「あいだの力学」の月刊メールマガジンです。 毎月11日に発行されます。

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　　　　　「あいだの力学」の気になる間の話
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2018/5/11
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皆さま、こんにちは！

楽しかったゴールデンウィークも終わり、いつもの日常が戻りつつある
今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか？

「しっかり休んで、快調快調！」という方もいれば、
「いや～…このところ休みの疲れがでて…」という方も、
居られることでしょう。

わたし（和氣ひろゆき）はというと、甥っ子／姪っ子と遊びすぎた
ためか、今頃ちょ～っと腰に来ている感じです(笑)

来年は、もっと腰にくるのかしらん…

そうなることがわかっていても、「おじちゃん」と言われると、
一緒にはしゃいじゃうんだろうなあ…

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【今月の気になる間の話】

●「心の病」と「治る」のあいだがら

ゴールデンウィークの間、ぼくたちは、和氣より子の実家がある
沖縄で楽しい時間を過ごしました。

もちろん、泡盛もしこたま飲みました。特に義父さんと泡盛片手に
夜中まで語り明かした時間は、本当に楽しく、また良い体験でした。
わたし（和氣ひろゆき）にとって、今回の一番の想い出になって
います。また、そんな「いい時間」を、義父さんと共に過ごしたい
ものです。

さて…そんな風に、アルコールを良く飲むせいか、アイドルグループ
の元メンバー(Yさん)による、アルコールの問題が気になっています。

特に最近テレビ番組で、有名なジャーナリストが「アルコール依存は
治らない」と発言したこと。誤解があるなあ…というのが正直な気持
ちです。

第一にアルコールの問題は、「依存」だけではないということ。
仮に脳神経等の病気を除いた「心の病気(＝精神疾患)」であったとして
も、「暴力をふるう」とか、「記憶をなくす」とかもあり、それぞれが
異なる病気である場合もあるのです。「問題」を「依存」と解釈するの
は、病気を単純化しすぎているように思うのです。

二つ目の問題は、ケガや身体の病気と違って、心の病気の場合は、
もとから「元の状態に戻る(＝「治癒」とか「完治」)」ことを、
治療の目的にはしていないということです。

心の病気は「心のありよう※1」が原因で起きるため、治すには病気に
なる「今の心のありよう」を、病気にならないものに変える必要がある
のです。よって「元に戻る」ことは治療の目的になりえません※2。
よく考えればあたり前のことですが。


そのうえで今回の騒動を振り返った場合、Yさんがアイドルグループを
脱退するのは、治療を進めるうえでは仕方がない面があるかなあ…と、
個人的には思うのです。

精神医学の分野における昨今の研究により、アルコールや薬物の乱用
(物質乱用)、パーソナリティ障害や解離性同一性障害など、広範囲の
精神疾患において、乳幼児期の養育者(多くの場合は母親)との不健全
な関係※3が、将来の発症のリスクを大幅に引き上げる…ということが、
徐々に明らかになってきました。

こうした「もの心がつく前」の記憶や体験というものは、それぞれの
アイデンティティ※4のもとになるものなので、病気にならないものに
なるのであれ、変わることは大変困難なことでしょうし、また変わる
ことで、今のアイデンティティからは、想像できない一面も顕れてくる
かもしれません。

治療に伴う変化に、たとえばYさんのファンの方がついてくるかどうか。
とても難しい判断になると、わたしは思うのです。

ただ言えるのは、そうした治療は、その人本来の「心の成長」を促す
ものでもあるということ。失う面もあれば、今よりも魅力的に感じる
面も、きっと顕れてくるに違いありません。

だからこそ、しっかりと治療に専念して欲しいなあ。周りの方は、
暖かく見守ってほしいなあ…と、わたしは思うのですが、皆さんは
いかがでしょうか。


※1 より正確には―
　　　1) 一貫性のある健全なアイデンティティを持つ
　　　2) 自己のコントロール(self-direction)ができる
　　　3) (他者を理解し)寛容さをもちつつ共感できる
　　　4) (他者との適度な)親密さを保てる
　　―という面から、「ありよう」」を考えていくことになります
※2 「寛解(かんかい)」と言います
※3 自分が不安や苦痛を感じたときにはいつでも、養育者から慰めや
　　保護を得られると、子ども(乳幼児)自身が養育者を信頼し、また
　　同時に、養育者もそうなるように、わが子を気にかけている、
　　いわゆる「普通」の親子の関係(愛着(アタッチメント)理論における
　　「安定型」)を「健康な関係」とした場合において、そうなって
　　いない関係を、ここでは「不健全な関係」(「アンビバレント型」
　　「回避型」「無秩序型」に相当)と言っています。
※4 養育者から慰めや保護をいつでも得られることをベースに、他者への
　　信頼とともに、自分自身の価値(自尊感情と自己肯定感)を育てていく
　　ことになります。たとえば、健全な関係で育ったのなら、将来、他者
　　と親密な関係をつくっていくことは容易に想像できます。
　　では、不健全な関係がすべてNGかというと、決してそうではなく、
　　他者への信頼が薄い分、また、自己肯定感が低い分、自分で一生懸命
　　努力する人になるかもしれません。アイデンティティと、その人の
　　魅力とは、必ずしも一致するとは限らない訳です。

（ひろゆき）

【今月のトピックス】
●和氣より子が、沖縄の大学でワークシップを実施しました！
先日の5月7日(月)に、大学生向けに「キャリアに関するワークシップ」を
実施しました！


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