「解雇予告手当と社員への貸付金、相殺してもいい？」（後編）【社労士事件簿Case14】（メルマガvol.110）｜HRキュレーション by 社会保険労務士法人SUCCESSION バックナンバー

「解雇予告手当と社員への貸付金、相殺してもいい？」（後編）【社労士事件簿Case14】（メルマガvol.110）

2025年08月11日

今回もSUCCESSIONに日々寄せられる相談を物語風にアレンジした「社労士事件簿」をお送りします。
現場でのトラブルを未然に防ぐための備えや心の準備にお役立ていただければ幸いです。

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【社労士事件簿Case14】「解雇予告手当と社員への貸付金、相殺してもいい？」（後編）
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※フィクションにつき、登場人物や会社名は現実のものとは一切関係ありません。

桜田製作所で、解雇となる高橋さんに「解雇予告手当と未返済の貸付金を相殺してよいか」と悩んだ斎藤さん。会社の効率と従業員の生活の間で揺れながら、社労士に相談しました。

担当社労士
「解雇予告手当と従業員への貸付金は相殺できません。
相殺は、当事者がお互いに持っている“債権"同士が前提ですが、解雇予告手当は解雇予告義務を免除するためのもの。従業員が“請求できる債権"ではなく、会社が一方的に支払うべき法定の義務です。
必ず、解雇予告手当は全額支払い、貸付金の返済は別途手続きしてください。」

斎藤さん
「やはり、会社の都合だけで簡単に進めるものじゃないですね…。」

担当社労士
「はい。効率や手間を優先してトラブルになる事例も多いので、今回のように専門家に相談し、正しい対応を選ぶのが大切です。」

【後日談】
高橋さんは会社から「解雇予告手当は全額支払います。貸付金の返済は別途、相談しましょう」と説明を受けたものの、突然の解雇に気持ちが落ち着かず、不安と戸惑いを隠せませんでした。しばらくは話し合いも難航しましたが、会社が丁寧に説明を重ねたことで、最終的には納得して退職手続きが進みました。

斎藤さんも「効率だけで進めず、専門家に相談して良かった」と実感しています。今後も一人ひとりの事情に配慮した対応を心がけるつもりです。

【まとめ】
・解雇予告手当と従業員への貸付金は相殺できない
・手当と貸付金はそれぞれ個別に精算が必要
・法令を守り、丁寧な説明や配慮が信頼関係の維持につながる

【根拠法令・参考情報】
労働基準法第20条（解雇の予告）

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