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【Tear’s Letter】障がい児者への事情聴取を解説

2022年07月24日

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★　Tear’s Letter
★　障がい児者への事情聴取を解説
★　2022年7月24日　No.543
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こんにちは！NPO法人しあわせなみだです。

理事長中野のコメントが、7/14付「朝日新聞デジタル」に掲載
されました。
朝日新聞連載「子どもへの性暴力」第７部は、障がいのある
子どもへの性暴力です。中野からは、第1回で、障がい児への
性暴力が起こりやすい背景をお話しています。ぜひご覧ください。

↓「信頼していた施設で性暴力に遭った娘　重度障害、
つけこまれた特性」記事はこちらです
https://tinyurl.com/4tj86rmw
※有料会員限定記事です

それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.543 Topics】
┃★１．障がい児者への事情聴取を解説
┃★２．編集後記
┃
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★１．障がい児者への事情聴取を解説
───────────────────────

障がい児への準強制わいせつ罪が問われ、無罪判決が出た裁判に
ついて、福岡高裁は、地裁に差し戻しを命じました。理由として、
障がいのある性犯罪被害者に実施される事情聴取の手法である
「司法面接」が、証拠として採用されなかったことを指摘して
います（※1）。
そこで今回のメールニュースでは、障がい児者への事情聴取を
解説します。

☆１）「司法面接」とは

「司法面接」とは、虐待や犯罪被害等に巻き込まれた、社会的に
弱い立場にある人に対し、正確な情報を、負担なく聴取する手法
です。日本では、2015年10月から、子どもの被害者に対して実施
されており、2020年度は2,124件となっています（※2）。
障がいのある性犯罪被害者については、2021年4月から、全国
13か所で試行実施されており、半年間で89件となっています
（※2）。
「司法面接」は、面接の状態や形式を踏まえ、「協同面接」「事実
確認面接」等と呼ばれることもあります。また、実施体制を含め、
「代表者聴取」と表記されることもあります。

☆２）なぜ障がい特性を踏まえた事情聴取が必要なのか

障がいのある人は、ない人と異なる特性を持っています。それが
現在の司法制度では、不利益となる可能性があります。
たとえば「指さし」や「うなづき」「まばたき」等、言語以外の
方法で自らの意志を伝える方は、司法が求める事情聴取の基準を
満たすことが、難しい状況にあります。信頼する人の前でしか、
自分の気持ちを話せない人が、初対面の弁護士からの尋問に
耐えることは、非常に困難です。「素直」という特性は、
「誘導に弱い」ことにつながり、証言の信用性がゆらぐことに
なります。
障がいの有無に関わらず、裁判を行う権利を確保するためには、
障がい特性を踏まえた事情聴取が不可欠です。

☆３）障がい児者への事情聴取を取り巻く課題

まず、現在は13か所にとどまる試行実施が、全国への恒常的な
実施に広がることが、期待されます。
次に、全国での実施に不可欠な、人材の育成です。障がいのある
性犯罪被害者に対しては、子どもに対する司法面接を実施してきた
人材が、そのスキルを活かして対応しているのが実情です。しかし、
子どもの特性と、障がい児者の特性は、異なります。身体、知的、
精神、発達、それぞれの障がいを理解した上での対応が望まれます。
また、「司法面接」が実施されても、今回の地裁のような、
「裁判で証拠として採用されない」運用の改善が、求められて
います。性犯罪見直しを議論する「法制審議会」でも、この課題が
取り上げられています（※3）。

海外では「司法面接」は、子どもや障がいのある人に加え、
認知症の方や、外国製の方等、「マイノリティ」と呼ばれる
人々も、対象としています。誰もが安全安心に裁判に
取り組めるために、どのような法整備が必要か、ともに
考えていきましょう。

※1 7/22付『朝日新聞デジタル』「無罪判決を破棄して差し戻し
健康診断会場で準強制わいせつ罪の技師」
https://www.asahi.com/articles/ASQ7Q75Y1Q7QTIPE001.html
※2　法制審議会刑事法（性犯罪関係）部会　第5回会議配布資料
「代表者聴取の取組の実情」
https://www.moj.go.jp/content/001367831.pdf
※3 法制審議会刑事法（性犯罪関係）部会　第1回会議配布資料
「諮問第１１７号」
https://www.moj.go.jp/content/001357718.pdf

★２．編集後記
───────────────────────

理事長中野が、警察庁「カウンセリング専科」で講義を行いました。
都道府県警で犯罪被害者支援に携わる、警察官や心理職の皆さんに、
「障がい児者に対する性犯罪と被害者支援」をテーマに、現状と
課題をお話しました。
しあわせなみだでは、障がい児者への性暴力に関する講義を、
積極的にお受けしています。ぜひお問い合わせください。

↓お問い合わせはこちら
https://tinyurl.com/2p93mjr4

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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