「あいだの力学」の月刊メールマガジンです。 毎月11日に発行されます。

　　　　　「あいだの力学」の気になる間の話
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皆さま、こんにちは。

気温差が激しい5月の気候が、そのまま続いているように感じられますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつもなら1日に衣替えをするのですが、今年は朝の気温が14度という日もあり、なかなか切り替えられずにいます。
天気予報によると、今日あたりから気温が(高い方に)安定するそうなので、今度の週末にでも衣替えをしようかな…と、考えています。まあ、例年通りのジメジメシーズンがやってくるということでもありますが。


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【今月の気になる間の話】

●「わたし」と「英語」とのあいだがら

このメルマガで何回か書いていることだが、ぼく(和氣ひろゆき)はソフトウエアエンジニアという仕事もしている。

コンピュータの世界に国境はないため、既に様々な国の人たちが多種多様のソフトウエアを書いている状況にある。結果的にそうしたソフトの「使い方のマニュアル」の多くは、国際ビジネスの公用語となりつつある「英語」で書かれていることがほとんどで、好むと好まざるに関係なく、ほぼ日常的に英語の文章を読んでいる。
幸いなことに、マニュアルの文章が解りづらいものであっても、プログラムがついていれば何をしているかが大体わかるし、その気になれば実際に動かして試すこともできるので、文章が多少わからなくても、たいていは何とかなる。もちろん、作った人だって母語が英語とは限らないし、コッチも英語がアヤシイ方なので、わからないところを理解しようと「努力する」というのは、「お互い様」という面もある。…とはいうものの、ぼく自身は正直なところ、英語は苦手だ。

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ぼくと英語との付き合いは、小学校のときに通った英会話スクールから始まる。中学に上がる頃には、ちょっとした日常会話ならできるようになっていたこともあり、中学校の英語の授業は「楽勝」だった記憶がある。
英語につまずき始めたのは、高校に上がってからのこと。担当の先生が受験英語を重視する先生であったこともあり、自分にとっては突然何がなんだかわからない授業になった。なぜ「不正解」と言われるのかが、さっぱりわからない。次第に苦痛に感じ成績もガタ落ちの状況に。しまいには先生に「和氣、おまえ、物理や化学が得意なんだってなあ。ちょっとは英語にもヤル気を出せよ！」と言われる始末。コッチはなんだかわからないのだから、ヤル気を出そうにも出しようがない。そんなモヤモヤする気持ちだったように思う。

英語との関係が変わったのは、就職して早々、米国に駐在することになったことが関係している。英語でのコミュニケーション能力に問題があったぼくは、駐在予定員向けの英語合宿(通称「虎の穴※1」)に強制参加することになったのだった。そこでは1か月間の合宿期間中の24時間、英語以外の言葉を「話してはいけない※2」というルールがあったため、毎日冷や汗をかきながら、必死で練習した記憶がある。その甲斐あって、まあ駐在中も何とかなったわけだが、帰国後にTOEICの試験を受けると…本当に駐在していたのかどうか疑われような低い点数を取って、当時の上司から怒られてしまった。

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サラリーマン生活に見切りをつけて、研修講師として活動していた10年ぐらい前のこと。当時は比較的時間に余裕があったので、空き時間にネットで論文を見つけて勉強するということを良くやっていた。そんなあるとき、フト「理系向けの英語の勉強方法」という記事を見つけた。そこには「理系アタマには文法から覚えた方が早い」ということが書かれていた。

よく考えると思いあたるフシがある。TOEICの試験についていうと、上司に怒られたときも、その後の昇進試験のときに受けたときも、どちらのスコアも、リーディングがリスニングの半分の点数にも満たなかったのだ。

興味半分でテキストを取り寄せ、読み始めたところ…ああ、わかるわかる！今まで引っかかっていたところがスルスルと！

どうやらぼくの場合、おそらく高校のときに英文法でつまずいて、そのままの状態がずーっと(30年ぐらい)続いていたらしい。つまずきの原因がわかるのは嬉しいし、つまずかなくなるのは、ある種の楽しさを感じる反面、「もっと早く気づいていれば！」という悔しさや、損した気持ちもあるものだ。何はともあれ英文法を学びなおしたことが、ぼくと英語との関係を決定的に変えることになった。

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改めて言うと、ぼくは英語が苦手である。でも、英語がわからない訳ではない。英文法を学びなおして、英語の意味がわかるようになってから、実は英語のビデオに日本語の字幕をつけたり、英語で書かれた本の日本語版翻訳の手伝いをしたりしている。意外かもしれないが、苦手である英語の文章を日本語の文章に翻訳する作業は、人よりも時間はかかるけれども、それなりに好きな方だ。

結局ぼくの場合、英語に対する正しい努力の仕方を見つけるまで、かなり長い時間がかかったということなのだろう。けれども高校時代の英語のつまずき、「モヤモヤ」感があったことが、英語に対する興味や好奇心を持ち続ける原動力になっているのかもしれないとも思う。ある意味、自分を成長させてくれたのだから、ありがたい存在なのかもしれない。

(ひろゆき)

※1: 駐在先にあわせて、英語以外にもスペイン語やフランス語、アラビア語…などなどの「虎の穴」があった。
※2: 万が一話してしまうと罰金。先生の質問に無言でいることも罰金。ぼくのクラスでは、日本語1単語で「バナナ1本」の罰金になっていた。ちなみに毎晩、英語で日記をつける課題もあった(日記は、忘れるとバナナ10本の罰金)。


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