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○○　○○　さま

いつもお世話になり、ありがとうございます。
税理士事務所ランニングパートナーズ、代表の鈴木陽介です。

本日28日から、二十四節氣「秋分」の次候「蟄虫坏戸（むしかくれてとをふさぐ）」が始まります。これは、地上にあらわれていた虫が、冬眠の準備を始める時期をあらわしています。
昨日娘たちと自宅前にある公園のグレーチングの中を掃除していたところ、たまった落ち葉の下からたくさんの虫たちが出てきました。
長女は気持ち悪がっていましたが(笑)、私はニヤニヤしながら季節を感じていました。


さて、先週末の金曜日から日曜日まで、花巻空港から神戸空港へ飛び、神戸からはレンタカーを借りて淡路島を渡り、香川まで行っておりました。

香川に来るのは4年連続で、有難いことに徳武産業株式会社様の経営計画発表会に今年も参加させていただくためです。

金曜日の夕方に香川に到着し、十河会長、聖子社長、社員の皆様が、私のように遠くから参加した皆様を招待して夕食会を開催してくださいました。
お忙しい経営計画発表会前日に、本当に感謝するばかりです。

土曜日は経営計画発表会本番。
懇親会まで含め8時半～20時ころまでの長丁場にはなりますが、聖子社長が「社員が主役」とおっしゃる言葉通り、ほとんどの時間は約80名の社員の皆様それぞれの発表に費やされます。

そんな経営計画発表会ですが、聖子社長が掲げた今期のテーマは「圧倒的な当事者意識」でした。
全員がただ単に自らの目標を発表するにあらず。テーマの意図をしっかりとくみ取り、熱い思いを込めると同時に周囲に対する思いやりを忘れず、笑いあり涙ありで、感謝と感動が常に飛び交う、人間味あふれる、本当に素晴らしい発表です。

仕事柄、そして、自社でも開催していることもあり、これまで多くの経営計画発表会に参加させていただいておりますが、会社の目的から考えると、一番理想の形だと感じているのがこの「社員が主役」の徳武産業様の発表会です。
弊社の今年の「しあわせみらい発表会」は11月26日（水）に開催しますが、今回いただいたヒントもしっかりと活かしてまいります。


話は変わりますが今回は香川にて、有難いことにもう一つの素晴らしいご縁を深める機会に恵まれました。
少し長くなりますが、熱が冷めないうちにお伝えさせていただきます。

そのご縁は、約3年前の2022年11月1日にも訪問させていただいた、手袋や旅行用バッグで有名な株式会社スワニーの元相談役・三好鋭郎様との再会です。
現在85歳になる三好様ですが、ご自宅を訪れてお元氣な姿を見ることができ、私も嬉しい限りです。

ご縁のきっかけを思い出すと、2022年1月1日に私がたまたま訪れた地域の本屋さんで出逢った「不自由な足が世界を広げてくれた」という一冊の本です。
https://amzn.asia/d/7vAwE4R

正月ということで妻の実家へ遊びに行った帰り、長女の「おもちゃ屋さんに行きたい」の一言で元日からやっていた市内のスーパーへ寄りました。そのスーパーに併設されている本屋で見つけたのが上記の本です。
前年3月に発売されていた本でいつも訪れる本屋にもかかわらず、なぜそのときに目がいったのか・・・。何かが私を引き寄せてくださったのでしょう。
即購入したのはもちろんのこと、三好様の経験が詰まったストーリーの数々に翌朝までにすべて読んでしまい、2022年の「今年お逢いしたい方」に加えたのは言うまでもありません。

その後すぐにお手紙をお送りし、感動と感謝をお伝えしたところ、有難いことにすぐにお返事をいただき、お逢いすることが叶ったというわけです。

ご自宅を訪問すると
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本を読んで感想を送ってくださる方は結構いますが、こうやって岩手から逢いにきてくれたのは鈴木さんだけですよ。
"
と喜んでいただき、お昼になんとお寿司までごちそうになったことを思い出します。

三好様は、生後6か月のときに小児まひになり、後遺症で右足が不自由になります。
そんな三好様がご自身の体験をもとに開発したのが杖のように体を支えるスワニーバッグですが、そこに至るには壮絶なストーリーがあります。

手袋市と呼ばれるほどの手袋の産地、東かがわ市で、創業以来80年あまり地道な営業活動を続け、スワニーの手袋は北米や欧州を中心に定着していきます。

しかし、ご存じの通り手袋の市場には大きな問題があります。それは冬にしか売れない季節商品であることです。

閑散期は赤字、繁忙期はそれを上回る黒字を出してなんとか利益を出す。そんな綱渡り的な経営を繰り返す中、閑散期に工場を止めない、という命題を解決するために不自由な足で世界中を営業で駆け回る日々が続きます。

最初は必然的に、季節が逆になる南半球に市場を求めましたが、手袋が必要になるほど寒くなる場所は少なかったといいます。
それでは、と日本でいち早くUV手袋にチャレンジしますが、時代を先取りしすぎたのか、数千万円の損失を出して撤退することになります。

年中商品がないか・・・と模索する中で、「スワニーは手袋屋」という発想を変える必要がありました。

そこで役に立ったのが三好様ご自身のご経験です。
海外に商談等で訪れる際にいつも悩まされ続けた重いトランク。ニューヨークで出会った車輪付きトランクにヒントを得て、まずは自分用にと開発に取り組み、体を支えることができるスワニーバッグにたどり着きます。

その後バブルの崩壊と温暖化による手袋需要の減少も重なり、苦労に苦労を重ねて体を支える「動く手すり」となるスワニーバッグを開発。
しかし、そう簡単に売れるようにはなりません。

三好様が本に書いてくださった座右の銘は「積極は天国、消極は地獄」です。

その言葉通り、困難に次ぐ困難の中、積極的な姿勢で乗り越えていきます。
その辺の細かい事実はぜひ本を読んでいただきたいと思いますが、三好様にお逢いすると、本の題名である「不自由な足が世界を広げてくれた」の通り、不自由な右足に対してまったく悲観的なイメージを抱かせません。

人生や経営においては「不自由」や「逆境」「困難」ばかりではありますが、この「不自由」や「逆境」「困難」を言い訳にするのではなく、自分の世界を広げてくれる有難いものだと受け止めて、前へ前へと進むことが道を拓くことにつながるのだと教えてくださいます。

お逢いした際、
"
障がいがあったからこそ今の自分がある。障がいがあったからこそ幸せになれた。
"
と何度も何度もおっしゃっておられたのが心の深くに残っています。

また、今回もお話をして感じたのが、信念が道を拓くということです。
どんなことがあっても決してあきらめない。
現在もエスペラント語の普及という新たな目標へ向かい、私財を投げ打って走り続ける三好様のお姿に、情熱の火を燃やしていただきました。

三好様の活動が朝日新聞に紹介されています。
↓
https://www.asahi.com/articles/AST6L4QW4T6LPLXB003M.html

ちなみに2022年、三好様のご自宅へ伺った後、三好様の義理のご子息である川北常務（当時）にスワニー本社をご案内していただきました。

私が愛用している旅行用のスーツケースはもちろんスワニーバッグ。横にして座ることもできるスーツケースは、家族旅行でも子どもたちが疲れたら横向きにして座ることができ、重宝しています。
また、多くの技術（特許も多数）が詰まったスワニーバッグは大柄の男性が寄りかかっても壊れません。
本社では、本の中にも登場する、事故でご自身も足に障害を抱えていらっしゃる坂東様に実際にお逢いしてお話を伺うことができました。

坂東様は開発の部署でより良い商品を求めて日々開発に取り組んでおられながら、
"
進化しなくなったら終わり。自分が障がいを持っているからこそみんなが気づけないところに気づける。
"
と、嬉しそうに語っておられたのが目に焼き付いています。

これぞ「圧倒的な当事者意識」ではないでしょうか。

ただ、いい商品だからといって、そう簡単に売れるわけではありません。
スワニーバッグは完成後3年間は売上が全く伸びず、累積赤字の4億円の事業に社内でも撤退の意見が多くなります。
起死回生の策として取ったのは三好様ご自身が広告塔になることでした。

ご自身の写真とともに
「小児麻痺の後遺症に悩む私は地球を百周しつつ鞄を軽くしたいと思い続けついに凭（もた）れて歩ける鞄を完成させました」
とコメントを入れました。

結果として目標売上を達成。その後、売上の25％を占めるほどの念願の通年商品となります。
ちなみに、もう一つの通年商品で、こちらも三好相談役がご自身の経験をもとに開発された世界最小（当時）の車いすがあります。
こちらも売れるまでには想像を絶するご苦労がありますが
「絶対に諦めないどこまで諦めずに執念をもっていけるかが人間の差」だと三好様はおっしゃいます。

また、数多くの失敗を経る中で、「人々が心底求める商品を開発しない限り生き残ることはできない」と肝に銘じました。

同じ香川ということもあり、深いご縁のある十河会長も三好様のことを「信念の人」だと表現されます。

では、信念とは何でしょうか。
現在素心学を学ばせていただいている池田繁美先生の著書「素直に生きる」を改めて読んでいて、「信念」についてわかりやすい表現を見つけました。

“
「信念」とは、私欲をなくし、正しいと思うことを貫くことです。私情や私欲にまどわされず正しいことを実行しようとする意志が「信念」なのではないでしょうか。
“

十河会長と十河副会長があゆみシューズを開発して今年で30周年。
三好様がスワニーバッグを開発して約30年。

このお三方に共通し、いつも深く学ばせていただくのはこの「信念」です。

どの商品も、今や世の中の多くの方に必要とされている素晴らしいものではありますが、そこに至るまでには想像を絶するほどのご苦労があります。

どんないいことや正しいことでも、いいことだから、正しいからすぐに人が分かってくれる、広まって当たり前だと思っている場合は広がりません。
正しいこと、大事なこと、いいことだと思ったら、そうであればあるほど地道な活動をして、なんとかしてこのことを人に知ってもらいたいと、寝ても覚めてもそのこと思い続け、さらに、自ら行動を起こし続けないといけないということです。

私自身、人を大切にする経営、日本を美しくする会のお掃除、池田繁美先生の素心学など、本当に素晴らしいことに巡り会い、広めようと考えていますが、まだまだ「信念」と呼べるほどのものが足りないと気づかされました。

引き続き、いいことであればあるほど、正しいことであればあるほど、信念を持ち、伝えるための地道な努力を積み重ねてまいります。


またまた長い文章になってしまいました。努力が伝わらないと思いますが、毎回、できるだけ短くしようと頑張ってこの長さです。
まとまりのない長い文章に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
本日も皆様が周囲の方々と共に、思いやりと感謝を示し合い、良好な人間関係の下で末広がりの幸せを実感できる日々を過ごせますように。

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鈴木　陽介　拝