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このさき案内人・堀岡 伸司

そもそも「現実」って何だ?

2025年03月03日



いきなりですけど、
「環世界」って言葉、知ってます?


これはユクスキュルっていう生物学者が
提唱した概念で、

『この世に単一の世界など存在しない。
 すべての生物は別々の時間と空間を
 生きている』

というまるでSF映画の元ネタになりそうな
考え方です。


普段、僕たちは自分も他人も、他の生物も
同じ1つの世界に生きているというふうに
思い込んでいますよね。


でもそれは違うと彼は言ってるわけです。


僕はこの概念を知ったとき、
「いったい現実って何だ?」という疑問に
一瞬頭がくらくらしました、笑


今日はそんなお話をつらつらと、、


 ・・・・・


まずは「時間」のお話から。


ユクスキュルは “時間とは瞬間の連なり"
と言ってるんですが、

人にとっての「瞬間」とは
“18分の1秒(約0.056秒)"なんだとか、、


なぜかというと、
人間は「18分の1秒」より速い動きを
認識できないからです。


つまり18分の1秒以内の出来事は
人間とっては「存在しない」のです。


たとえば映画が自然な動きに見えるのは
1秒間に23コマ動いているからです。


実はコマとコマの間は一瞬真っ暗になる
のですが、人には分かりません。


一方でベタという魚は30分の1秒まで
認識することができるらしいのです。


なので、もしベタが映画を観たら
「おい、チカチカして観られへんぞ」
ってなことになるわけです。


 ・・・・・


同じことは「空間」にも言えます。


たとえば人間は空間を把握するとき、
もっぱら視覚を頼っていますけど、
人間のような視覚を持たない生き物も
たくさん存在しています。


するとまったく違う空間を生きている
ということになりますよね。


そもそも人間には超音波や超低周波は
まったく聞こえませんし、

可視光線以外の赤外線や紫外線なども
まったく認識できません。


一方でこれらを認識できる生物も
世の中にはたくさんいます。


結局どういうことかというと、

生物は自分の感覚器と認知能力を通じて
「自分なりの現実世界」を生きてるだけだ
ということ。


これが「環世界」です。



 ・・・・・


でも人間だけに限って考えれば
1つの同じ世界に生きてるんじゃない?

そう思ったかもしれませんが、
これまたそういうわけではないのです。


ユクスキュルの視点を採用すると、
人もそれぞれの「環世界=現実」の中で
生きてます。


彼は環世界をシャボン玉に例えています。


つまり人は自分だけのシャボン玉の中で
それを現実だと認識しているわけです。


一人一人が自分専用のシャボン玉に入って
ぷかぷかと浮かんでいる世界を想像すると
なんかホラーですけどね、笑


結局のところ、

人は現実はそこにちゃんとあるものだと
思い込んで生きていますけど、

本当は超主観的でかなり不確かなものだ、
ということなんです。


 ・・・・・


ここで僕が思ったのは、

「自分が“現実"だと思っていることが
 疑わしいのなら、
 自分が“非現実"だと思っていることも
 かなり疑わしい」

ということです。


非現実的とは「あり得ない」ということ。


何が言いたいのかもうお分かりですよね、

自分ではあり得ないと思ってることが、
実は「アリエールでしょ!」ってことも
十分にあるということです。


 ・・・・・


こうやってあれこれ考えた結果、

『そもそも現実と呼べるようなものは、
 この世には一切存在しない』

という結論に至りました。


ま、そこまでアナーキーになる必要はない
とは思いますが、

『自分が現実だと思ってることって
 そもそもホンマに現実なんか?』

と疑う姿勢を持っておくことは
結構大切じゃないかな、とは思っています。


 ・・・・・


さてどうだったでしょう、

シャボン玉が弾けてかなり自由な感じに
なってきたんじゃないでしょうか、笑


ちなみにこの「環世界」については
『暇と退屈の倫理学』という本を読んで
知りました。


退屈で死にそうな人もいるかと思うので、
一応、ご紹介しておきますね。

(メッチャおもしろい本です!)


ということで、

今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました!



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