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もう10年くらい前の話なんですが、
堂島アバンザにあるジュンク堂書店に
ふらっと立ち寄ったとき、

『ことばは、自由だ。』

と書かれた巨大パネルが
いきなり目に飛び込んできました。


見ると言葉の百科事典といわれる
「広辞苑」の改訂新版の宣伝のパネル。


ほう、なかなか秀逸な販促コピーだな、
と一瞬は思ったのですが、

「いやちょっと待てよ、
　逆に不自由なことになってない？」

なんて疑問もフツフツと、、、


ということで、
今日はそのフツフツのお話を。


　・・・・・


さて、

世間一般的には「分かりやすい」ことが
良しとされていますよね。


でも世の中に「分かりやすい」ものなど
どこにもありません。


なぜなら、この世のあらゆるものは
最初から「分かれて」などいないからです。


人が勝手に「分けて」いるだけです。


それを可能にしているのが「言葉」です。


人は本来ひとつながりである世界に
言葉という「境界線」を引いてるのです。


これによって人は世界を理解することが
できるというわけです。


でもこれは単に「分かった」つもりに
なってるだけかもしれません。


なぜなら言葉というものは概念に過ぎず
そもそも実体はないからです。


　・・・・・


ところがこの言葉を「絶対的」なものだ、
と勘違いすると厄介なことが起こります。


というのも、言葉はその性質上、
そうであるものと、そうでないものを
同時に作り出してしまうからです。


たとえば、これは「Aだ」と言えば、
同時に「Aでないもの」も生まれます。


そのせいで人はあらゆるものを
この「二元論」の枠組みにはめ込んで
捉えてしまうのです。


たとえば、

「やる気」という言葉を知ると
やる気があるのか、ないのか、、

「社交性」という言葉を聞くと
社交性があるのか、ないのか、、

「メンタル」という言葉を見ると
メンタルが強いのか、弱いのか、、

といった具合に、、


でもこの二極の間には
無限のグランデーションがあるはずです。


それをスパッと線引きするなんて
本来できるわけがないんですよね。


たとえば「空」といったとき、
どっからどこまでが空なんでしょう？


　・・・・・


確かに言葉は素晴らしい道具です。


例の広辞苑の広告にも

『人は言葉によって自分自身を知り、
　他者を知り、生きる勇気と誇りを
　手にすることが出来る。
　言葉は人を自由にするのです。』

とあります。


でも言葉によって引いた境界線を
「現実そのもの」だと錯覚してしまうと、
人は言葉に縛られ逆に不自由になります。


そうならないためにも、
言葉の本質と限界を理解しておくことが
大切だと思うのです。


とりあえず、

人や自分にペタペタと貼り付けてきた
言葉の「ラベル」を一度剥がしてみたら
どうでしょう？


言葉の呪縛にハマり込んでいた自分に
気づけるかもしれませんよ。


　・・・・・


フツフツについてお話は以上です。


ちなみに、

言葉に縛られて動けなくなった人に
僕が投げかける言葉はこれです。

「それ、気のせいです」


ということで、

今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました！