【Tear’s Letter】アンパンマンはかっこいい～千谷直史のSmile Tear～｜【しあわせなみだ】Tear's Letter バックナンバー

【Tear’s Letter】アンパンマンはかっこいい～千谷直史のSmile Tear～

2024年04月21日

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★　Tear’s Letter
★　アンパンマンはかっこいい～千谷直史のSmile Tear～
★　2024年4月21日　No.603
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それでは今週の「Tear’s Letter」をお届けします！

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┃【Tear’s Letter No.603 Topics】
┃★1.アンパンマンはかっこいい～千谷直史のSmile Tear～
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┃★2.編集後記
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★1.アンパンマンはかっこいい～千谷直史のSmile Tear～
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2025年度前期の朝ドラが「あんぱん」に決定し
ヒロインも発表されましたね。
言わずと知れたアンパンマンの作者やなせたかしさん
の妻が主人公ということでとても楽しみです。
私は大学生の時にアンパンマンを好きになりました。
というのも、東日本大震災の際に避難所で
笑顔を失った子ども達がラジオから流れる
アンパンマンマーチで大合唱が始まり、
笑顔を取り戻したというエピソードを知り、
やなせたかしさんがアンパンマンに投影した
ヒーロー観、正義について非常に感銘を受けたからです。

「なんのためにうまれて、なにをしていきるのか」
子どもの歌とは思えないこの歌詞に込められた意味に胸を打たれました。

今回は簡単にやなせたかしさんのヒーロー観、
アンパンマンのもつ正義感の話をしたいと思います。
これからアンパンマンを見る目が変わると思います!

やなせたかしさんは1919年東京都北区生まれの高知県育ちです。
1919年といえば第一次世界大戦の講和条約である
ヴェルサイユ条約が調印された年であり、
しばらくするとまた第二次世界大戦が始まります。
戦争真っただ中を生きています。戦争を経験し、弟を戦争で亡くしました。
若い時からマルチタスクでなんでもできたため、絵を描くことだけでなく、
舞台美術制作や放送作家、詩人としての才能もありましたが、
本人はどこにも突出したものを残せないことに落ち込み、
周囲からは「便利屋」のように扱われることにうんざりしていました。

やなせたかしさんが初めてアンパンマンを
発表したのはなんと現サンリオ、山梨シルクセンターからです。
辻信太郎社長はやなせたかしのために出版部をつくり、
1969年にアンパンマンが生まれました。
ただしこのアンパンマンは現在のものとは
異なる作品であり、ヒーロー物へのアンチテーゼとして
作られた大人向けの作品でした。
やなせたかしは自身の戦争経験からこの世に完全な悪はない。
戦争は完全な善と悪の戦いではなく、
善も悪も、あくまで片方からみたものであり
見方を変えれば善も悪になり得ること、
この世の複雑さ、不条理を描きたかったのです。
当時人気だったスーパーマンやバットマンなどの
かっこよくヴィランを倒すヒーローは派手な衣装で汚れることなく、
倒したらそのまま去ってしまう。
自身の経験から飢えを解決しないヒーロー達を
「嘘くさい」と感じていました。
本当のヒーローは自分がボロボロになって戦うカッコ悪いやつ。
飢えを解決することはどんな宗教、文化圏でも
正義であることからアンパンマンは絶対的正義を実行しています。

アンパンマンが自分の顔を差し出すと力が弱まります。
そこには自己犠牲、正義を実行することには傷が生じること。
つまり負担が伴うことを表しています。
しかしそれでいて目の前の人を絶対見捨てることはせず、
悪と戦うことも放棄しません。
やなせたかしさんにとって
正義とは誰にでもできるシンプルなことだけど、
決して軽いものではないためカッコ悪くないといけないのです。
人を助けるときは、まず自分1人でも動かないといけない。
だから「愛と勇気だけがともだち」なんです。

しかし、世間の反応は今とは違い否定的でした。
「あんぱんが空を飛ぶなんて下品」
「子どもはメカとか、王子様お姫様が好きなんだ」という
意見で一時アンパンマンを描くことをやめていたこともありました。
ですが、これらはすべて大人の意見であり、
子どもの間ではふつふつと人気が高まっていました。
やなせたかしさんは小さな読者達と真剣に向き合いました。

敵が「ばいきん」であることにも意味があります。
善と悪、陰と陽、光と闇、この対を成す存在は実は相互関係にあり、
一方がなくなればまた一方もなくなってしまう物だと
やなせたかしさんは理解しています。
バランスを保っている状態がベターである、
つまり、無菌状態が1番良くないということです。
菌と戦い、免疫をつけることで体は丈夫になっていきます。
人間も小さな揉め事を経験し痛みを知り、
時には人の優しさを知り「もうしないぞ」と誓うものです。
そして、アンパンマンにとっても菌は必要な存在です。
それはパンは酵母菌という菌から生まれるからです。
実はアンパンマンとばいきんまんはお互いに
「なくてはならない存在」なんです。
アンパンマンの映画では、第3勢力の悪者が出現した際、
ばいきんまんは「アンパンマンを倒すのはおれさまだ！」と言いながら
アンパンマンと協力して悪者を倒すことがあります。
アンパンマンもばいきんまんにとどめを刺すことは決してありません。

ちなみにばいきんまんがたくさんの機械をつくれるのは
菌の「変異」を表現しています。
菌やウイルスが変異して人間に襲ってくる様を表現しています。
徹夜をして一生懸命作成しているためばいきんまんの目は
白ではなく、ピンクがかった目をしています。

アンパンマンブームが起きた時やなせたかしさんは既に70歳を過ぎており、
病気も患っていたため病院の常連でした。
そして2011年、92歳の年に東日本大震災が起きます。
冒頭で記したようにアンパンマンは多くの愛と勇気を運んでくれました。
引退を考えていたやなせたかしさんは生涯現役でいることを選び、
2年後の94歳で亡くなります。
常になにをして生きるのかを問い続け、答えを求めた生涯だったと思います。

だいぶかいつまんで私なりにまとめたものなので、
ご存じの方からすると物足りなく感じるものだったと思います。
連続テレビ小説が始まる前に事前に調べておくと面白いと思いますので
ぜひ調べてみてください!

※参考
COTEN RADIO | 歴史を面白く学ぶコテンラジオ
【48‐1】それいけ！やなせたかしとアンパンマン
～心優しきヒーローに託された愛と勇気～
【COTEN　RADIOショートやなせたかし編】
https://coten.co.jp/services/cotenradio/

★2．編集後記
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やはりふとアンパンマンマーチを聞いた時、
口ずさむことができるだけに歌詞のメッセージに考えさせられます。
「なんのためにうまれて、なにをしていきるのか」
常に考えてしまいますが、
やなせたかしさんがアンパンマンを手がけるまでにかかった
道のりを考えるとまだ答えが分からなくて当然なのかなと思います。
暴力自体も飢えと同じく絶対的悪で、性暴力も同様です。
きっと性暴力に生涯関わっていくんだろうなと
明確にもしくはぼんやり思っている人が読んでくださっているのだと思います。
どうしても過激で攻撃的な思想をもった人と対峙することもありますし、
評価や反響が分かりにくいため、迷走してしまうものなんだと思いますが、
声を大にして言いたい!私たちはヒーロー!優しいヒーローです!

次回の配信はGWでお休みをさせていただくため、5/19です。お楽しみに!

☆最後までお読みいただきありがとうございました。

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