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生物時計は存在するのか?

2020年07月31日

あなたの1日は
どんなリズムでしょうか。

何時に寝て
何時に起きていますか。

朝からパワーを発揮するタイプか
それとも
深夜に冴えわたるタイプでしょうか。


多くの場合、1日のリズムは
仕事や活動のスタイルで
決まってしまいますよね。

昼間に仕事があるなら、朝起きる。
夜勤や遅い勤務時間の場合は
午後や夕方に起きるかもしれません。

仕事に向かうためのリズムです。

そして、そのリズムは
あなたの個人的な体調や欲求とは
必ずしも一致しないでしょう。

たとえ眠くても
時間には起きなければならないし

活力が満ちていない時でも
きっと頑張らなければならないからです。


ところで
人の1日の活動リズムというのは
時代ごとに違っていたのでしょうか。

今から約30年以上前の昭和時代は
今と変わらないでしょう。

明治時代はどうだったか。

教育や価値観は多少違えども
1日の生活ペースは
そう大きくは違わなかったでしょう。

江戸時代は
平安時代は。

電気がない時代
夜は、ロウソクや行灯を灯したとしても
今よりずっと暗かったはずです。

暗ければ
眠るのも早かったのでしょうか。

さらにもっと昔
文明が起こる前はどうだったのか。

日が沈んだら、寝て
朝日が昇るとともに起きていたのでしょうか。


こうした、人間の生活スタイルは
歴史を紐解けばわかるかもしれません。

きっと
その時代の環境に応じた時間の刻み方や
生活サイクルがあったのでしょう。


一方で、人間の生活サイクルとは別に

生き物全般には、生まれつき
「時を刻む」能力がありました。

動物、植物、さらに微生物にもです。

たとえ光がない真暗な日が続いても
闇がない昼間が続いても
「昼夜の明暗の変化」にかかわらず

時を刻む能力は、
ほぼ正確に稼働してきたのです。

その能力とは「生物時計」です。



こんにちは。
「わかるWeb」の国府田(こうだ)です。



●体内の時計中枢の位置

「生物時計」とは
生物に備わっている
時間を測定する機能です。

「体内時計」
「生理時計(physiological clock)」
とも呼ばれています。

「生物時計」が
「1日」などの時間を刻み

これによって、睡眠、覚醒、
血圧や体温の調整、ホルモン分泌など
多くの重要な生理現象を管理するのです。

生命活動に欠かせない
大事な仕組みですね。

もちろん、生物自身は
この「時計」の存在など意識していないでしょう。


「生物時計」は
全身にあると言われていますが

ほ乳類では、その中枢部分は
脳の左右の視神経が交差する少し上にあるそうです。

「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という
1mm四方ぐらいの小さな器官です。

これが、
体内の周期リズムを統括しているのです。

まさに、精密機械のようですね。



●紫外線を避けるためにできた「時計」

生物時計は
動物にも、昆虫にも、植物にも
そしてカビなどにも備わっています。

微生物にもあるということは
「進化の最も早い過程」で存在していた
ということです。

原初の時代
生命が昼間の有害な「紫外線」を避けて
夜の時間帯にDNAを複製するようになった。

このために「昼夜のサイクル」
つまり「時計」の機能を獲得した
と考えられています。

紫外線は、太古より
生命にとって危険なものだったのですね。


「生物時計」の種類は、実に様々です。

周期の長いものでは
「植物の開花」
「魚の回遊」
「鳥の渡り」など。

季節単位や年単位の時計です。
壮大な時計ですね。

周期の短いものでは
「脳波」や「心臓の拍動」など。

あるいは、食事の前に
胃酸や分解酵素が準備されることも
生物時計の働きと言われています。

そして、生き物の「寿命」というもの。

これも、広い意味では
生物時計の働きと考えられています。

一回限りで、繰り返すことはありませんね。



●生物時計が狂うとき

生き物の体を守る大事な「生物時計」は
狂ってくることがあります。

いったい、どういうことでしょうか。

生物時計の中でよく知られる機能が
サーカディアン・リズム(概日リズム)
(circadian rhythm)
と呼ばれるものです。

「概日」とは、
だいたい1日、おおよそ1日という意味で、
概日リズムとは「ほぼ1日間のリズム」
ということです。

「概日リズム」は、正確な24時間ではなく
およそ25時間、平均的には24時間15分ぐらい
の長さだそうです。

そして、この「だいたいの1日」と
実際の1日である24時間との間に起こったズレは
「光を浴びる」ことによってリセットされます。

基本的には
昼夜の明暗にかかわらず成り立っている
生物時計なのですが

ズレた分を
自然界の光である日照の有無によって
補正しているのです。

朝起きたら、朝日を浴びることが大切
などとよく言われますが
これは全くもってその通りなのです。

ちょっとズレた時計の針を
リセットするのですね。


「生物時計」が狂ってくると
体調も狂ってきてしまいます。

「時差ボケ」もその一つです。

また、徹夜や寝不足が続いたり
昼夜逆転の生活が続くのもそうです。

24時間営業の店があり
テレビやインターネットで夜更かしするような
現代の生活環境自体が、この背景にあるでしょう。

こうした生活が続くと
当然ながら体のリズムは狂ってきて
体調不良や、うつ病になったりする可能性も
出てきます。


「生物時計」のズレを修正する問題は
地球上だけではなく
宇宙飛行士の生活でも考慮されています。

変化の乏しい宇宙船の中に
明暗のサイクルを模した環境を作ることによって
宇宙飛行士の健康を維持する工夫が
考えられているのです。



●80%の人たちは「生物時計」に反した生活を送っている

アメリカ・コロラド大学助教授の
セリーヌ・ベッター氏は、こう説きます。

「80%の人たちが
それぞれの体内時計(生物時計)に反した形の
勤務スケジュールで働いている」

この記事の冒頭の話に戻りますが

個々の生活リズムと実際の仕事のリズムが
必ずしも一致していないであろう、ということです。


人には個々に
最適の就寝時間や起床時間があることが
最新の研究で判明しているようです。

そのタイミングは
人により少しずつ異なっていて
個々が持つ時間的なタイミングの傾向を
「クロノタイプ」と呼びます。

例えば、朝型や夜型などの
個々の1日の活動の指向性のことですね。

この「クロノタイプ」は
生物時計に強く影響されているのです。


個々の「クロノタイプ」に反した状態
例えば、体が睡眠を欲している時に眠らなかったり
十分な睡眠をとらなかったりすると

疲労が起こり
仕事での不調や間違いなどが
起こりやすくなると言われています。

実際、多くの事故がこの原因によって起きている
と考えられているようです。


デンマーク人のカミラ・クリング氏は
こう説きます。

「各自のエネルギーが最も高まるのはいつか
精神的なピークはいつか
といった問題を考慮することは
実に理にかなうことだ」

これは、誰もが実感できるのではないでしょうか。

エネルギーの高まるときに
肝心な仕事をしていない。

眠くて膿漏としているときに
重要な作業をしなければならない。

これは、実に効率が悪く
当人にとっても辛いことです。

生産性の観点から見ても
明らかにマイナスです。

とはいえ、実社会において
個人のリズムと仕事のリズムとの調和を
とれるのかと問われれば
なかなか難しいといえるでしょう。

特に日本では
「仕事が自分のリズムに合っていません」
などと言えば、無視されるか
「では、やめていいよ」
と言われるかもしれません(;^_^)



●個人のペースを生かそうとする海外

海外では、この問題を考慮して
従業員の就業時間を
個々のリズムに合わせているケースが
あるようです。

それによって、個人の健康を守り
生産性を上げているのです。

もちろん、
何時間も変更するわけではありません。
業務上、いくら何でもそれは無理でしょう。

せいぜい、1時間か2時間ずらして
就業を開始する、という程度です。

しかし、それだけでも
生産性アップに大きく貢献しているようです。

「人間が働き方のルールを守るか
働き方を人間に合わせるか」

そうしたことがよく考えられるようです。


現在、コロナ禍があり
テレワークが注目されています。

近い将来、日本でも
就業時間や就業ペースが見直される日が
来るのでしょうか。

いや、既に
見直され始めているのでしょうか?

しかし、「クロノタイプ」に基づいた
見直しをするのは

日本人のライフスタイル、価値観などが
もう少し変わっていかないと
実現できない気もします。

なぜならば
経営者側の問題はもちろんのこと

「自分のリズムに合っていなくても
今のままでいいや」と考える
雇われる側の意識もあるかもしれません。

人間は、変化を嫌う生き物です。
できるだけ現状を維持したいのです。

多少の不都合はあっても
「今のままでいいよ」という声は
日本においては
意外と多いかもしれませんね。



●自分の「生物時計」を知る

個人のレベルで
自分のペースを見つめ直すことは
とても興味深いことです。

「多くの人は自分の身体リズムが
わかっていない」と
デンマーク人のカミラ・クリング氏は言います。

自分は何時に起きたら調子が良いのか。

1日の中で、自分は
いつ頃にパワーが発揮されるのか。

集中力が落ちるのはいつなのか。

こうした自分の「クロノタイプ」を知り
その性質を生かす工夫をすることは
とても有効でしょう。


実際に、自分の調子を調べて
パフォーマンスを高める試みをしている人は
たくさんいます。

必ずしも仕事に直結しないことでも
よいでしょう。

例えば、
勤務時間前の早朝の集中力の高い時間帯に
自分自身のための勉強をする。
プランを練る。

朝日が上がる時間を狙って
ウォーキングをする。

仕事の後
必ずひと汗かけるスポーツをして
心身ともにリセットする。


環境や常識に任せるだけではなく
自ら自分の「生物時計」を知り
それにマッチした行動を見つけてみる。

そして実行してみる。

そうすることで
自分の中の思わぬパワーを
引き出すことできるかもしれません。

そう考えると「生物時計」とは
自分自身のペースそのものであり

自分をパワーアップしてくれる
「アドバイザー」なのかもしれませんね。



ではまた!



(生物時計、概日リズムについては Wikipediaから
https://bit.ly/3hTwY1n
https://bit.ly/3hPMpaN
「クロノタイプ」の海外の見解については
朝日新聞GLOBE+の記事より
https://globe.asahi.com/article/12088036
抜粋・引用・加工しています)



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2020年7月31日 第049号発行

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