【Tear’s Letter】日本に盗撮罪が必要な理由｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】日本に盗撮罪が必要な理由

2018年09月02日

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★　Tear’s Letter
★　日本に盗撮罪が必要な理由
★　2018年9月2日　No.384
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こんにちは！しあわせなみだです。

理事長中野が、社会福祉従事者（ソーシャルワーカー）と何らかの
困りごとを抱える当事者団体NPO法人Social Change Agencyの
養成プログラムに登壇します。刑法性犯罪改正を後押しした
ソーシャルアクション等をお話します。ぜひお越しください。

【9/16:東京】Social Change Agent養成プログラム2018
↓詳細ならびにお申し込みはこちらです
https://peatix.com/event/422706/view
↓養成プログラム2018特設ページはこちらです
https://peraichi.com/landing_pages/view/51469
↓昨年の講演レポートはこちらです
http://social-change-agency.com/archives/4340

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.384 Topics】
┃★１．日本に盗撮罪が必要な理由
┃★２．編集後記
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★１．日本に盗撮罪が必要な理由
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2015年1月、性犯罪時の様子を盗撮したビデオ原本の処分と
引き換えに、被疑者側弁護士が被害者側に対し、裁判の取り下げを
求める「宮崎強姦ビデオ事件」が起こりました。
しあわせなみだは、弁護士の懲戒請求などを求める署名を実施。
2018年6月に、最高裁はビデオ原本の没収を認めるという、
極めて画期的な判断を下しました。
こうした事態が起こる背景には、日本では「盗撮」に対する
処罰の基準が現状に即していないことが挙げられます。
そこで今回のメールニュースでは、盗撮罪の創設を求める
弁護士集団「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」の弁護士
上谷さくらさんに、事件の背景と盗撮罪の必要性について、
ご寄稿いただきました。

↓しあわせなみだが実施した署名はこちらです
http://bit.ly/2NEA4rj
↓フォーラムの皆さんとともに、理事長中野も登壇した
盗撮罪を求める記者会見の様子はこちらです
https://www.businessinsider.jp/post-171186

＊＊＊

☆ＶＳフォーラムの紹介
犯罪被害者支援弁護士フォーラム（VSフォーラム）は、
平成22年1月に設立された、犯罪被害者の権利を守る弁護士の集団
です。犯罪被害者の権利の向上に役立つ諸制度を、具体的事件を
通して実践し、専門的に研究し、実践能力を高めること、運用や
法制度で不十分なところの改善策を研究し、新たな運用や立法を
求め、社会に広く提言することを目的として活動しています。
↓VSフォーラムウェブサイトはこちらです
https://www.vs-forum.jp/

☆宮崎強姦ビデオ事件と法制度の不備
平成22年4月から平成25年12月にかけ、宮崎市のオイル
マッサージ店経営の男性が、店舗内で女性客に対して強姦や
強制わいせつを行い、平成26年6月、5件の強姦罪等で起訴される
事件がありました。被告人は、４名の被害者に無断で犯行状況を
盗撮し、デジタルビデオカセットに録画していました。
被告人は、検察や裁判所が盗撮ビデオ原本の任意提出を要請しても
拒否し続け、平成27年12月1日、宮崎地裁は、懲役11年、
盗撮ビデオ原本４本没収との判決を言い渡しました。
平成30年6月26日、最高裁は被告人の上告を棄却しました。
没収の理由として、被告人が隠し撮りをしたのは、被害者に
それを知らせて捜査機関に被告人の処罰を求めることを断念させ、
刑事責任の追及を逃れようとしたためであると断定し、盗撮
ビデオが刑法19条1項2号の「犯罪行為の用に供した物」に該当
すると判断しました。

盗撮ビデオの没収が確定するまでに長時間がかかったのは、
ほとんどの場合、私的スペースでの盗撮が犯罪ではないからです。
盗撮に関しては、各都道府県のいわゆる迷惑防止条例に定めが
ありますが、そのほとんどが「公共の場」での盗撮のみを犯罪の
対象としています。迷惑防止条例は、公共の場で盗撮が行われる
ような社会は「風紀が乱れる」ので規制対象としています。
つまり、被害者の性的自由の保護という側面が非常に弱いのです。

そのため、宮崎強姦ビデオ事件のような、オイルマッサージ店と
いう私的スペースでの盗撮は、現行法上、犯罪ではありません。
今回は、刑事責任を逃れるために盗撮したと認定され、
「犯罪供用物件」にあたるとして没収されましたが、「個人的に
楽しむ」目的であった場合、没収できなかった可能性があります。
また、会社の社長室に女性社員が呼ばれ、そこでスカートの中を
盗撮されても犯罪にはなりません。

☆盗撮罪創設の必要性とシンポジウムのご案内
そこで、我々VSフォーラムは、私的スペースであっても盗撮自体を
禁止すべきと考え、盗撮画像・動画を没収できるような法律の創設
を目指します。今や性犯罪と盗撮はセットと言っても過言では
ありませんし、私的スペースであっても、盗撮された被害者の
苦しみは公共の場での盗撮と何ら変わりないからです。
VSフォーラムは、盗撮の現状を正しく理解し、盗撮罪の創設を
訴えるため、９月８日（土）に日本記者クラブでシンポジウムを
開催します。参加無料ですので、ぜひお気軽にご参加ください。
↓シンポジウムの詳細はこちらです
http://bit.ly/2PtVY1c

☆上谷さくらさんプロフィール
毎日新聞記者を経て、弁護士登録。VSフォーラム事務次長、
青山学院大学実務家教員、保護司。

★２．編集後記
───────────────────────

体操界で、コーチから選手への暴力が明らかになり、コーチは
日本協会からの無期限の登録抹消処分を受けました。これに
対し選手が「処分が重すぎる」と抗議し、議論になっています。
スポーツ界での暴力は「必要不可欠」とされ、黙認されてきた
傾向があります。しかし暴力による指導は、「選手の育成」では
なく、「指導者側の支配による自己満足」を目的としたものです。
また被害者が加害者を擁護することは、DVや虐待においても
よく見られるものです。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、暴力のない
安全安心なスポーツ業界への転換を望みます。

↓スポーツ界の暴力についてはこちらをご覧ください
尾木直樹さん（教育評論家）
「スポーツ選手はコーチに依存せずに自立して」
https://ameblo.jp/oginaoki/entry-12401580418.html
佐々木亮さん（弁護士）
「本人がOKと言えば、暴力指導はパワハラにならないか？」
http://bit.ly/2PW05UH

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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