
※4:掲載件数や引用件数で内容のの「確からしさ」を判定しているため、だれにとっても常識的に正しいことなら、正しい情報が返ってくる可能性が高い。逆に、みんなが誤った情報を信じている場合は、誤った情報を返してくる可能性が高い。
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