オレンジメールにて配信したメルマガのバックナンバーです。

数日前、某大学主催の社会人向け
マーケティング講座で、講師の
とんでもない発言に、私は耳を
覆いたくなりました。

「開いた口が塞がらない」
とはまさにこのことです。

講師は、牛丼チェーン店の常務の
肩書を持つ凄腕マーケターです。

この会社は、行動規範に
『うまい、やすい、はやい』を
掲げており、

「うまい」は高品質、
「やすい」は相対価値や効率性、
「はやい」は迅速性や納期など
を意味しているそうです。

さて、SNSで拡散された問題発言
は、ザイオンス効果※という
マーケティング戦略を説明した際
の表現だと思います。

その驚愕の発言内容は、

「田舎出の生娘を牛丼中毒に」

「生娘しゃぶ漬け」

などと報道されています。

最近、インパクトの強い言葉や表現
のことを「エッジが立つ」といい
ます。エッジを立てることにより
聞き手に強烈な印象を与えることが
できるからです。

しかし、エッジを立てることと、
品性を疑う、前近代的な差別用語を
使うこととは根本的に違います。

こうした表現は普段、使っているから
とっさに口に出てしまうんだと思い
ます。

2022年4月からすべての企業に対して
パワーハラスメント防止措置が義務付
けられました。

経営トップに近い常務取締役という
立場の人がこのような差別用語を使う
会社の体制は不安であると考えるのは
私だけでしょうか？

※ザイオンス効果は、
単純接触効果ともいわれるもので、
繰り返し接すると印象や好感度が
高まり、関心が高まる効果がある
というものです。
ポーランド出身の心理学者である
ザイオンス氏が発表したのでこの
名前がついています。


この牛丼チェーン店は、これまで
も強力なザイオンス効果を使った
マーケティング戦略を展開してい
ます。

直近では、昨年７月１５日から
今年３月３１日までの２５９日間
のうち２２０米札（マイル）を
獲得したら、オリジナル丼に名前
を入れるキャンペーンを実施して
おり、ここでも物議を醸し出して
いました。

１米札（マイル）を獲得するには
３００円以上の牛丼を買う必要が
あるのですが、一部の例外を除き
基本的には、1日１米札（マイル）
しか付与されません。

ですから毎日に近い頻度で牛丼を
食べにいかなけば達成できない
ヘビーユーザー向けの企画です。

問題は、当初220米札（マイル）を
達成した人は、オリジナル丼に、
任意の名前を入れられると発表し
ていたのですが、後になって
本人の名前しか入れられないと
条件を変更したのです。

企業として一度発表したものを平気
で変更する傲慢さが露呈しています。

今回の炎上があまりに酷いという
こともあったのでしょう。
会社は、問題発言した常務取締役を
解任しましたが、失った信用を取り
戻すことは容易ではないと思います。

実は、私、この牛丼チェーンの常務
の発言に品性を感じられないため、
当初は、メルマガで取り上げるのを
憚られていました。

ところが、昨日発表された別の企業
の報道に衝撃を受けたため、
経営トップの想いが非常に重要で
あるとの想いを深め、今日のメルマガ
で牛丼チェーンの問題についても取り
上げることにしたのです。


衝撃を受けた報道は次の通りです。

昨年、最高経営責任者（CEO）を
退いた77歳の創業者が、自ら指名した
60歳の後継者を「経営力が低い」と
評価して、1年も経たずに自分がCEO
に返り咲くことを発表したのです。

その会社の業績が、指名したCEOの
経営責任で極端に低迷したのであれば
１年を待たずに解任することは、
ある意味やむを得ないかも知れません。

しかし、同時に発表した今年３月期の
決算は、過去最高の増収増益だった
のです。

仮にあなたが創業者に指名された
CEOの立場だったら、どう感じますか？

企業は「社会の公器」と言われます。

その中でも上場企業のCEOは、公人に
近い立場だと思います。

企業内部でどんなことがあったのか
知り得ませんが、私はあまりにも驚き
急遽メルマガのタイトルを変えました。

因みにこの会社のHPには「三大精神」
として次のように掲げられています。

・情熱、熱意、執念
・知的ハードワーキング
・すぐやる、必ずやる、出来るまでやる

過去最高益決算を達成した会社ですが、
私は、何か凄く怖さを感じました。

創業者は、短期業績を重視し、
CEOは長期的企業業績を注力するという
経営方針の違いが解任理由とされています。


関係するすべての人と円滑な
コミュニケーションが取れると良いですね。


今日も一日楽しく過ごしたいと思います。


ではでは