【Tear’s Letter】「AV出演救済法」成立の背景と課題｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】「AV出演救済法」成立の背景と課題

2022年07月03日

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★　Tear’s Letter
★　「AV出演救済法」成立の背景と課題
★　2022年7月3日　No.541
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

日本共産党本村伸子衆議院議員が、衆議院に「障がいを有する子・
人への性暴力の根絶に関する質問主意書」を提出しました。
現在法制審議会で議論されている「障がいを知り得る立場に乗じた
性犯罪」や、障がい特性を踏まえた事情聴取の手法である「代表者
聴取」の試行実施状況について、丁寧な質疑が行われました。
今後もこうした機会を増やせるよう、努力してまいります。

↓詳細はこちらです（右上「質問内容」「答弁内容」で
ご覧いただけます）
http://tinyurl.com/yc2s6xcw

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.541 Topics】
┃★１．「AV出演救済法」成立の背景と課題
┃★２．編集後記
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★１．「AV出演救済法」成立の背景と課題
───────────────────────

6/23「AV出演被害防止・救済法」（以下「AV出演救済法」）が
施行されました（※1）。AV（アダルトビデオ）については、
以前から、出演の強要等が指摘されており（※2）、職場環境の
改善等が求められていました。
そこで今回のメールニュースでは、法成立の背景や、残された
課題を紹介します。

☆１）AV出演救済法成立の背景

「AV出演救済法」が今国会で成立した背景の1つに、成人年齢の
引き下げがあります。未成年者が親の同意を得ずに契約した場合、
原則として、契約を取り消すことができる「未成年者取消権」が
あります。これまでは、20歳未満がAV出演を強要されても、この
権利を行使し、契約を取り消すことができました。
2022年4月、民法が改正され、成人年齢が20歳から18歳に
引き下げられました（※3）。つまり、高校在学中の18歳で
あっても、契約取消が困難となったわけです。救済策が急務と
なり、超党派による議員立法の成立に至りました。

☆２）AV出演救済法のポイント

まず、契約から撮影まで、1か月の期間を設けました。その間に、
「対等な立場での契約か」「意に沿う内容か」「自分の夢を
かなえるものか」等を、時間をかけて、周囲に相談しながら、
判断することが可能となります。
次に、撮影から公表までに、4か月の期間を義務付け、公表から
1年（法施行後2年間は2年）は、無条件で契約を解除できることを
定めました。出演が自分の不利益につながるリスクを感じた
時点で、公表の取り止めを要請できます。
そして、相談支援先を明確にしました。各都道府県に設置された
性暴力被害者ワンストップ支援センター（※4)が、対応します。

☆３）AV出演救済法の課題

法成立の過程において重要な論点となったのは、「契約により
性交が合法化される」懸念でした。AVには、性行為を伴うもの
だけでなく、心身の安全を脅かす言動や、暴力行為等が散見され、
「法の成立が、こうした現状を黙認する」といった声が
あがりました。
性産業については、AVが掲載されているアダルトサイトを含めた
「性風俗関連特殊営業」を行う事業者は、コロナによる減収を
補うことを目的とした「持続化給付金」の対象外とされる（※5）
等、法律的な位置づけが極めて不安定であり、業界に所属する
人々の職業的地位も、不明確と言わざるをえない状況にあります。
法施行にあたっては、2年以内に、状況を踏まえた検討及び必要な
措置を講じることが定められました。「なぜ望まないAV出演が
起こるのか」という根本的な課題へのアプローチを含め、法の
運用を見守っていく必要があります。

※1 法案は衆議院サイトに掲載されています
http://tinyurl.com/5b6x6kvx
概要は内閣府「AV出演被害防止・救済法が施行されました」を
ご覧ください
http://tinyurl.com/5n86khpm
※2 内閣府「こんな被害が起きています」
http://tinyurl.com/5n92f86a
※3 法務省「民法の一部を改正する法律（成年年齢関係）について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00218.html
※4 内閣府「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援
センター一覧」
http://tinyurl.com/mwkms23a
※5 6/30付『時事通信』「持続化給付、性風俗除外「合憲」
差別当たらず行政の裁量―東京地裁」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022063000812&g=soc

★２．編集後記
───────────────────────

日本大学の理事長に、作家の林真理子さんが就任しました。
新体制では、理事22名中9名が女性となりました。日大に限らず、
大学の理事は男性が大半であるとのこと（＊1）。一方大学生に
占める女性の割合は45.5％(＊2）となっています。学生の意向を
反映するという意味でも、多様な性を反映した学校運営が、
求められているのではないでしょうか。

＊1 7/1付『日本経済新聞』「日大理事長に林真理子氏就任
「新しい風」女性理事9人」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE244BQ0U2A620C2000000/
＊2 内閣府『男女共同参画白書令和3年版』
「第5章第1節教育をめぐる状況」
http://tinyurl.com/39pkrtrd

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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